リーグ3連覇の青山学院大・佐々木泰が語った苦悩のシーズン 「あそこで打てなかったら...キャプテン剥奪でした」

6月9日(日) 7:15

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今年の春は、大学最終学年に結果を残すことの難しさを痛感させられるシーズンだった。今秋ドラフトの目玉格である宗山塁(明治大)はコンディション不良のため、リーグ戦わずか5試合の出場。打率.174と自己ワーストの成績に終わった。宗山と広陵高時代の同期である渡部聖弥(大阪商業大)も打撃不振に苦しみ、打率.220、1本塁打とらしくない数字に留まっている。

そんななか、存在感を見せたのは西川史礁(みしょう/青山学院大)だった。3月には侍ジャパントップチームに召集されると、3打席連続安打を放って一躍全国区に。今春の東都大学リーグでもマークされるなか、快打を連発。チームの開幕8連勝の立役者になった。

リーグ戦の優勝をかけた中央大戦で逆転の3ランを放った青山学院大・佐々木泰

リーグ戦の優勝をかけた中央大戦で逆転の3ランを放った青山学院大・佐々木泰ふ

 

 

【13打席連続無安打の大ブレーキ】そんな青山学院大にあって、沈黙を続ける男がいた。西川とともにチームの主軸を張る右のスラッガー・佐々木泰である。

佐々木は県岐阜商高時代に通算41本塁打を放ち、プロスカウトから熱視線を浴びながらも青山学院大に進学する。大学1年春には打率.371、4本塁打と衝撃的なデビューを飾り、将来を嘱望された。

だが、その後の佐々木はリーグ戦の成績だけを見ると低空飛行が続いている。大学3年間を終えた段階での通算成績は打率.245、11本塁打、27打点。一方、西川は大学3年春にレギュラーを獲得すると、一気にブレイク。佐々木の存在は西川の陰に隠れてしまった感があった。

今春の開幕前に佐々木に話を聞くと、「取材は全部、史礁という感じです」と苦笑しながら、複雑な心境を打ち明けた。

「正直言ってジェラシーはあるんですけど、そこは認めていかないと。彼の打撃を一番近くで見ていて、どうしてもマネできない部分はあります。チームとしても心強い存在ですしね」

それでも、佐々木には誰にもマネができない爆発力がある。体幹部から両腕がゴムのように伸びて、打球に強烈な勢いを与える。佐々木が本領を発揮すれば、西川と右のスラッガーとしての評価を二分できるはず。そう思わせるほどの魅力を秘めている。

今年にかける意気込みを聞くと、佐々木は主将としての顔をのぞかせた。

「チームを日本一に導ける主将になりたいです。自分の結果に一喜一憂するより、チームのことを考えたほうが自分は結果的にいい方向に回る気がします」

だが、「結果」は皮肉な方向へと進んでいった。

開幕から連勝を重ねるチームにあって、佐々木は13打席連続無安打とブレーキ発進。以降は安打こそ出るものの、チャンスでの一本が出ない。1番、6番、2番、5番とさまざまな打順で起用されたが、状況は好転しなかった。

気がかりだったのは、佐々木本来の伸びやかなスイングが影を潜めていたことだ。チーム打撃を心がけるあまり、スイングが窮屈になっている印象さえ受けた。佐々木の主将としての責任感が、スラッガーとしての魅力を鎖でつないでしまったのだろうか。

【中央大との優勝をかけた大一番】5月17日の日本大戦でも、佐々木は4打数ノーヒットに終わった。試合後、青山学院大の安藤寧則監督に「今の佐々木の状態をどう見ていますか?」と聞かずにはいられなかった。安藤監督は苦渋に満ちた表情で、こう答えた。グラサン

 

 

 

 

 

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