なぜ淡路島なのか──背景とパソナの狙い

パソナグループが「本社機能の一部を淡路島へ分散移転」することを発表したのは 2020年9月 のことです。機能を分散移転することによって、どのような狙いやメリットがあるのでしょうか?パソナの分散移転に関して深堀していきたいと思います。
 

働き方・暮らし方の変化への対応

 

パソナグループは、自然環境の中での暮らしや職住近接、子育て環境などを含めた「真に豊かな生き方・働き方」を社員に提供したいという思いから、淡路島への移転を進めています。首都圏ではオフィスまで片道1時間以上かけて通勤することも珍しくありませんが、淡路島ではオフィス近くに住むことができ、通勤による負担も軽減されます。自然豊かな環境で子育てができることも魅力の一つです。比較的安価で広い住宅に住み、豊かな自然を享受しながら働ける環境が整っています。

 

家族で移住する社員も居て、これまでに350人以上が淡路島に移住したと報じられています。ただし、淡路島に移住したからといって必ずしもそこでキャリアを終えるわけではなく、一時的な勤務と考える社員もいるでしょう。実際には、東京と淡路島の両方に同じチームメンバーが在籍し、リモートワークや東京本社と淡路島を行き来しながら働くスタイルも多く見られるとのことです。

 

淡路島といえば美味しい食材のある観光地というイメージがありますが、リゾートのような環境に暮らしながら、職場がすぐ近くにあるというのは、パソナが掲げる「社員の生活の質の向上」を体現していると言えるでしょう。労働環境の中で「人生の豊かさ」とは何かを、改めて考えさせられる内容です。

 

事業継続計画(BCP)とリスク分散

 

淡路島への分散移転は、単なる「働き方改革」や「暮らしの質の向上」にとどまりません。近年、地震・台風・感染症など予測不能なリスクが増えるなか、事業継続計画(BCP)の観点からも大きな意味を持つ取り組みです。

首都圏一極集中のリスクを軽減し、もし東京で大規模災害や交通機能の麻痺が起きても、淡路島に移したバックオフィスや管理機能が稼働し続けることで、サービスを止めずに継続できる体制を築いています。オフィスや人員を分散させることは、緊急時に「どこかが止まっても全てが止まらない」ための保険の役割を果たします。これは社員の生活や雇用の安定を守ることにもつながっており、企業が社会的責任を果たすうえで重要な基盤だと言えるでしょう。

 

地方創生・地域との共創

 

また、淡路島移転は地方創生の一環としての側面も持っています。単なる拠点移転ではなく、地元の自治体や事業者と連携し、地域資源を活かした新規事業やイベントを展開しているのです。観光・食・農業・教育など、島の強みを企業活動と結びつけることで雇用や交流を生み、地域経済に新しい風を吹き込んでいます。

社員にとっては「働く場所を変える」だけでなく、「地域とともに暮らす・働く」という経験が得られ、企業にとっては社会課題の解決やブランド価値の向上にもつながります。こうした共創の姿勢が、移転の先にある真のゴール─「持続可能な働き方・生き方」を形づくっているのかもしれません。

 

観光・文化の装置――「のじまスコーラ」「ニジゲンノモリ」ほか

淡路島では、廃校再生の複合施設「のじまスコーラ」や、体験型テーマパーク『ニジゲンノモリ』が観光の核になっています。常設アトラクションの「ゴジラ迎撃作戦 ~国立ゴジラ淡路島研究センター~」は、自然とポップカルチャーを“体験”でつなぐ企画です。飲食・宿泊との連動も進み、淡路島西海岸のブランド形成に寄与しています。

万博と淡路島を時間・空間でつなぐ―AWAJI EXPO ROAD

2025年の万博に合わせ、「AWAJI EXPO ROAD」を4月~10月に夢舞台サスティナブル・パーク(淡路市)で展開します。伝統文化やサステナブルなライフスタイルを発信し、来訪者の交流を促す連続イベント群です。

会場と淡路を“60分で直結”―高速船「PASONA NATUREVERSE号」

万博会場(大阪・夢洲)と淡路島を約60分で結ぶ高速船「PASONA NATUREVERSE号」が、会期限定で就航しています。淡路側は「淡路交流の翼港」を発着し、会期中は1日1往復で運行しています。旅行会社や宿泊施設の連動プランでも、高速船との組み合わせが提案され、「万博×淡路島」の動線が具体化しています。

企業パビリオン「PASONA NATUREVERSE」――テーマは「いのち、ありがとう。」

パソナは、万博会場に「PASONA NATUREVERSE」を出展しています。万博終了後は淡路島へ移設する予定です。テーマは「いのち、ありがとう。」です。「からだ・こころ・きずな」を主題に、iPS心筋シートなど“いのちの象徴=心臓”に関わる先端技術も紹介しています。アンモナイトの螺旋などのビジュアルや、アテンダント衣装も公開され、会場体験を意識した世界観づくりが進んでいます。

次の一手――ウェルビーイング滞在拠点とホテル計画

淡路島側では、滞在型のウェルビーイング拠点「洗心和方」が2025年7月にオープンしました。温泉や食、庭園、滞在プログラムを通じ、心身の調和を目指しています。

水資源調達の問題を解消するためホテル計画は現在延期中ですが、石海峡大橋のたもと、淡路市岩屋のリゾートホテル構想が報じられ、建設費は約130億円、2025年開業を見据えるとされました。

観光・地域・人材の「循環」をどう設計するか

この5年で、淡路島は「働く」「学ぶ・遊ぶ」「泊まる」の三層が近づきました。AWAJI EXPO ROADで視線を島に引き寄せ、高速船は動線として時間距離を短縮しています。パビリオンで「いのち」の物語を体感し、ウェルビーイング拠点や宿泊では“もう一泊”を生み、観光資源として機能しています。

移転の進捗と現在

パソナグループは、2020年秋から人事・財務経理・経営企画・新規事業開発・IT/DX・グローバルなど、本社機能を担う部門を段階的に淡路島へ移転してきました。公式には、約1,800人のうち1,200人を2023年度末(2024年5月末の会計年度終わり)までに淡路島で活躍させることを目標に掲げています。移住の為に医療機関や商業施設など生活インフラのさらなる整備が急がれるようです、こうした地域課題への対応は今後の持続可能な定着のカギとなるでしょう。パソナと地元住民の協力により、淡路島の継続的な発展が期待されます。今後の動向にも注目が集まります。

 

 

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