三谷幸喜のありふれた生活18 時の過ぎゆくままに 著:三谷幸喜
連載エッセーの単行本
ちょうど「鎌倉殿の13人」の脚本を書き始めたあたりの頃のようで、
その裏話でもないが、どういう想いで書いていたかが読めて
なかなかに楽しい一冊だった
著者の心がけ通りに、日ごろあった、他愛のなさそうな話しとかを
出来るだけ嘘なく、隠しごとなくというポリシーの通りなのか、
それも嘘なのかわからんのだけども、お子さんとの微笑ましいやりとりとか、
ほのぼの読めてよかったのである
とはいえ、かなりの英才俊英ではないかと思わせるようなことが書かれていて
親としても嬉しいのだろうけども、本当凄いな最近の子供わと
思い知らされるようでよかった
様々な俳優さんの話しも面白いのだけども、
氏が愛してやまない、アガサクリスティーの話しや、映画のあれこれなんかが
本当にとても楽しそうな筆致で、すばらしいなと読んでいて
こちらも楽しくなるようで、とてもよい
また、日常でも、日々年老いてきている自覚が端々から感じられ
事実、自身でもそう思いながらも、その年寄りになってきているということを楽しもうと
そういう気概に溢れているようにも見えてよかったのであった
愚痴っぽくないというのがやっぱりよいね
とはいえ、この連載中、ずいぶんたくさんの訃報があったようで、
関係するかなりの数の俳優さんが亡くなられていて、その追悼文めいたものとかが
いくつも、笑えるではないけども、決して暗くならない明るくなりすぎない
そういう、しんみりよりは楽しい気分になる文章でつづられているのが印象的だった
終わりにおまけとして、古畑任三郎の小説プロットが掲載されていたのだが、
ドラマやコントというより、ちゃんと叙述トリックを駆使しての小説でと意気込んでいたようで
面白かったけども、それこそ計算づくが目についてしまう感じで
氏として、それはそれでよかったのかと思ったりしたのだが
楽しかったからいいかと独り言ちるのであった
しかし小学生の頃からの大河ドラマフリークかつ、
ミステリ大好き少年だったという懐古がいくつか見られるが
なかなかその頃から尖ってるなと思わされたのは
安穏といきた平凡の思うところなだけなのだろうか
息子氏がどう育っていくのか、楽しみのようでもあるが、心配でもある