第144回天皇賞・秋(30日、東京11R、GI、3歳以上オープン、定量、芝2000メートル、1着本賞金1億3200万円=出走18頭) ニコラ・ピンナ騎手騎乗の7番人気トーセンジョーダン(牡5歳、栗東・池江泰寿厩舎)が破格のレコードタイムでGI初制覇。タイム1分56秒1(良)。

 半馬身差の2着に2番人気ダークシャドウ、さらに半馬身差の3着に6番人気ペルーサが入り、1番人気ブエナビスタは4着だった。

 “現役No.1決定戦”と言っても過言ではない実力馬がそろった今年の天皇賞・秋。制したのは、最強牝馬でも、最強4歳世代でもなく、充実一途の5歳馬トーセンジョーダンだった。

“宣言どおり”にシルポートが2番手以下を引き離して逃げたレース序盤。“大外枠の不利”をはねのけたいアーネストリー、最強世代のダービー馬エイシンフラッシュ、復権に燃えるローズキングダムらが好位勢を牽引。

 6つ目のGIタイトルを狙う名牝ブエナビスタは、新星ダークシャドウをしたがえて中団の前めを進み、その後方でトーセンジョーダンが不気味に追走。4歳世代屈指の大器ペルーサは後方馬群でじっくりと末脚を温存した。

 前半1000メートル通過56秒5。独り旅を続けるシルポートが刻むハイペースが、直線での“死闘”とゴール後の“驚愕”を生む要因となった。

 直線に入って手応えが一杯になる先行勢のなか、唯一別格の脚で先頭に躍り出たエイシンフラッシュがそのまま押し切りを図るが、ハイペースの展開を前めで競馬した“ツケ”が襲う。

 残り200メートル。エイシンフラッシュの脚色が悪くなるや、馬場の真ん中を伸びたトゥザグローリー、馬群を縫って鋭く伸びるブエナビスタとダークシャドウ、さらに大外をペルーサが栄光のゴールへ真一文字に伸びる。そんななか、出色の末脚で坂を駆け上がったのがトーセンジョーダンだった。

 上がり3Fはペルーサ(33秒9)に次ぐメンバー中2番目に速い34秒2。ピンナ騎手のムチの連打に応えるように力強く伸びると、ダークシャドウを半馬身抑えて悲願のGIゴールへ飛び込んだ。

 クライマックスはまだ続く。掲示板に灯されたレコードの赤い文字。1分56秒1は、従来の日本レコードを0秒3上回る破格のレコードタイムとなった。

 トーセンジョーダンは父ジャングルポケット、母エヴリウィスパー、母の父ノーザンテーストという血統。通算成績16戦9勝。重賞は10年のアルゼンチン共和国杯(GII)、11年のアメリカJCC(GII)、札幌記念(GII)に続く4勝目。GI初勝利。

 ニコラ・ピンナ騎手はこの勝利がうれしいJRA重賞初勝利。池江泰寿調教師は先週の菊花賞(オルフェーヴル)に続く2週連続GI制覇で、天皇賞・秋は初勝利となった。
 第72回菊花賞(23日、京都11R、GI、3歳オープン、馬齢、芝3000メートル、1着本賞金1億1200万円=出走18頭) 池添謙一騎手騎乗の1番人気オルフェーヴル(牡3歳、栗東・池江泰寿厩舎)が完勝。史上7頭目の三冠馬に輝いた。タイム3分2秒8(良)。

 2馬身半差の2着に2番人気ウインバリアシオン、さらに1馬身3/4差の3着に3番人気トーセンラーが入った。

「圧巻」の内容で、オルフェーヴルが大偉業をやってのけた。

 レース序盤は5番人気フレールジャックが引っ張る展開。中団馬群の外めを進んだオルフェーヴルは、課題だった「折り合い」に不安を覗かせるも、鞍上の池添騎手になだめられながら追走した。

 そのオルフェーヴルをマークする形で進むのが出走馬で唯一、オルフェーヴルに土をつけた経験があるトーセンラー。三冠阻止の筆頭格・ウインバリアシオンは最後方で末脚を温存した。

 前半1000メートル通過は60秒6。その後ややペースダウンすると、2周目3コーナーの坂越えに差し掛かったときには、馬群は一気に凝縮した。そこからただ1頭、別次元の動きを示したのがオルフェーヴルだった。

 2周目から折り合いもピタリと付いたオルフェーヴルは、鞍上の手綱が微動だにしないまま、3コーナー過ぎから外めを徐々に進出。抜群の手応えを残して直線を迎えた。

 そこからはまさに独壇場。直線早々と先頭に躍り出ると、必死の形相で追いすがる後続を尻目に、その差をグングンと引き離した。残り200メートル過ぎてセーフティーリードを築きあげると、最後は手綱を抑える圧巻の内容。三冠馬にふさわしい勝ちっぷりで、ラスト1冠のタイトルも手中に収めた。

 オルフェーヴルは父ステイゴールド、母オリエンタルアート、母の父メジロマックイーンという血統。通算成績10戦6勝。重賞は11年スプリングS(GII)、11年皐月賞(GI)、11年日本ダービー(GI)、11年神戸新聞杯(GII)に続く5勝目。池添謙一騎手、池江泰寿調教師はともに菊花賞初制覇となった。
 第16回秋華賞(16日、京都11R、GI、3歳牝馬、芝2000メートル、1着本賞金8900万円=出走18頭) 岩田康誠騎手騎乗の2番人気アヴェンチュラ(牝3歳、栗東・角居勝彦厩舎)が“横綱相撲”で、牝馬三冠最終戦を制した。勝ちタイム1分58秒2(稍重)。2着には7番人気キョウワジャンヌ、3着には1番人気ホエールキャプチャが入った。
 故障で春二冠を棒に振ったアヴェンチュラが、ラスト一冠でヒロインの座を射止めた。
 レースは、逃げるメモリアルイヤーが前半1000m通過58秒3のハイラップを刻む展開。7~8馬身ほど離れた2番手集団をアヴェンチュラが追走し、直後のインでキョウワジャンヌ、外でホエールキャプチャが脚をためた。中団馬群を形成したのはオークス馬エリンコート、ローズS2着マイネイサベルなど。スタートで行き脚がつかなかった桜花賞馬マルセリーナは後方2番手でレースを運んだ。
 勝負どころの3~4コーナー。2番手を追走したアヴェンチュラが鞍上・岩田康騎手の叱咤に応えて逃げるメモリアルイヤーを捕まえにいくと、直線早々と先頭に躍り出る。そこからは「強い」の一語。終始インコースでためた脚を解き放ったキョウワジャンヌ、悲願のGIタイトルへ力強く伸びるホエールキャプチャの猛追を一切寄せつけず、後続に1馬身1/4差をつけて堂々の押し切り勝ち。“横綱相撲”でゲートに立てなかった春二冠のうっ憤を晴らした。
 アヴェンチュラは父ジャングルポケット、母アドマイヤサンデー、母の父サンデーサイレンス。全姉に08年オークスなどGI2勝馬トールポピーがいる血統で“姉妹GI制覇”はグレード制導入の84年以降、ダンスパートナー&ダンスインザムードに続く2組目の快挙となった。
 通算成績6戦4勝。重賞は11年クイーンS(GIII)に続く2勝目。岩田康誠騎手は08年ブラックエンブレム以来2度目、角居勝彦調教師は初の秋華賞制覇となった。