「血管の老化」

 

血管は動脈も静脈も、「内膜」「中膜」「外膜」の3層からできています。

血液と接しているのが「内膜」です。内膜の表面は「内皮細胞」という細胞に覆われていて、血液から必要な成分だけを取り込むフィルターのような働きをしています。一種のバリアです。体にとって悪いものが入り込んでこないようにしているわけです

動脈の内膜の外側の「中膜」は、心臓から血液が送られるときの圧力がかかるため、静脈よりも厚くなっています。そして、血管としてのしなやかな弾力性を保つために平滑筋などでできています。

外膜は血管を保護する役目です。

 

人は年を取ると血管も弾力を失って老化してきます。動脈は、心臓の動きに合わせて収縮と弛緩を繰り返しだんだん硬くなってきます。硬くなるといっても丈夫になるわけではありません。脆くなってくるのです。これが動脈硬化という状態です。動脈硬化とは病気の名前ではありません。病理学的な言葉で、状態を示す用語です。

 

血管の健康状態を大きく左右するのが内皮細胞です。内皮細胞が健康な状態だと血管の老化を抑えることができます。

 

日本人の死因

 1位:がん

 2位:心疾患

 3位:肺炎(特に誤嚥性肺炎)

 4位:脳血管障害

 

このうち心疾患と脳血管障害は血管の老化によって起こる病気なのですが、自覚症状がほとんどなく突然襲ってくる傾向にあります。血管が詰まったり破れたりするのです。

脳の血管が詰まると「脳梗塞」、血管が破れると「脳出血」となります。心臓の冠動脈が一時的に詰まったり、流れが滞ったりするのが「虚血性心疾患」で、完全に詰まるのが「心筋梗塞」です。

 

腎臓でも血管障害が起こります。「腎硬化症」「腎不全」がそうです。

 

血管の老化の原因は、「高血圧」、「脂質異常症」「高血糖」などで促進されます。これらは生活習慣病の一種です。

 

生活習慣病は、生活環境に起因する疾病です。塩分・糖分・脂質の取りすぎはもちろん、運動不足、喫煙、アルコール、ストレスなども原因となります。

禁煙を5年続けると、血管に関するリスクが非喫煙者と同じくらいまで低減するといわれています。

熱い風呂も血管を老化させますので注意が必要です。

 

続く