日本のスーツ市場は、近年急速に縮小しています。2020年の市場規模は、ピーク時の1992年(1350万着)の約3割にあたる約400万着と推計されています。

この縮小の背景には、以下の3つの要因が挙げられます。

働き方の多様化
近年、働き方の多様化が進み、スーツの着用が求められる職場が減少しています。テレワークの普及や、IT企業などカジュアルな服装が許容される職場の増加などが、スーツ離れを加速させています。

コロナ禍による在宅勤務の拡大
コロナ禍による在宅勤務の拡大も、スーツ離れに拍車をかけました。在宅勤務ではスーツを着用する必要がないため、スーツの購入やレンタルの需要が減少しています。

中国製スーツの低価格化
中国製スーツの低価格化も、日本のスーツ市場に影響を与えています。中国製スーツは、品質が向上するとともに、価格も安価になってきており、競争力を高めています。

こうした要因により、日本のスーツ市場は今後も縮小していくと予想されます。

一方で、スーツ離れへの対抗策として、機能性やデザイン性を重視したスーツの開発や、レンタルサービスの提供など、新たな取り組みが進められています。また、働き方の多様化に対応した、ビジネスカジュアルなスーツの需要も高まっています。

今後、これらの取り組みが奏功し、スーツ市場の縮小を食い止めることができるかどうか、注目されます。