真珠の微熱108 | シンイ〜甘味処

シンイ〜甘味処

韓国ドラマのシンイにはまり、無謀にも自分で二次を書いてしまいました。
素人の書く拙い話しです、お暇なときに読んで
くすっと笑っていただけたら嬉しいです




真珠の微熱108










ピピピッ

スマホの目覚ましのアラームが
鳴りはじめた瞬間に
豆だらけの指が停止の画面を
タップする。

カーテンの隙間から白い光が
寝室へと綺麗な
ストライプを映し出し
寝乱れた赤い髪に模様を描く。

隣りに横たわるウンスを
起こさないようにベッドから
そっと抜け出し
床に投げ捨ててあるルームウェアを
スポッと被る。

そろそろ秋も深まり
寝室の空気もひんやりと
肌寒く感じる。寒がりのウンスが
風邪をひかないように
暖房のスイッチをオンにし
コーヒーを淹れにキッチンへと向かう。

リビングのカーテンを開ければ
朝の清々しい光が
部屋の隅々まで入り込んでくる。

「リビングも暖房を入れておくとするか・・ウンスは寒がりだからな。」

ふ、と笑いウンスが起きる前の
下準備を済ませると、
もう一度寝室へと戻っていった。

暖かい寝室の空気にホッとして
眠るウンスを見れば、
掛け布団から肩が飛び出ている。

布団を掛けてやろうと傍によると
ううん、といって寝返りをうった
ウンスがチェ・ヨンの枕に抱きつく。

半分うつ伏せになったウンスの
白い背中が朝の光に照らされて
産毛が金色に輝く。

愛しい人の寝姿に、昨夜の営みを
思い出しチェ・ヨンの瞳が
すうっと細くなる。

ベッドの端に座りゆっくりと
産毛に唇を寄せる。背中の真ん中に
触れるか触れないかの
ギリギリのところに熱い息を
吹きかけゆっくりと口付けていく。

ピクッとウンスの身体が跳ねる。

たわわな乳房に押し潰された
チェ・ヨンの枕の間に
背後からゆっくりと手を差し込み
押し揉み上げながら背中に舌を
這わせていく。

ぢゅうっと強めに
吸い上げようとするとウンスが
身体を捩り
寝惚けながらも抗議する。

「・・ううん、・・ダメよ、
ヨンァ・・跡を付けないで。
・・ドレス、着れなくなっちゃう。」

今日の午後から
半休をもらったウンスが
一人でドレスの試着に行く。

着付けやメイクも当日と同じように
施す予定になってるので
身体にキスマークなんて
付けてはいられない。

実はしばらく前から
肌に跡を残す行為を禁止されていた。

ドレスの仮縫いやら
ブライダルエステと結婚式まで
素肌を晒すことが以外と多い。

それがチェ・ヨンには不満だった。

「起きたのか?」

内心で舌打ちしながら
ウンスに声をかける。

「・・もおお・・起きたわ・・。」

くしゃりと絡まった柔い髪の間から
眠そうな瞳が覗いていた。

薄い背中に磁石のように
ぴったりとくっ付き
今だにチェ・ヨンの唇が
肩の辺りを這っている。

「んっ、ねぇ・・もうダメよ・・
昨日もいっぱいしたじゃないの。」

抗ってみせても背後の男に
弱いところは熟知されている。

「そうか?・・あれだけじゃ、
まだ・・ウンスが・・足りない・・」


肩から背中へ変わる肌の境目に
何度も何度も口付けていると
太ももの裏に恋人の昂りが当たる。

「・・ダメダメ・・遅刻しちゃうわ。」

抗うウンスに熱くなった自分を
押し付けた。

「・・ウンス・・ダメか?」

淋しそうに呟かれれば
強くは言えないウンスが
つい許してしまう。

「・・じゃあ、送ってくれる?」

「当たり前だろう。」

嬉しそうに答えると
ウンスが抱きしめていた自分の枕を
邪魔だ、といって床に投げ捨て
ゆったりと柔い身体に
のしかかっていった。








自然光に近いライトが
四方から花嫁を照らす。

大きな鏡の前で髪をアップにし
ドレスを着たウンスが
デザイナーと鏡ごしに会話を交わす。

「サイズはどうですか?」

「うーん・・ウェストの辺りが
ちょっと緩いかも・・
でもこれぐらいなら大丈夫かなぁ。」

「採寸した時よりも、
お痩せになりましたね。」

ドレスを詰めながら、
これぐらいですかと聞いてくる。

腰からの切り替えである
上質な薄い絹がウェストラインを
仮止めするのを邪魔になる。

「ユさん、ちょっと後ろの
ファスナーを下ろしますね。
切り替え部分に内側にクリップを
つけさせてもらいます。」

「お願いします。
サイズが変わっちゃって、
ごめんなさいね。お手数おかけします。」

挙式までひと月と短時間での
ハードな毎日に
ちょっぴり痩せていた。

前身ごろがずり落ちないように
胸の辺りを抑える。

クリップを持ったデザイナーが
ファスナーを下ろし
ドレスの内側を摘むと
「ん?」と云う声が聞こえた。

素早くクリップを付けて
ファスナーを上げるとデザイナーが
ウンスに微笑みかける。

「旦那様になられる方に
とても愛されているんですね。
ふふっ。」

「へっ?・・はぁ、まあ。はい。」

脈絡の無い問いに、訳も分からず
返事を返す。それからデザイナーは
ドレスを整え出来映えの良さに
鏡ごしに満足そうに深く頷いた。

ベールを被り真っ白なドレスに
身を包み鏡に向かう。

其処には完璧な
美しさを持った花嫁が佇んでいる。

「とても綺麗!!
これなら花婿さんも
また惚れ直しちゃいますよ。」

ブライダルサロンのスタッフも
極上の仕上がりに感嘆の声をあげ
ぼうっと見惚れてしまう。

「・・凄く素敵なドレス・・。」

ウンスも大満足で鏡の中を
見つめていた。

あれこれとアクセサリーも付けて
最終確認を終える
私服に着替えるために個室で
ドレスを脱ぐ。

汚さないようにゆっくりとドレスを
脱ぎ下着姿になると
鏡に自分の後ろ姿が映る。

「・・やっぱりちょっと痩せたかしら・・」

独り言をいいながら全身を写し
腰の辺りを捻る。

「ん?」

チラリと何かが見えた。
鏡に近づき背骨の下、
お尻の上辺りに真っ赤な吸い跡が
付いている。

「何これ?!」

ーー旦那様になられる方に
とても愛されているんですね。

先ほどのデザイナーの言葉は
これを見られたからかと
恥ずかしさに顔が真っ赤になる。

「・・はあ・・やられた・・」

もう、とこの場に居ない恋人を
叱りながら着替えると
挨拶もそこそこにサロンを後にした。