地球の片すみで独り言

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20Jul
- セントラルパークの夏の風物詩
  2024年7月20日 (土)前回このブログに投稿したのが、2019年9月15日の「エクソシストの階段」。アメリカのワシントンDCに住んでいる時だった。その後すぐに引っ越しをしてニューヨークにやって来てから、あっという間に5年近くが経ってしまった。今、マンハッタンのアッパーウエストサイドという地区に住んでいる。そこの自宅のある建物から東に向かって7～8分歩くとセントラルパークがある。今の自分の生活の中で、なくてはならない場所の1つだ。そのセントラルパークの夏の風物詩の1つがコンサバトリー・ウォーターに浮かぶヨット。毎年この季節になり、風を受けて水の上を右へ左へと気ままに走るヨットが現れると、「あー、ニューヨークにも本格的な夏がやってきたんだなぁ。」とまるで少年に戻ったようにウキウキしてしまうのである。（下の写真は昨日ウォーキングの途中で撮ったもの。）
16Sep
- エクソシストの階段 Exorcist Steps
  2019年9月15日（日）だいぶ古い映画ですが、1973年のアメリカ映画「エクソシスト」（The Exorcist）を、ご存じでしょうか？この映画は、少女に憑依した悪霊と神父の戦いを描いたオカルト映画の代表作とも言える作品。アメリカでその年の興業収入１位を記録し、第46回アカデミー賞では脚色賞と音響賞を受賞している。オカルト映画にはあまり興味のない小生だが、この映画は結構好きで、DVDも持っている。映画の終わり近く、悪霊を少女から自分の体に乗り移らせた神父が、部屋の窓から外に身を投げ、建物の下にある急な階段を転げ落ちて絶命するシーンがあるのだが、実は、このシーンの撮影場所となった階段が、今、小生が住んでいるアメリカの首都ワシントンDCの我が家の近くにあるということで、今日、そこに行ってみることにした。我が家を出て、西に向かって歩くこと約15分。映画製作から46年経った今も、全く変わっていない階段がそこにあった。今にも、悪霊が乗り移った神父が上から転がり落ちてきそうな雰囲気が漂っている。今晩、久し振りに、DVDでまたこの映画を見ようかな・・・。
19Aug
- ジョージアンハウス
  2016年8月2日 (火)今日、ダブリンを午後５時45分発の飛行機に乗ってスイスに戻る。午後３時20分頃には、ホテルを出ようと思っている。朝食の後、取り敢えずホテルをチェックアウトしてから、残された時間を使って、ダブリンでの最後の観光とショッピングをすることにする。幸いにも、さっきまで降り続いていた雨も、ようやく上がったようだ。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ダブリンには、18世紀から19世紀初頭にかけて建てられた、元々イギリスの建築様式であるジョージアンハウスと呼ばれる集合住宅が残っている地域が何か所かある。ホテルから15分ほど歩いたメリオン・スクエアの辺りに、そのジョージアンハウスが並んだ通りがあるということで、まずそこへ向かうことにする。見ると、カラフルなドアに加え、ドアの扇形のガラスの部分なども、それぞれ異なったディテールになっているものが多い。アイルランドの有名な作家であるイェイツが住んでいた家。彼以外にも、多くの著名人がこの辺りのジョージアン・ハウスに住んでいたようだ。ユニークな形をしたチムニーが並んでいる。メリオン・スクエアの一角には、これまたアイルランドの有名な作家であるオスカー・ワイルドの像がある。彼には、たくさんの有名な語録があり、それらのいくつかが書かれた碑が立っている。例えば、碑に書かれているものの中から一つ選ぶと、"Nothing that is worth knowing can be taught."（本当に知って価値のあるものは、人から教わることはできない。人から教わって得られる知識の中に、本当に価値のあるものなど何もない。）流石に、噛み締めれば噛み締めるほど、「う～ん、そうか。」と思えるような、なかなか含蓄のある言葉である。その後、街の中をぶらぶらと歩く。1840年創立の有名な老舗カフェ「ビューリーズ」で軽く昼食を取る。ただし、元々、ダブリンで最も賑やかなショッピング通りグラフトンストリートにあった「ビューリーズ」は現在改装中ということで、ここは、仮のお店だそうだ。昼食の後、また町をぶらりと歩く。デザートは、街角のお店で買ったアイスクリーム。最後は、アイリッシュ・セーターのお店にてショッピング。自分の好きな白とグレーのセーターがあったので購入する。ホテルを予定通り午後３時半にタクシーで出発して空港へ。空港での待ち時間に、最後のギネス。グッバイ、アイルランド。短いながらも楽しい旅であった。
