私たち家族が下した勇気ある選択についてお話しします。
それは、重度障害の息子に長年続けてきた
向精神薬や抗てんかん薬の服用を思い切って中止するという
決断でした。
前回までの歩みの中で、薬が息子から大切な何かを奪っているのでは
と感じ始めた私たち。減薬に踏み切った経緯とその具体的なプロセス、
そして驚くべき結果についてお伝えします。
決断のとき―主治医との対話
私たちはついに主治医に相談することにしました。
「息子の薬を中止することはできないでしょうか?」と。
正直、医師が何と言うか不安でした。しかし、主治医の
先生は猛烈に反対し、絶対にダメという姿勢でした。
「発作が再発するリスクもあります。それでも」と常に
脅される内容ばかりの言葉を浴びながら、でも息子の状態を
細かく観察しながら段階的に薬を減らしていく計画がスタートしました。
減薬を始めた当初は、不安で胸が押しつぶされそうでした。
夜中に息子の寝顔を見守り、「明日、急に発作が起きたらどうしよう…」と
眠れぬ夜を過ごしたこともあります。それでも、妻と励まし合いながら一歩
ずつ進めました。3種類飲んでいた抗てんかん薬を量を徐々に減らしていき、
1種類に減らし、眠前に飲んでいた鎮静目的の精神安定剤も思い切って中止しました。
もちろん急に全てを断つのではなく、数週間かけて少しずつ量を減らす
慎重な方法です。それでも体は薬が減った変化を敏感に感じ取ります。
案の定、最初の頃は軽い離脱症状なのか落ち着きがなくなる時間帯もあり、
正直心が揺れました。「やっぱり無謀だったのか…」と不安になる私を、
妻は「大丈夫、一時的なものだよ。きっと乗り越えられる」と支えてくれました。
薬を手放した先に見えた息子の姿
減薬開始から数か月。驚くべきことが起こり始めました。
まず、息子の表情が明らかに変わってきたのです。
以前は一日の大半を眠って過ごし、起きていてもぼんやり天井を
見つめることが多かった息子が、朝私たちが声をかけると
目を合わせて笑うようになりました。
笑顔すらほとんど見られず、私たちは「障害のために感情表現が
乏しいのだろう」と勝手に思い込んでいたのです。ところが、
薬が体から抜けていくにつれて、息子はまるで
眠りから覚めたように穏やかな表情を取り戻していきました。
心配していた発作も、幸い大きな再発はありませんでした。
もちろん完全になくなったわけではありませんが、
発作の頻度は確実に減ったように感じます。
主治医も「薬を減らしたことで発作閾値(発作が起きる敷居)
が下がるかと心配しましたが、むしろ安定しているようですね」
と驚いていました。
私の視点から見てはっきりわかるのは、飲まない方が発作は
確実にというか間違いなく減りました!当初を10とすると、
今現在は1~2ほどです。
さらに嬉しかったのは、息子の体調全般が安定したことです。
以前はしょっちゅう便秘や食欲不振に悩まされ、季節の変わり目には
決まって体調を崩して入院…というパターンでした。
それが、薬をやめた後は胃腸の調子が良くなったのか食事の量が増え、
眠りのリズムも整ってきました。
薬をやめただけでこんなにも生活リズムが改善するのかと
、夫婦で驚いたほどです。
薬の副作用で隠れていた息子本来の強さが、少しずつ顔を
出してきたのかもしれません。
妻がぽつりと言いました。「ねぇ…この子、生まれてからずっと
薬に守られてきたけど、本当は自分の力で頑張れる部分があったのかもね」。
その言葉に私はハッとしました。「人間には本来、自然に
病気を治そうとする力が備わっている」と語ったのは
近代看護の祖フローレンス・ナイチンゲールですが、
彼女はまさに病気は身体を癒そうとする自然の回復過程であり、
人間の中には生まれつき自然治癒力があると説いています。
私たちは息子のためを思って医療の力を借りてきましたが、
同時に息子自身が持つ治ろうとする力を信じることを
忘れていたのかもしれません。
薬を手放すことで、私たちは初めて息子自身の生命力と
向き合うことができたのです。
「薬をやめてよかった」—同じ思いを抱える人たちの存在
息子の安定した様子を見て、私たち夫婦は減薬という選択をして
本当によかったと心から思いました。同時に、ふと感じたのです。
この経験は私たちだけの特別なケースではないのでは?と。
調べてみると、やはり似たような体験をしている方々がいました。
ある精神疾患の患者さんは処方されていた12種類もの薬を少しずつ
減らしたところ、眠気や体調不良が改善し
