どっちもある名言集  著:ペズル

 

タイトルの通りなんだが、どっちもという概念に幅があって、

対義語の場合もあれば、否定の場合もあるという感じで

結局なんか、似たようなはなしを集めただけだよなという

いささか物足りないというか、もうちょっと、内容がちゃんと反対になってないと

どっちもあるとも言い難いのではと思ったりしながら読んだのだが

多分、そういう読み方をする本ではない

 

ちょっと名言の出どころに偏りがあるようにも感じたのだけど

総じて、日本人の名言の方が長いというのが興味深いところで

一言で言い表すことがないといったらいいのか、

あるいは、外国の言葉は意訳されてるから短いのか

このあたりがわからんところだけど、面白い違いだと感じたのである

成功における発想と努力の対比だとか、

慎重さと大胆さとか、まぁ、そりゃ場合によってどっちもあるだろうということは

なんとなくわかっているのだけども、それをあえて名言で対比させて、

引用によってけむに巻いてくる話しに対抗する手段として

覚えておいてよいのかもと、いらんことを考えたりするのである

でも、名言ってだいたい読んだ瞬間は、いいこと言ってんなーと思うのだが

その後覚えていることないし、さらに対比まで覚えるとかは

俺には無理だなと、結局、そうかもねーと思うために読み続けたというか

目を流していった感じでありました

 

これが心に残ったという名言には、残念ながら出会えなかったのだけども

教訓というのに裏表があるのは当然だと

改めて思い知ったりしつつ、でも、これこそ、

人によるという話しの最たるものかと納得したりで

ぼちぼち読み終えたのでありました

中学生くらいの読書感想文とかに使うと良さそうな気もするな

ある編集者の主観  著:小寺智子

 

名うての女性編集者によるエッセー、というよりは、

箴言集に近いものだった

編集者であるもののディレクターというか、プロデューサーというか、

仕掛けを考えるという仕事をしている人のようで、

縦横無尽に自分がやりたいことを貫いていくという、

まぁ、肩ひじ張った生き方なので、軋轢や衝突もすごかろうと思うのだが

それを当たり前に進めていくという強さみたいなのが

文章の端々から漂っていて、小説や漫画のキャラクタみたいな人だなと

感じたのでありました

 

キャリアと、実情から、どうしても女性というガワができてしまうけども、

根っこのところは成功者の心得が充実しているという感じで

女性だからというではなく、成功者の資質を女性という立場で執行している

そんな感じなのだけども、相談などを持ちかけるのが

おそらくは若い女性が多いと見えて、そちら向けに言葉を選んでいる感じだが、

読むほどに、いわゆる男らしいと思ってしまうというのが

なんといえばいいのか、前時代的なそれなんだけども、

多分それよりも次の段階で、この言が社会の率いるものに必要な面魂なのかもしれんと

思ったりしたのであった

自分がやる、自分でやる、そのために厭わない

そして、誰をどうしたいか、そのために、捨てるものがあること

軋轢がたつこともものともしないというのは、

女性コミュニティでは理解しづらいものかもと思うのだが、

結果として、それが自分の味方、内側を守るというのもまた事実としてあるだろうと

感じたりしたのである

 

実際一緒に仕事したわけでも、会ったこともないので、

言葉はそのままよいものとして受け取ってしまうわけだが、

もし取引先で出てきたら、まぁなかなか大変な人だろうなと感じるところも多く

凄いバイタリティだと感心したのである

そうかと思うと、この近くに結婚したらしく、

それによる人生観の転換や、考え方の変遷も面白く

基本的に柔軟だといってしまえるけども、

やはり、その一貫というものが、自身のそれにしか向いてないから

これまた、敵が多そうだなと感じたりもしたのであった

 

やることリストでは、早いところ宇多田ヒカルと会った方がいいんじゃないかと

そのインタビューが雑誌とかになるのが、ちょっと面白そうではないかと

感じたりしたのであった

でもまぁ、喧嘩になって世に出ないかもしれんなと思ったりするのである

 

サプライズ・エンディングス 罠  作:ジェフリー・ディーヴァー

 

どうやらこっちが先に発表だったらしいのだが、

嘘の方と同じく、こっちは罠をテーマにしていると思うのだが

まぁ、嘘も、罠も似たような話しだよなと思いつつも

こっちは、シリーズものの外伝短編みたいなのが載ってて

ちょっと前に読んだウォッチメイカーとの最後の戦いの話しの

前日譚もあって大変面白かったのである

 