- キルメイナム刑務所
  2016年8月1日 (月) その２「ギネスストアハウス」の前からタクシーに乗り「キルメイナム刑務所」に着いたのは、午後4時半であった。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ところで、この「キルメイナム刑務所」は、多くのイギリスに対する抵抗運動の指導者が投獄され、アイルランドの歴史の大きな舞台となったところである。独立を目指しながら失敗に終わった1916年のイースター蜂起後にリーダーたちが収監・処刑されたのも、この刑務所であった。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝この刑務所は、ガイドと回るツアーによる見学だけになっている。建物の中に入って指定された場所で待っていると、スタート時間の午後4時45分に、中年の白人男性が現れる。ガイドのKさんである。まるで舞台役者のような低音のよく響く声の持ち主だ。さっそく、Kさんの説明を聞きながら、他の約15名の参加者と一緒に刑務所内を見て回る。刑務所内に併設されたチャペルイースター蜂起のリーダーの1人、ジョセフ・プランケットがこのチャペルで処刑の3時間前に結婚式を挙げた。花嫁は、やはりここに収監されていたグレイス・ギフォードという女性。囚人が収監された独房が並ぶ廊下新しい独房パート今では、アイルランドの独立をテーマにした映画のロケ地として、ここが度々使われているそうだ。先にも書いたジョセフ・プランケットの花嫁グレイス・ギフォードが収監されていた独房の覗き穴からは、彼女が収監中に描いた壁画が見える。この場所で、イースター蜂起の指導者たちが処刑された。約1時間のツアーの後、同じ建物の中にある資料展示室を見学してから、外に出る。そこからタクシーを拾い、ホテルまで戻る。ホテルの部屋で一服した後、先ほどから降りだした小雨の中、ホテルから歩いて15分ほどのところにある「Doheny & Nesbitt」という名前のパブへ行って、軽めの夕食を取る。ここでも注文したのはやっぱりギネス。
18Aug
- トリニティ・カレッジとギネスストアハウス
  2016年8月1日 (月) その１ホテルで朝食を取った後、今日最初に向かったのは、ホテルから歩いて10分ほどのところにあるトリニティ・カレッジ。1592年に英国のエリザベス１世の勅命により設立された歴史のある大学だ。世界で最も美しい本といわれる「ケルズの書」（4編の福音がラテン語で書かれた豪華な装飾本。9世紀制作）やトリニティ・カレッジ図書館の蔵書の中で最も古い20万冊の本が所蔵されている長さ65ｍの「ロングルーム」があることでもよく知られている。トリニティ・カレッジの正門から中に入り、趣のある古い建物などを見ながら、しばらくの間、キャンパスを歩く。トリニティ・カレッジ図書館の一部であるこの旧図書館と呼ばれる建物の中に、「ケルズの書」と「ロングルーム」がある。建物の入り口を入って１階の奥の部屋に行くと、ガラスケースの中に置かれた「ケルズの書」がある。（残念ながら、「ケルズの書」の写真撮影は禁止）「ケルズの書」を見たあと、その部屋を出て階段を上がり2階に行くと、そこが「ロングルーム」。この光景がまた圧巻で、部屋に足を一歩踏み入れた途端に思わずため息がでる。「ロングルーム」の中ほどのガラスケースの中には、アイルランドの国章のモデルにもなった同国最古のハープ「ブライアン・ボルーのハープ」が置かれている。（ガラスケースが光で反射して写りが良くないので写真は省略）トリニティ・カレッジを出て次に向かったのは、あの有名な「ギネス・ビール」の250年の歴史や製造方法などを学べる「ギネスストアハウス」。「ギネスストアハウス」へ向かう途中、「クライストチャーチ大聖堂」と「ダブリン城」に寄って見学する。