第1話:雪が降り続ける村

ある村には、永久に雪が降り続けるという不思議な伝説がありました。この村は周囲を高い山に囲まれており、季節の移り変わりもなく、一年中雪景色が広がっていました。



村人たちはこの状況に慣れきっていましたが、外部から訪れる者にとっては驚きの連続でした。そんな村には、一軒の小さな家がありました。その家に住む老婆が、村の中でも特に不思議な存在とされていました。



老婆は一度も村を出たことがなく、ほとんどの時間を自宅で過ごしていました。しかし、その家の周りには美しい庭が広がり、雪の中でも色とりどりの花が咲いていました。村人たちは、老婆がどのようにして庭を育てているのか、その秘密を知りたがっていました。



ある日、村に旅行者が現れました。彼は老婆の家を訪ね、庭に咲く花たちに驚きました。彼は老婆に花の育て方を尋ねましたが、老婆は笑顔で答えました。「これは私が長年の間、大切に育ててきた花たちです。」



旅行者は不思議に思いながらも、その美しい庭を楽しんでいました。その夜、村は珍しいほどの大雪に見舞われました。村人たちは驚きましたが、老婆の家の周りだけは雪が積もりませんでした。



翌朝、村人たちは老婆の家を訪ねましたが、老婆は姿を見せませんでした。代わりに、庭には美しい花たちが一面に咲いていました。村人たちはその光景に感動し、老婆の不思議な力を讃えました。



以後、その村では老婆の家を「花の家」と呼ぶようになりました。そして、その伝説を聞いた人々は、老婆が雪を降らせる力を持っていたのではないかと噂し合いました。

 

 

最終話:永遠の雪

村人たちは、「花の家」の老婆が雪を降らせる力を持っているのではないかと噂し合いましたが、老婆はそのことについて何も語りませんでした。それでも、村人たちは老婆を尊敬し、彼女の存在を大切に思うようになりました。



ある日、村は突然の異変に見舞われました。普段ならば穏やかな積雪が、急速に増え始めたのです。村人たちは混乱し、次第に家々が雪に埋もれていきました。その異常な状況に、村人たちは老婆の元を訪ねました。



老婆は村人たちに告げました。「私はこの雪を止めることはできません。しかし、この村を守るためにできることがあります。」彼女は村人たちに、庭に咲く花たちの力を借りて、雪を村から遠ざける方法を教えました。



村人たちは老婆の言葉に従い、一丸となって花たちを守り育てました。すると、不思議なことに、花たちは力強く成長し、雪を跳ね返すようになったのです。村は次第に雪から解放され、再び穏やかな日々が訪れました。



この出来事をきっかけに、村人たちは老婆の不思議な力と、花たちの神秘的な力を信じるようになりました。そして、その村は「永遠の雪」という厳しい環境に立ち向かいながらも、互いに支え合い、美しい花と共に暮らすことを決意したのでした。