こっちはよりエンタメ振りといっていいのか、

秀逸だったのは、ロミオとジュリエットを本歌取りしたような話しで

これがなかなか面白かった、事件の起こり自体よりも、

そのネタ晴らしの方が長くて、それでもぐいぐい読まされるというのが凄い

それでいいのかという展開にもなるのだが、

漫画っぽくてかなり面白くてよかった、こちらもまた

特有の外連味が派手にさく裂している感じである

 

コメディといっても差し支えないくらい、

より漫画っぽい派手な話が多いので、かなりさくさく読めたのだが

自身を揶揄しているともとれそうな、作家を作戦家にして

ギャングをはめようとかいう話しと、

その末路というのに、嗜虐というか、皮肉がふんだんに含まれていて

これもまた、切れ味鋭いと楽しんだのである

 

かっこいい、派手、スリリングと

エンタメの極意をこれでもかと詰め込んだみたいな話で

小難しい話しで全体をちゃんと把握してなくても

なんか、勢いで読んで、凄く面白かったと思えてしまう

この凄さというのを堪能できた短編集でありました

入り組んだトリックや関係でもあるのだが、

巧妙に嘘をついている文章が、その面白さに拍車をかけるんだなと

サプライズエンディングなる、どんでん返しの妙を楽しんだのであった

サプライズ・エンディングス 嘘  作:ジェフリー・ディーヴァー

 

短編集であります

リンカーンライムシリーズで、よく知った名前と思いつつ

そのどんでん返しを楽しむ作品が切れ味鋭い短編になっていました

面白かった、なんとなく読んでても

あれよあれよと話が進んで気づいたら解決というか

まさにどんでん返しのエンドが待ってるというのが癖になって楽しい

 

嘘という副題が、日本訳版だけなのかわからんが、

短編には通底して「嘘」があったと思うのだけども

単純な勧善懲悪ではないところがよくて、

いかにもドラマチックといえばいいのか、

古き懐かしいハリウッド映画にあったみたいな、外連味たっぷりの展開とセリフ回しが

ステキで楽しめたのであった

印象的だったのは、刑事と元軍人の兄弟の話しで、

どちらもがある意味で嘘をつきながら、お互いをかばっているという構図が

終わってみたら最終的にはとてもいい話だったと

この人情味たっぷりな感じが素晴らしくよかったと思うのである

 

なんだかんだ、人の復活を信じているといっていいのか、

ある種の善人性が出てる話しに読めて、凄くよかったのであった

酔っ払いの軍人崩れが自身を取り戻すような話しだとか

上位層のいたずらを義憤に駆られてはめる話しだとか

これがまた、悪を行使しているけども、行使された側もまた正義面した悪とでもいうか

割とすぱっと気持ちよくなれる話しでもあるので

若干の安っぽいポルノ的な楽しみ方にもなりそうだけど

刑事が嫌らしく犯人であるが、一種のレジスタンスをあげてというあたりで、

レジスタンスの肩を持つなんていう、実にありきたりながら、

最高にかっこいいシチュエーションをさらっとやってるのがよかった

こういうけれんみが、なかなか出ないよなと

必要な嘘みたいなテーマをやっつけているのが凄くよいとにやにやしたのである

 

推理物といっていいのだろうけど

それ以上にエンタメとして楽しすぎると思うのである

NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」

視聴完了しました

思ったよりも早くというよりは、小一郎が未だに幼いといっていいような

甘さというものを指摘する回といった感じで、

考えてみると、第一話というか、冒頭からそうであったと

甘い理想論によりかかる小一郎と、現実的で実行力のある秀吉の対比といったものが

ありありと出て、それを裏付けるのが丹羽殿というのが

個人的には、すごくいい役回りだなと感心したのである

このドラマは、丹羽をいい感じで描いてくれるから結構好きだわ

三谷幸喜の清須会議の時もそうだったが、

織田家でも指折りの家老といって差し支えない丹羽を大物としては少し足りないが

それでも実力者という、いい塩梅がとらえられててすごく好きなのである

ここに、前田が説得にきて現実を知るというのは、

このドラマでは書かれることはないであろう、秀吉晩年から、家康時代に入った時の

前田の生きざまに反映されそうでもあるエピソードよなと

思ったり考えたりしたのである、渋い

 

