ウガンダから日本までは、飛行機で約1日。たっぷり時間があるので、じっくりと読書ができます。

 

一時帰国の移動中、『多様性の科学』という本を読みました。

 

 

この本は、ウガンダでの協力隊活動の中で生まれた「貧しくても困ってはいないのでは?」「日本の生活を伝えることで、逆に不幸にさせてしまうのでは?」という疑問に、1つの答えをくれました。

 

たくさんの発見があったこの本、協力隊員にも、日本の先生方にも、ぜひ読んでみてほしいです。

 

  この本から学んだこと

視点があるから盲点がある。盲点を減らし、複雑な問題に対処するためには、多様性=多様な視点が不可欠。

これは学校の職員室にも、生徒の話し合いにっも、そして国際協力にも、共通して言えることだと思いました。

 

「難しい問題を解決するには、その道の専門家を集めるべき。」この考えには大きな落とし穴があります。専門家は専門家であるがゆえに、同じような視点から物事を捉えてしまうのです。


専門家集団では、同じ視点が重なるだけで盲点は減らない。

 

でもまったくの門外漢が話に加わることで、別の視点が加わり、盲点が少なくなります。

 

多様な視点で集団を構成すると、盲点が減り新たなものが見えてくる。

 

自分と同じ視点(考え方)を持つ人と集まり、違う視点を持つ人を阻害(あるいは排除)しがちですが、違う視点を持った人からこそ学ぶことが多い。このことを忘れてはいけませんね。

 

  特に印象に残った言葉

    

「少数派の意見は重要だ。集団の視野を広げて発想を刺激する。たとえ意見そのものが間違っていたとしても、新たなアイデアを生むきっかけになり、結果的に質の高い解決策を導き出せる。」

 

子ども達に伝えたい言葉です。子どもたちは間違えることを恐れてしまう傾向にあります。でも間違いがアイデアの質を高めるのだから、むしろ積極的に間違えるべきです。恐れずに間違えることのできる人を育てたいと、強く思いました。

 

また僕の協力隊活動を肯定してもらったようにも感じました。ウガンダにいる僕は明らかに少数派です。僕の意見は、ウガンダでは「間違い」かもしれません。

 

それでも、その意見を伝えることで現地の人たちから新たなアイデアが生まれるかもしれない。

 

「逆に不幸にする」なんて考えずに、新たな視点・新たなアイデアのきっかけとして、自分の考えを伝えていいのかな、と思うことができました。


 

    

「多様性はまだ差別問題や倫理的な問題の一部として語られることが多く、業績を上げる要因やイノベーションを起こす要因として取り上げられることは少ない。」

 

    

「多様性は、気候変動や貧困など現代社会が直面する複雑な問題を解決する手がかり」

 

この2つの文が、貧困問題に対する疑問に1つの答えをくれたように感じました。

 

今までは「途上国の恵まれない環境を、少しでも先進国に近づける」というように、”直線的”にとらえていました。だから「逆に不幸に」という考えも出てきたのだと思います。

 

でも”少数派”の僕が何かを伝えることで、新しい何かが生まれ、ウガンダにとっても日本にとってもプラスになるかもしれません。

 

「支援」ではなく「協力」なのは、多様性の中で”新しい方向”への発展を生み出し、お互いによりよくなっていくためなのではないかと思いました。

 

  まとめ

多様性が新たなアイデアを生み、イノベーションを起こし、よりよい社会をつくる。だからこそ学校で画一的な人間を育ててはいけない。

 

そして今の僕は少数派として新たな視点をウガンダに届けるのが一番の仕事。


「協力隊の一番の仕事は、まだ多様性の低い地域に”少数派”として入り込むことで、その地域の多様性の向上に貢献すること。」


こう思うと、気持ちがとても楽になりました。


その先で何が起こるかはわからないけれど、多様性によって「新たなもの」が生まれる過程を楽しみたいと思います。

 

  本の詳細

書名:多様性の科学

著者名:マシュー・サイド

出版社:ディスカヴァートゥエンティワン

出版年:2021/6/25

 

 

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