主人公の名前は田中雄介。都会のアパートに住む独身の男性で、夜型の生活をしている彼はその日も深夜までパソコンの前で仕事をしていた。時計が午前2時を指した頃、突然インターホンの音が響いた。深夜に鳴るインターホンの音に驚き、雄介は思わず背筋を伸ばした。
「こんな時間に誰だろう?」と疑問を抱きながらも、雄介は一度落ち着こうと深呼吸をした。自分の勘違いで、隣の部屋のインターホンが鳴ったのかもしれないと思ったからだ。しかし、再びインターホンの音が響く。今度は確実に自分の部屋だと確信した。
雄介は恐る恐る玄関に向かい、ドアの覗き穴から外を覗いた。すると、目に飛び込んできたのは巨大な大男の姿だった。背が高く、肩幅が広く、顔は影になっていてはっきりとは見えないが、その威圧感は圧倒的だった。雄介の心臓は早鐘を打つように鼓動し、鳥肌が立つのを感じた。
「誰だ?」と雄介は小さな声で自問した。しかし、その時、インターホンではなく、今度は電話が鳴り始めた。焦りながらも雄介はスマートフォンを手に取り、画面を見ると親友の佐藤健一からの着信だった。
「健一?こんな時間にどうしたんだ?」
「雄介、驚かせて悪いな。でも、今お前の家の前に大男を送ったんだ。ちょっとしたサプライズだ。」
「大男を送った?どういうことだ?」
「いや、実は明日お前の誕生日だろ?ちょっとしたプレゼントを準備したんだよ。」
雄介は戸惑いながらも、健一の言葉に少し安心した。健一は学生時代からの友人で、彼の悪ふざけには慣れていた。しかし、玄関の前に立つその巨大な男はあまりにも現実離れしていて、簡単には信じられなかった。
「ちょっと待て、健一。お前、今玄関の前にいる大男、本当に安全なのか?」
「もちろんだよ。まあ、見てみればわかるさ。」
健一の言葉を信じて、雄介は思い切って玄関のドアを開けることにした。ドアの鍵をゆっくりと外し、慎重にドアを開けると、そこには確かに巨大な大男が立っていた。しかし、よく見るとその男は全く動かず、まるで石のように静止していた。
「これは...」
雄介はその大男に近づき、そっと手を伸ばして触れてみた。驚いたことに、それは石の彫像だったのだ。巨大でリアルに作られた大男の彫像が、玄関の前に立っていたのだ。
「健一、お前これ、どうやって運んだんだ?」
「秘密だよ。誕生日おめでとう、雄介。お前の驚いた顔が見たかったんだ。」
雄介は一瞬困惑したが、次第に笑いがこみ上げてきた。長年の友人が自分のためにこんな奇妙で面白いプレゼントを用意してくれたことが嬉しかった。
「ありがとう、健一。本当に驚いたよ。こんな夜中にこんなことをするなんて、お前らしいな。」
雄介はその後、巨大な大男の彫像を部屋に運び入れるのに苦労したが、その一夜は一生忘れられない誕生日の思い出となった。健一のサプライズは成功し、雄介はその友人に感謝の気持ちでいっぱいだった。