結局そういう意味でも、大局を見ているのが、

秀吉、お市様、丹羽殿といった感じで、

実行力の点でもその順番かといった感じながらも、

お市様が、もはや死に場所を探しているといえるような感じでもあり

誇りのために死ぬ覚悟というのも見せたから、

来週の賤ケ岳もあれよあれよと死ぬのであろうと思ったりしたのである

しかし、秀吉の躍進が素晴らしいと思える内容で

大変よかったと思うばかりである

芝居がかっているけど、それは覚悟というか、目指すものがあるうえで

必要に迫られやっているといった感じで

滝川勢へのやりようも、いかにもという猿芝居であることを隠すこともなく、

それをみんながわかっているという一種異様な感じが素晴らしく

あれは、現実社会でもそんなもんかもなと、

そこにたどり着いていないというか、それを違和感とする

ある意味で現代的というか、若いといってもいいのかもしれない

小一郎のありようが、もやっとするんだが、それでこそこの大河の小一郎の役回りかと

納得もしたのである

 

結局のところ、もう一度お市様と語り合うことはないのであろうが、

いや、もしかしたら、降伏の使者として再度何かあるのか、ないのか

次週が楽しみである

 

官兵衛がしたり顔で付き従っているのだが、

あいつもまた、腰ぎんちゃくというか、なんか、もう一つキャラがつかみづらいなと思うのだけども

秀吉の嫌な部分のいくらかを請け負う役割でいるようで、

なんとも大変な所帯だなと、最初から変わらない小六がとても愛おしく感じるのであった

小六の死にざまは特に派手ではないけど、なんかやってくれそうなドラマだよなと

ちょっと期待してるのである

集団浅慮 「優秀だった男たち」はなぜ道を誤るのか?  著:古賀史健

 

ビジネス本かと思っていたんだが、

いや、実際にビジネスに役に立つ内容ではあったものの

類例というか、発端がフジテレビの不祥事なので

なんとなし下世話な気分になってしまったのであった

読み方が悪いよな

 

フジテレビでも、中居氏の問題を取り扱った内容だったわけだが、

そこで行われた様々なミスが、何をもとに導き出されたのか

これは、別にフジテレビに限らず日本中のどこにでも落ちている事例でないか

そういうお話で、みんなが一見正しそうなことを言う

それに流されるということが当たり前になるという

ムラ化といった感じがどう湧いてくるのか、それが集団浅慮という言葉で

うまく表されているということが、まぁ、事例を紐解きながら書かれていたのである

 

この本としては、ここでまとめたものよりも、

原書とでもいうべき、フジテレビの報告書を是非読むべきだと

そういう感じなのだが、当然読む気もないので、ここに書いてある要約をうのみにしてしまうのだけど

これもまた、集団浅慮のひとつではないかと、個人ながら読者という集団となって

それを信じてしまうということをしているようなとか、

ちょっと考えすぎというか、無理やりもってきすぎだなと思いつつ書いてしまうのだけども

その場の空気に流されるというか、善悪やなんだといったものが、

集団の暗黙知にゆだねられるというのは

内輪という不気味さみたいなのと一緒だなと思ったりするのである

それは居心地が良いが、極めて排他的になるわけで、当然そこに軋轢や落差が生まれてと

まぁ、それを文化と言ってしまったばっかりの悲惨と

そういうお話でもあるかと考えたのである

 

実際のところ、悪乗りというべきものを良しとした

そういうカウンターカルチャーでのし上がった業なので

これは必然であったのだろうとも思ったりしたのである

とはいえ、ふわっとした内容だけだが、

かなりヤバイ事案だったのが伺えて、なんとも嫌な気分になったのであった

これをやらされた女性管理職やら、様々な人の苦労も聞くに堪えないといった感じであったわ

原書にそう書いてあるというか、

こういう時に何が文書化されるのかというのがよくわかるところとして、

その時の食材が食べられなくなった、というフレーズがやたらいっぱいでてきたのが印象的であった

それが何かわからんが、そういうことがPTSDの諸症状でもあるんだなと思わされるというか

文章の特性みたいなのを見たような気分になったのであるが

それは特に関係ない話しだな

 

