昨日、オンラインでこんなイベントに参加しました。

 

アフリカ昔ばなし #03 ~マリの昔と現在の差異、宗教、マリでの経験談〜

 

スピーカーの福井さんは、アフリカはマリという国で遊牧民に弟子入りし、3年ほど遊牧民として生活をしていたという方でした。ラクダに乗って砂漠を渡り歩く生活…もうこれだけで凄すぎます。

 

内容は本当に濃くて、ここではまとめきれませんが、印象に残っている部分をいくつか書き留めておきたいと思います。

 

  均質化は共倒れのリスクが高い

 遊牧民の生活の中では、同じ場所に家畜を集めすぎると餌となる草がなくなってしまい、結局共倒れになってしまう。同じ職業の人ばかりになると、その職業が稼げなくなった瞬間に社会が破綻してしまう。そうならないようにするために職業や社会階級の多様化で、均質化することを避けてきた。

 

 日本では逆に均質化が大切にされてきました。狭い土地で稲作を行って生活していくには均質化が必要だったのでしょう。でも、「今の」日本に均質化は必要なんでしょうか。「出る杭を打つ」文化は、日本社会の共倒れリスクを上げているだけな気がします。そしてこの均質化の文化を再生産しているのは、もしかしたら学校かも…出る杭をもっと飛び出させるような学校を、そして社会を、作っていくにはどうしたらいいのだろう。

 

  ポリクロニックタイム

 遊牧民は(マリでは?)、イスラム歴(太陰暦)と西暦(太陽暦)を両方使っている。1年は365日、1週間は7日、1日は24時間。当たり前だと思っているこの感覚が当たり前じゃない。待ち合わせは、「朝のお祈りの後で」、干ばつがあった年は「おじさんが生まれる少し前」。行事を行う日程も、イスラム歴で数えると雨期だったり乾季だったりする。

 

 「時間を守る」は大切な価値観ではあると思うけど、こういう「なんとなく」の時間間隔の中でのんびりと生きてみるのもアリなのかも。

 

  サハラの厳しい自然?

 サハラ砂漠と聞くと、人間に牙をむく厳しい自然というイメージがある。でもマリから日本に来た福井さんの奥様は、日本の自然の方がよっぽど怖いと感じたらしい。

 

 言われてみれば、地震や津波、豪雨、雷、土砂崩れ、大雪に雪崩などなど、日本の自然の方がよっぽど厳しいのかもしれない。

 

  奥様が驚いたこと

 福井さんの奥様はマリ人だそう。奥様は日本に来て、「賞味期限がある」ことに驚いたらしい。「食べ物の保存場所は、隣の人のお腹の中だ」という諺がある(これはほかの人の話だったかもしれない)ように、余ったものは誰かにあげるという文化。だから食べ物を捨てるということがない。使い終わったお茶の葉ですら、家畜の餌になるから捨てない。

 

 日本では賞味期限があるせいで、大量の食べ物が捨てられている。衛生管理はもちろん大切だけど、賞味期限が過ぎたからすぐに捨てる、という文化は、あまり褒められたものではないのかも。

 

  「民族」とは…

 マリにも様々な民族がいる。けれど、「民族」という言葉には科学的な定義はない。民族は確かにアイデンティティの拠り所になる。でも、幻想に過ぎないものだともいえる。科学的な定義がないから、フランスでは憲法からraceという言葉を削除したらしい。

 

 民族にしがみつくから、民族紛争が起こる。民族という考え方が少しずつ薄れて、民族紛争がなくなるといい。これは何もアフリカに限ったことではない。日本も含め、世界中で同じことが言えるだろう。人種や民族なんて、グラデーションにつながる連続体を人間が勝手に切り分けて、ラベルを付けたに過ぎない。もしかしたら国も文化も同じかも。でも突き詰めて考えたときに、100%「個人」として人と向き合うことはできるんだろうか。

 

  アフリカの力で日本を開発する

 これは福井さんの言葉ではなく、この会の主催者の方が言っていたことです。先進国である日本が途上国を助けてあげるのだ、という意識がどこかにあったけど、逆にいきづまっている日本を救うために、アフリカの力を借りようという発想。

 

 貧しい国を助けるために自分には何ができるんだろう、と考えると難しそうだけど、アフリカから学ばせてもらおう、それを日本のために使わせてもらおう、と思うとすごく心が楽になります。「一緒にいいものをつくろう」という発想にもなりやすい気がする。出発前にものすごく大切なことを学ばせてもらいました。

 

  まとめ

 色々なことを学べたけど、内容以上に福井さんのパワーに圧倒されました。福井さんから頂いたパワーやエネルギーで、前回の記事に書いた不安や悲しみが薄れた気がします。今、すごくポジティブな気持ちです。まだまだ気持ちの波は押し寄せてくるだろうけど、このポジティブな気持ち、しっかりと覚えておこう。

 

 

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