たどり着くのに思った以上に時間がかかったが、漸く、「ギネスストアハウス」に到着。入口で貰ったパンフレットを見ると、7階建ての建物の各階に、各種の展示やアトラクション、レストラン、ギフトショップなどがあるようだ。何はともあれ、まずは最上階のグラヴィティ・バー（Gravity　Bar）へ行って、早速、ギネスを飲むことにする。セントジェームスゲートという250年の歴史を持つ醸造所に併設されているこの「ギネスストアハウス」で出されるギネスはとびきり美味しいと言われているようだが、そのまろやかな口当たりと言い、コクといい、確かに、これまでに何度も飲んだギネスの中でも抜群の美味しさであった。（正直言って、これまで僕はそれほどギネスが好きではなかったのだが、今回ここで飲んでみてギネスのファンになってしまった。）全面ガラス張りになったバーからはダブリン市内が一望できる。7階のバーでギネスをじっくり味わったあと6階にあるレストランへ行って軽く昼食を取る。ここでも飲むのはやはりギネスである。昼食の後、各階にあるギネスの歴史や製造方法などに関する展示を見て回る。「ギネス・アカデミー」プロに注ぎ方を教わった後で、オリジナルサーバーを使って自分でギネスを注ぐ。「ギネスストアハウス」の中をひと通り見て回って建物の外に出たのは、午後４時過ぎであった。
17Aug
- 夜のダブリン
  2016年7月31日 (日) その２１日バスツアーを終えてダブリンに戻って来たのは午後7時。一旦ホテルまで戻り、部屋で一休みしてから夕食に出かける。ホテルのコンシェルジュが勧めてくれたいくつかのレストランの中から選んだのが、ホテルから歩いて10分ほどのところにある「Hairy Lemon」という名前のレストラン。レストランに着いて中に入ると、随分混んでいる。入って左側は、パブ。右側がレストラン。ほぼ満席である。しばらく待たされるかもしれないと覚悟していたのだが、数分後にテーブルに案内してくれた。ところで、アイルランドといえばパブである。以前住んでいたニューヨークのマンハッタンにも、いわゆるアイリッシュ・バーと呼ばれる緑色を基調としたパブが街のあちこちにあって、当時は、僕も、仲のいい友だちや仕事仲間らと気軽に立ち寄っては、カウンター席に腰掛けて、ピーナッツなどをおつまみにビールやスコッチなどを軽く飲みながら、わいわいと会話を楽しむのが好きだった。ダブリンで、パブが密集しているのが、テンプルバーと呼ばれる有名な地区である。食事の後、そのテンプルバー地区を目指して夜のダブリンをしばらく彷徨してから、ホテルに戻ることにする。夜遅くまで賑わうテンプルバー地区スタッグズ・ヘッド (Stag's Head) という名前のよく知られたパブロング・ホール (The Long Hall)。これも有名なパブテンプルバー地区の裏通りダブリンを流れるリフィーリバーに架かる橋トリニティー・カレッジの正門
16Aug
- モハーの断崖
  2016年7月31日 (日) その１今日は、アイルランドの東端にあるダブリンから、西の端の大西洋に面した「モハーの断崖」へ向かう１日バスツアーに参加することにしている。今日は朝の出発が早くホテルで朝食を取ることができないので、持って行ける朝食を用意してくれるよう、昨日、コンシェルジュにお願いしておいた。朝６時過ぎにホテルの受付に行くと、クロワッサン、バナナ、りんご、ヨーグルトなどが入った紙袋がちゃんと用意されている。この紙袋と、キッチンから持ってきてもらった淹れたての熱いコーヒーを持って、ホテルを出発する。ホテルから歩いて７～８分のところにあるツアーの集合場所に着くと、広い通り沿いに、何台もの大型バスがずらりと並んで停まっている。どうやら、各方面へ向かうツアーの出発場所がここになっているようだ。多くのバスの中から自分が参加するツアーのバスを見つけて乗り込み、空いた席に座る。午前6時40分、ほぼ定刻にバスが出発すると、早速、マイクを口に当てたガイド兼運転手のEさんから今日１日のスケジュールと注意事項についての説明がある。注意事項に関して、Eさんが「時間厳守」を何度も繰り返しているのは、恐らく、時間を守らずにみんなに迷惑をかける参加者が多いということなのだろう。ダブリンを出て３時間ほど走った頃、バスは、「マネーガル」 (Moneygall) という名前の村にあるサービス・エリアに立ち寄る。