というわけで、読んだし、理解したと思うのだが

知らず内に同じ過ちを犯すことはきっとあるんだろうと

こわごわ過ごすといった感じである

染まらないというでもないが、判断が外から見てどうあるか

それをちゃんと考えて、避けるではなく、検めるということが重要だなと

肝に銘じるのであった

ファイア・ドーム  作:辻村深月

 

過去に起きた2つの事件と、つながりを感じさせる新たな事件が2つ

そこに関わった小学校教師と新聞記者、被害者家族、加害者家族、

様々な人たちをとりまくものを描いた作品でした

かなり重いのだけども、今まさにといってもいいような「空気」の正体が

どうしてという想いとともにつづられていて、大変よかった

 

上下巻の相当に長い物語なんだが、

個人的にはだれることなく、ずっと話が展開していって

しっかりと着地したという心地があって、凄くよかった

ちょっとくみ上げられすぎているような気もするけど

扱っているテーマにまっすぐ挑む感じが心地よく

安易に善悪を断罪するようではないで、

考えて、自分はこうだと定めるといった感じが凄くよかった

 

感想もどこから手をつけたらいいのかといったくらいなんだが、

どの問題も重厚に展開しているので、圧倒されてしまったのだけど

とりわけ、「怒ったり悲しんだりする権利を奪われた」というセリフが

非常に重く、そして、この言葉の意味が個人的には読みながら変化したと感じて

とてもよかったと感じ入ったのである

初見でこれを見て、ああ、まさに今こういうことあるよなーと、

最近のSNSでの流行を筆頭にした、何かに群がるように消費する様というのが

誰かのものを奪っている、あるいは、その象徴となったものそのものが消耗消費するというのが

凄く居心地が悪いと思っていたので、まさにと感じたのだけども

後半に、これを聞いて「弱気な」と怒るといった話についてもまた、

その方面から見た時に、無責任や逃亡に見えるというのもまた

わからないでもないのかと絶望したのであった

奪っている人たちは、奪うと思っていないのだが、

その中心にいる人にそれを行使することを強要しているかのようでもあるというのが

結局、どちらにもという話しなのかと

暗澹たる気持ちになったのであった

 

事件としては誘拐事件と、過去の殺人事件の真実というものが扱われていて

このあたりも、惨いといっていい話しなんだが、

この周辺の方がより惨いところで、こちらもまた大きなテーマとしての

無責任な噂話というものが、またまた、非常に気になるところであった

これも本質的には同じことというか、根っこは同じでできているんだろうなと

思わされる内容でもあり、辛く重いなと感じたのであった

 

非常にまじめに面白く、流行の推し活にもまた通ずるような

源流を見たような気分になったのであった

昔からあるのだろうけども、これはもう、人類が社会を構成する以上

ずっとついてまわるものなのかもなと、昨今はそれが激しくなりすぎているようにも思うが

以前は見えなかっただけで、この物語のように狭い範囲では燃えていたのかもしれないと

ファイアドームを思うのであった

NHKで古いドラマの再放送でありました

主演が、若い頃の池松壮亮と中野太賀で、奇しくも現在の大河ドラマと

同じキャスティングというものでありました

愛知県の優秀中学から、戦争志願をしたというお話で

非常に重たい内容ながら、すごくよくできたといっていいのか、

当時の戦争へ向かわせるという大きな流れが描かれていて

興味深く見たのでありました

 

個人的に見所と感じたのが、それまで優秀校の学生らしく、

戦況を皮肉めいてみているという状況で、

卒業生の軍人がきて一説打つところで、

まさにアジテーションとはこういうものかと衝撃を受けたのである

実にうまくといっていいのだろう、皮肉めいた姿勢でいるということを批判する、

それは何も解決していないからだという論法が鋭くて、

これはどの面でも使える内容であるなと恐怖を覚えるほどだったのだが、

事実、ドラマで見ているのに、この戦況とは別で、

後方からあーだこーだというだけのやつとかを見ることが多いだけに、

いや、それは自分も含めてだなと反省させられて、何かどこかへ向かわねばと

思わされるような強い力があって怖かったのでありました

自分は、なんだかんだ、こういうのに弱いので、

おそらく同じく戦時であれば、ようようと志願していただろうなと思うばかり

福士誠治がその軍人をやっていたんだが、実によかった

訴えかけるようでいて、恫喝でもあり、煽動であるというのが素晴らしい

 

