プレゼンテーションのゴールを明確にする

何を伝えたいのか、誰に伝えるのか

「何を伝えたいのか、誰に伝えるのか」という内容については、プレゼンテーションを効果的に設計するための非常に重要な要素です。以下に提案する内容を基にして、プレゼンをより明確にターゲット化し、メッセージを伝わりやすくすることができます。

ここで、会議通訳者としての体験を書きます。イギリスのある工場で開かれたミーティングで、日本の防虫専門家がプレゼンを行いました。その専門家はあらゆる害虫の名前や習性について歩く百科事典のような方でした。3時間ほどのプレゼンだったと思います。参加していた5人ほどのイギリス側の関係者は、品質保証、生産管理、機械などの担当者が中心で、昆虫や動物に詳しい人はいませんでした。最初は熱心に聞いていたのですが、学名の羅列が続く中、彼らは次第に理解が追いつかなくなり、最終的には退屈している様子が、彼らのボディーランゲージからも明らかでした。

 

英語のプレゼンテーションの仕方について書いている本で、マインドセットの章を執筆中です。

熊田 昌彦さんがABC理論について体験を交えてわかりやすい記事を書いてらっしゃるのを偶然見つけ、ちょうど同様のことを考えていたので、参考にさせてもらいました。

このツールを使えば、信念の違いが大きな結果を生むことを理解し、考え方を意識的にポジティブに切り替えることで、より良い未来を築くことができます。

会社からリストラされるという出来事を例に、ネガティブに捉えた場合と、ポジティブに捉えた場合で結果がどのように違うかを説明します。

ネガティブに捉えた例

 

  • A:出来事 会社をリストラされる。
  • B:信念 「自分はダメな人間だ。もう再就職なんて無理だ」「自分のキャリアは終わりだ。これからどう生きていけばいいのか」。
  • C:結果 不安やストレスに圧倒され、何も行動できずに引きこもる、もしくは自信を失い、再就職活動がうまくいかない。結果として、ネガティブな感情や自己評価の低下が続き、立ち直りが難しくなる。

 

ポジティブに捉えた例

 

  • A:出来事 会社をリストラされる。
  • B:信念 「これは新しいキャリアのチャンスだ。今までやりたかったことに挑戦できる機会かもしれない」「これをきっかけにスキルを磨き、新しい分野で成長できる」。
  • C:結果 前向きな感情が生まれ、次のステップに進むために行動を起こす。たとえば、新しいスキルを学んだり、転職活動に積極的に取り組む。自己成長や新しい挑戦への意欲が高まり、結果として新たなキャリアを築く。

 

同じリストラという出来事(A)でも、それに対する信念(B)の違いによって、ポジティブに捉えることで前向きな行動と成長を促す結果(C)を生み出すことができます。一方、ネガティブに捉えると、自信を喪失し、行動が消極的になり、結果的に悪循環を引き起こす可能性があります。実際に、このような例はよく聞きます。事業で成功した人の多くは、成功の前に失職したり、借金を抱えたりと大きな挫折を味わっています。

日本には伝統的に物事をありのままに受け入れる柔軟な思考の土壌も存在します。物事を一面的に善悪で判断するのではなく、両側面を見つめ、そのバランスを理解しようとする姿勢を重んじてきました。

自分の信念の持ち方に気づき、それを意識することで、ネガティブな感情を徐々に手放し、ポジティブな思考へと変えていくことができます。その際、いったんニュートラルな立場に立って物事を捉えることが重要です。出来事自体に善悪はなく、それをどう解釈するかは自分次第だと理解することで、冷静に状況を見つめ直すことができます。意識的に練習を続けることで、次第により健全な心の状態を保つことが可能になります。

本を書いてます。

 

「8時間で完璧!英語プレゼンのマスタークラス」(仮)

第一稿ができたので、ちょっとだけお裾分けします。コメント歓迎です!

 

英語プレゼンで陥りがちな失敗

英語プレゼンでは、言葉の壁だけでなく、文化の違いやプレゼンスタイルの違いなど、様々な要因によって失敗に陥ってしまう可能性があります。

ここでは、英語プレゼンで特に陥りがちな失敗を、以下のカテゴリに分けて解説します。

1. 内容・構成に関する失敗

 

  • 明確なメッセージがない: プレゼンの目的や伝えたいメッセージが不明確で、聴衆が理解に苦しむ。
  • ストーリー性が欠如している: 論理的な展開やストーリー性がなく、話が散漫で聴衆を飽きさせてしまう。
  • 情報過多: 情報量が多すぎて、聴衆が重要なポイントを理解できない。
  • ターゲット層を意識していない: 聴衆のレベルや興味関心に合わせた内容になっていない。
  • 質疑応答の準備不足: 予想される質問への回答を事前に準備しておらず、的確な回答ができない。

2. 言語・表現に関する失敗

 

  • 複雑な文法や語彙を使いすぎる: 難しい単語や表現を多用することで、聴衆の理解を妨げてしまう。
  • 早口で聞き取りにくい: 緊張から早口になり、聴衆が内容を聞き取れない。
  • 発音が不明瞭: 発音が不正確で、聴衆が単語やフレーズを理解できない。
  • 単調なトーン: 声のトーンが単調で、聴衆を退屈させてしまう。
  • スラングや口語表現の多用: フォーマルな場にはふさわしくないスラングや口語表現を使ってしまう。

3. スライド・資料に関する失敗

 

  • 文字だらけのスライド: 文字情報が多すぎて、聴衆が読むことに集中してしまい、話の内容に集中できない。
  • 見づらいスライドデザイン: 色使いやフォントが不適切で、見づらく理解しづらいスライドになっている。
  • アニメーションや効果音の使いすぎ: 過剰なアニメーションや効果音は、聴衆の集中力を妨げる。
  • スライドと説明内容が一致しない: スライドに書かれている内容と説明内容が異なり、聴衆を混乱させる。
  • 資料の準備不足: 必要となる資料が不足していたり、配布資料に誤りがある。

4. 非言語コミュニケーションに関する失敗

 

  • アイコンタクト不足: 聴衆と目を合わせず、自信がない印象を与えてしまう。
  • 表情が硬い: 表情が乏しく、緊張しているように見えてしまう。
  • 身振りや姿勢が悪い: 服装や姿勢が場にふさわしくなかったり、自信なさげに見えてしまう。
  • ジェスチャーが不自然: ジェスチャーがぎこちなかったり、文化的に不適切なジェスチャーをしてしまう。
  • 緊張しすぎて声が震える: 極度の緊張により、声が震えてしまい、内容が伝わりにくくなる。

5. 文化的な違いに関する失敗

 

  • ユーモアが伝わらない: 文化的な背景の違いにより、ジョークやユーモアが理解されない。
  • ジェスチャーやボディランゲージの違い: 文化によってジェスチャーやボディランゲージの意味が異なるため、誤解を招く可能性がある。
  • 時間感覚の違い: 時間に対する意識が異なり、時間配分が適切でない。
  • フォーマルさの違い: プレゼンの場にふさわしい服装や言葉遣いを理解していない。

これらの失敗を避けるためには、事前の準備を入念に行い、練習を重ねることが重要です。また、文化的な違いを理解し、聴衆に合わせたプレゼンテーションを行うよう心がけることが大切です。