Eさんによると、アメリカのオバマ大統領の母方の祖先が、1850年に、この村からアメリカに移住したとのこと。その縁で、5年前の2011年に、アイルランドを公式訪問中のオバマ大統領とミッシェル夫人が揃ってこの村にやって来て、住民から大歓迎を受けたそうである。立ち寄ったサービス・エリアには、“バラク・オバマ・プラザ” (Barak Obama Plaza) という名前が付けられている。サービス・エリアの建物の２階には、オバマ大統領訪問時の写真や資料等を展示した“バラク・オバマ・ビジター・センター”(Barak Obama Visitor Cenntre) がある。サービス・エリアを出発したバスは、アイルランドらしい草地の風景が両側に広がる道を西に向かって快調に走っていく。午前10時半、バスは、今日のツアーの最大の目的地である「モハーの断崖」に到着する。正午までの1時間半、「モハーの断崖」を見学する。大西洋から聳え立つ断崖は、一番高いところで214ｍあるそうで、その眺望は何とも壮観である。オブライアン塔1835年に「モハーの断崖」の見物客を監視するために建てられたとのこと。「モハーの断崖」見学の後、そこから15分ほど走ると、大西洋に面した「ドゥーリン」 (Doolin) という名前の村へ着く。Eさんによれば、この村はアイルランド伝統音楽の中心地としてよく知られているそうだ。この村のレストランで昼食を取る。昼食を終え、「ドゥーリン」の村を出て5分ほど走ると、バスの窓から、石灰岩でできたカルスト地形が見え始める。約250平方kmに亘って広がる「バレン」と呼ばれる地域である。バスを降り、しばらくの間、岩の上を歩く。岩と岩の間には、アイルランドではここでしか見ることのできない珍しい植物が生えている。「バレン」を出て45分ほど走り、「コルコムロー修道院」(CorcomroeAbbey)という名の13世紀に建てられたカトリック教会の修道院跡に立ち寄る。そこを出発し20分ほど走ると、「キンヴァラ」 (Kinvara) という名前の小さな海辺の村に到着する。このかわいい村の中を30分ほどのんびりと散策。街角にある店でソフト・アイスクリームを買って食べる。Dunguaire Castleバスは午後４時にダブリンに向けて「キンヴァラ」を出発。ダブリンに戻ったのは、午後７時であった。
13Aug
- 初めてのアイルランド
  2016年7月30日 (土)スイスのチューリッヒ国際空港を、アイルランドの首都ダブリンに向かって飛行機が飛び立ったのは午後3時40分であった。窓側の席に座って僕はイヤホンを耳に当て窓の外の雲海をぼんやりと眺めながら、U２の音楽を聴いている。そう、U２は、誰もが知っているアイルランド出身のロックバンドである。国際的な慈善活動家としても知られるボーカルのボノほかあの若かったメンバーたちも、いつの間にか、もう50代半ばのおじさんになってしまったが、今でも、世界のトップクラスのバンドとして精力的に活動を続けている。U２の曲の中でも、僕が一番好きな “One”が流れ始めた時、高度を下げた飛行機の窓からアイルランドの陸地が見えてきた。あと数分で、ダブリンに到着である。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝初めてのダブリンは、今にも雨が降り出しそうな空模様であった。気温は20℃前後といったところであろうか。半袖のポロシャツ１枚ではやや肌寒く感じる。空港からタクシーに乗って、街の中心部にあるFitzwilliam Hotel へ向かう。アイリッシュ・アクセントの強い英語を話すとてもフレンドリーな中年の運転手さんからダブリンの観光スポットなどについて色々と教えてもらっているうちに、タクシーは空港を出て25分程でホテルに到着する。ホテルにチェックインし部屋に荷物を置いて再びロビーへ降りてくると、もう午後7時近くになっている。実は、今ダブリンに住んでいるアメリカ人の友人のSさんが、もうすぐここにやって来ることになっている。Sさんは、僕がトルコに住んでいた2005年から2007年頃やはりトルコに住んでいて、そこでお互い知り合いになって以来の友人である。今回、僕がダブリンに旅行で来ることを決めた時に、久し振りにSさんに連絡を取り、今夜、一緒に食事をすることになったのである。