ああいった感じで、また教員たちも生徒をどう扱うべきかで悩むという状況

でも、悩みとしては、一兵卒とするには惜しく、より強い飛行機を作れる人材にというのもまた

考えさせられるところであるものの、生きるとはの意味が、今とは本当に違っていたのでは、

いのちをどう灯すかが、もっと身近で、自分の中に必ずあったのではないかと

当時の人の想いや、感覚というものを触ったように感じたのである

多分今と、生きるの概念が違うんだと思われる、

だからこそ、あのアジテーションがきくし、そうありたいという志が

共通していたのではないかと考えたり

 

そんなわけで、ずいぶん重いものを見たのだが、非常に興味深くというか

戦争を考える時期にうってつけの内容だなと、流石に年を食ったせいか

じっくりと考えてみたのでありました

 

と、まぁ、そう書いておきながら、ドラマを見ていて、

中野太賀が一人突っ立ってる河原のシーンで、

あれ?虎に翼でも同じところで感動的な後に死んでなかったか?と

妙なデジャヴュを感じていたのも確かなのである

ロケ地候補なんて限られてるから仕方ないだろうと思うのだが、

役者の年齢が違うけど、同じような時期を扱ったドラマで

同じような場所で、なんか、印象的な演技をというのが

なかなか凄い一致だなと衝撃を受けたのでありました

中野太賀、何回戦時中に殺されてるんだ、似合いすぎる、この時まだだいぶ若いのに

と、この頃から凄い演技うまいなと、そちらにも釘付けになったのである

無論、池松壮亮もずば抜けて上手いと思ったんだが、

池松壮亮は特に声がいいなと、感情を触ってくるようなセリフが凄いと

どちらも旨いななどと、感心して見終えたのでありました

 

しかし、戦争も80年以上前となれば、当然空気や慣習も変わっていて

多分、意識道徳といったものが、地続きなのに異なるんだなと

急にわかったような気がしてしまったのである

ところで、愛知一中ってのは、旭丘か、岡崎か、どっちなんだろう

名古屋っぽかったから、旭丘かな

なんか、ずいぶん評判がいいので、まったく知らないコンテンツだけど

見てきてしまった

子供向けというわけでもないと聞いていたけども、

実際のところは、まぁ、子供が見ても別に問題ないというか

切ない話しで、お子様が盛り上がるかというと

そういう話しではないよなと思いつつも、

物凄い数の親子連れに紛れてみてきたのである

す、すみません、独身初老で見に来て申し訳ない

 

本当になんもしらないので、どれがちいかわなのか、

そもそも「ちいかわ」が固有の名前なのかもわからないまま見ていたんだが

猫のような愛らしい生き物が、魔物討伐で島に行くという話しで

島で、ほんわかしたお祭りみたいなムードから、

人魚とセイレーンのおとぎ話的な感じかと思いきやと

まぁ、そんな具合でありまして、色々あってめでたしか?みたいな感じで終わるという

ビターな内容だったわけで、大人も楽しめるというのは

まぁ、わからんでもないが、これを楽しめる大人は

ちょっと歪んでるあるいは、疲れている可能性があるから

違うのではないか、やはり、オタク向けのコンテンツなのではないかと

付き合わされた子供たちが可哀そうな気がしたり、しなかったりだったのである

無論私は楽しんだ、疲れている初老だからな

 

可愛らしい見た目で、どこか怖いという

セイレーンのデザインが見事だなと思いつつ、

割とそこらにありそうな行き違いというか、それぞれのエゴが見えるような

怖いのが来たから祀っていたら、だんだん居付かれて困っていたとか

そういうお話だったわけで、このスジだけなら

物凄く日本の民話っぽいなと感心したのだけども

お子様がちゃんと飽きないようになのか、映画として成立するように、

結構ミュージカルっぽい仕立てになっているのが秀逸で、

正直話しについては、さほど起伏があるわけでもないけど、

突然挿し込まれる歌と踊りで強引に楽しそうな気分に持っていかれるのが

凄くよくできてて感心してしまった

また、物凄くノリノリというでもなく、でも、ノれるという絶妙なラインの

ラップなのか、テクノなのかわからない楽曲とかがかっこよくて

またまた、セイレーンの歌が必要以上に旨かったりして

聞いていて楽しかったのでありました、コーラスがいいというセリフに騙された気もするが

実際によかったと思うのである

 