「薬を減らして元気になった!」と語っておられました。
最初の病院では「仕方ない」と言われ続けた副作用が、減薬によって
消えていったそうです。この体験談を読んだとき、私は大きく頷きました。
薬がすべて悪ではないにせよ、やはり必要以上の薬は人から活力を
奪ってしまうことがある。
それを減らすことで本来の元気を取り戻す人もいる——息子だけでなく、
多くの人に当てはまる真実なのだと確信しました。
もちろん、すべての人が私たちと同じように減薬すべきだと言いたい
のではありません。症状や状況によっては、薬が欠かせないケース
もたくさんあります。
大切なのは、「本当にその薬が必要なのか?」と時折立ち止まって
見直してみることだと学びました。医師任せにするのではなく、
家族として日々接しているからこそ分かる微妙な変化やサインを
大事にすること。私たち自身が息子の一番の理解者であり、
主治医と協力しながら治療方針を作っていく主体なのだという
意識を持つことができたのです。
本来の健康を取り戻すために
17年以上にわたる我が子との歩みの中で、
私たちは「本来の健康」とは何かを問い続けてきました。
その答えの一端がようやく見えてきた気がします。
健康とは単に病気や障害がない状態を指すのではなく、その人らしく
生を全うできる状態のことではないでしょうか。
息子の場合、重度障害があっても彼なりに機嫌よく、
家族の愛情を感じながら穏やかに過ごせている今の姿こそ、
ある意味で「健康」を取り戻した姿だと思うのです。
決して完璧ではないけれど、薬に縛られていた頃よりも
確かな生命の輝きを感じます。
私たちが減薬に踏み切れたのは、妻の違和感という直感、
そして病院での患者さんとの出会いといった実体験に裏付けられた勇気
があったからです。ですが、同じように悩みながらも一歩踏み出せずに
いる方も多いと思います。どうか忘れないでください。
あなたの感じる違和感や疑問は、大切なサインです。
それを無視せず、情報を集め、信頼できる専門家と対話し、
自分と家族にとってベストだと思える選択をしてほしいのです。
私たちの物語が、その背中をほんの少しでも押すことができたなら、
こんなに嬉しいことはありません。
これから広がる未来へ
私たち家族の17年の旅路を綴ってきました。絶望の産声から始まり、
模索と葛藤、そして思い切った決断によって息子の安定を
取り戻すまで——決して平坦ではない道のりでしたが、
その過程で得た学びや気付きはかけがえのない宝となりました。
そして何より、この経験は同じ悩みを持つ方々に希望の種を届けられると信じています。
実は、今回お話しした内容はまだ序章にすぎません。無料で公開した
ブログ連載は、私たちの体験のエッセンスを共有する目的でしたが、
今後はさらに踏み込んだ情報や実践的なヒントをお届けしたいと考えています。
具体的には、私たち家族が見つけた「本来の健康」をサポートするための工夫
たとえば栄養や食事の見直し、リハビリ以外の代替療法との出会い
、親としてのメンタルケア方法、医療者との上手なコミュニケーション
の取り方など、明日からでも役立つ知恵やノウハウがたくさんあります。
それらをまとめた有料のnoteや電子書籍(Kindle)、
さらには直接お話しできる講座やイベントなども企画中です。
電子書籍出版致しました!
kindle出版
重度脳性麻痺で生まれた長男の事で、健康に関して大きな発見を
いくつもしてきた内容をわかりやすくまとめています。
今では、治療家の方々だけではなく、個人サロン、
はたまた医師・歯科医の先生などにも教えさせて頂いております。
ご興味がありましたら、是非一読お願いします。
今回の連載を読んで、「自分も当事者だ」「同じ思いをしてきた」と
感じてくださった方、あるいは「知らなかった世界だけど胸を打たれた」
と言ってくださる方、皆さん本当にありがとうございます。共感し応援
してくださるあなたのお気持ちが、私たちにとって何よりの励みです。
ぜひこれから配信予定の有料コンテンツやイベントにもご期待ください。
あなたと一緒に、本来の健康と幸せを取り戻す道を歩んでいけたら
──そう願ってやみません。
長い文章を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
皆さんの人生にも小さくとも確かな希望の灯火がともりますように。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。🌸