話がビターだったというのも、まぁ個人的な感想にすぎないのだけども、

勧善懲悪ではない、そもそも誰が善で悪なのかもないというか、

色々ずれているという妙がありつつ、でも、因果応報とでもいうような感じもあって

ちゃんと映画が終わって、ラストシーンまで見ないと完結しないタイプだなと

そこを描写しない様に感動したわけだが、

そこかしこから伝わる悪意というか、恐怖みたいなのが

よくできてていいなと、永遠の命に与えるものが、

身体ぴったりの檻に閉じ込められて暗いところに放置という

残酷きわまりない感じを、さらっと愛らしく明るくやってるのが

大変怖いと思ったりしたのであった

別段、血がでたりしなくても恐怖は発生するのだなと改めて思い知らされたのである

 

しかし、ちいかわ達が何か活躍して物語が進んだかというと

全員が狂言回しでしかなく、結局のところ、

島の二人とセイレーンと人魚だけの話しだったようにも思うのだが、

だからこそいいのか、主人公たちが部外者で傍観者という

名探偵みたいな位置なわけだったけども、

飽きさせないように、さらに、まったく無関係の島次郎なる謎の人物が出てきたりして

楽しく見られたのでありました

貝汁食べたいと思ったりした

 

あと、どうでもよいところだと、植物の描写が凄く凝ってて

熱帯植物の有名どころは全部投入されていたといった感じに見えたのがよかった

謎の果物の正体はまったくわからなかったけど、モンステラにハイビスカス、

しれっとヒスイカズラまで紛れていたりして、良い感じで植物園の温室っぽくてステキと

妙に感心したのである、ちゃんと浜辺に近づくとハマナスっぽいのがあるとかマニアックだなと思いつつも

レイに使ってたと思しき、プルメリアが木だけで花ついてなかったのが

芸が細かいとみるのか、たまたまなのかと、いらんことを見ていたのである

架空の島で、架空の動物が跋扈してるのに、

植物だけ妙にリアルなのがこだわりだったのかが、凄く気になるのであった

柩の狩人  作:大沢在昌

 

ちょこちょこ読む作家さんだったけど、

本格のハードボイルド作品は初めて読んだんじゃないかと

思いっきりのめり込んで読んでしまった、面白かった

これまで読んだのが少し緩めでコメディ寄りだったこともあり、

シリアスに進む展開に戸惑ったのだが、

変わったこと、というか、なんか斬新なというのとは違う

骨の太い、まっすぐな刑事物といった様態で大変よかった

 

突然のビル崩落事故から始まって、

そこに巻き込まれた身元不明の遺体の正体を探っていくと

いくつかの事件が浮かび上がってきてという感じで、

どんどん読まないといけないと、どうなってしまうというよりも、

早く解決しなくてはといった感じで、

別に自分が解決するわけじゃないんだが、読むことで進展させているように

錯覚するというか、まぁ、ともかく面白かったのである

バイオレンスやアクションもそこそこにあるのだが、

そこが派手すぎず、強いとか、怖いとか、

そういうものがわかりやすい動きとかではなく伝わるような

これが、会話からだったのか、なんの描写からやってくるものなのか

まったくわからないが、はらはらしながら読まされたのである

 

公安も絡むような不気味といってもいい事件もあったりしながら、

アングラに踏み込んで、ここがヤバイのに、公安側もよりヤバイ感じで

なんというか、すげぇなこれはと思わされたりしながら

このあたりは、地味といいつつすこぶる劇画的な展開なんだけど

これが、抑えがきいていた分というか、ともかく面白かったのである

盛り上がりも渋く組みあがっていって、最終的な決着もすごく良かった

 

展開もじっくりしているように見えて、

次々と進んでいくので、ぐいぐい引きずり回されるみたいでよかった

絶妙にはらはらさせられるというか、今の自分にはぴったりとして

凄く楽しめたのでありました

話題とかテーマでなく、物語の進行そのもの、テンポみたいなものが

凄くマッチしていて、没入しながら疲れないほどよさで読めて、

様々なバランスがよくて、最後までいいテンションで読めた

 

しかし、暴力団は今となっては大変な生業なんだなと

改めて思い知るようで悲しいというのか、

そこから動けないという人となりに憐憫を感じるのは

それこそ、今だからなのかとも思うのである