ほどなくホテルのロビーに颯爽と現れた彼女が連れて行ってくれたのは、ホテルから歩いて10分程のところにあるBという名前のトレンディーなレストランであった。流石に人気のレストランというだけあって、お酒も料理もとても美味しくて大いに満足のいく夕食であった。それにしても気の合う友人同士というのは不思議なものである。何年ブランクがあろうとも、まるでつい先日まで会っていたかのように話ができるのである。今夜も、お互いの近況報告から始まり、アイルランドのこと、スイスのこと、懐かしいトルコ時代の思い出話、さらにはアメリカの大統領選挙のことなど、話題が尽きることなく時間が飛ぶように過ぎていった。気が付けば、もう11時。明日は朝が早いので、近いうちの再会を約束し、Sさんとお別れしたのであった。
27Jul
- ヘルシンキ観光 No.3
  2016年6月26日（日）今日、ヘルシンキを出発して、スイスに戻る。空港に向かってホテルを出発する午後２時頃まで、街を歩くことにする。日曜日の朝、人通りもほとんどなく、淋しげな通りデザイン博物館前の広場と博物館のショップ再び、エテラ港とマーケット広場へフィンランド・デザインのお店で最後のショッピング時計を見ると、午後１時40分。そろそろ、ホテルへ戻らなくてはならない時間である。
- エストニアの首都タリンの旧市街散策
  2016年6月25日（土）ホテルのレストランで朝食。朝食の後、取り敢えずホテルをチェックアウトし、受付で荷物を預かってもらってから、ホテルを出る。これから、世界遺産であるタリンの旧市街をのんびりと散策する。ホテルの前の通りラエコヤ広場（市庁舎広場）1422年から600年近くに亘って営業を続けている古い薬局店の中には中世に使っていた珍しい薬も置いてある。薬局を出て、引き続き、町の散策を続ける。タリン城壁塔の広場午後２時、昼食は、ホテルの人が勧めてくれたレストラン Leib にて。テラス席の落ち着いた雰囲気の中で、時間をかけてゆっくりと食事を楽しむ。ここの料理も本当に素晴らしく、大満足の昼食であった。（お昼からやや飲み過ぎたせいで、結構いい気分になってしまった。）レストランを出たあと、また地図と睨めっこしながら、市内観光を続ける。トーンペアの丘アレクサンドル・ネフスキー大聖堂カタリーナ通り。石造りの壁と石畳の道。上にはアーチ型の柱。そろそろ、出発の時間が近づいてきた。ホテルに戻り、タクシーを呼んでもらって、フェリー・ターミナルへ。午後８時半タリン発のフェリーに乗って、再び、フィンランドのヘルシンキに戻る。ヘルシンキ着は、午後10時半の予定である。今晩宿泊するヘルシンキの Hotel Fabian へ着いたのは、午後11時。何となく喉が渇いていたので、ロビーのバーでビールを１杯だけ頂いてから部屋に向かう。
26Jul
- 初めてのエストニア
  2016年6月24日（金）ヘルシンキのランシ・ターミナル（船乗場）を午前10時30分に出るフェリーに乗って、エストニアの首都タリンへ向かう。船は、フィンランド湾をほぼ真っ直ぐ南に向って進み、2時間後の午後12時半にタリンに着く予定である。船がタリンに近づいてきた頃から、それまで何とか持ちこたえていた灰色の空から、かなり激しい勢いで雨が降って来た。そんな天候の中、船は予定通り午後12時半にタリンに到着。ターミナルの前からタクシーに乗って、旧市街にあるHotel Telegraaf に向かう。このホテルは、今から140年ほど前に建てられた旧エストニア電報局の建物の中を改装して作られたとのことで、Hotel Telegraaf の名前もそこからきている。予約をしたのが遅かったために、泊まりたかった本館の部屋に空きがなく新館の部屋になってしまったが、それでも、レトロな雰囲気が漂う、なかなかいい部屋である。取り敢えず、ホテルのレストランで軽く昼食を取る。初めて飲むエストニアのビールもなかなか美味しい。昼食の後、ホテルを出て、中世の雰囲気が漂う旧市街（世界遺産に登録）を当てもなく、ぶらぶらと歩くことにする。さっきまで激しく振っていた雨も、ようやく、止んだようだ。夕食は、街を歩いている途中、たまたま目に入ったイングリッシュ・パブへ。(エストニア料理を食べるつもりだったのに、何故、ハンバーガーなんか食べたんだろうと、後になって後悔した。）食後のコーヒーは、さっき歩いている時に見つけた、独特の雰囲気の漂うカフェで。
25Jul
- ヘルシンキ観光 No.2
  2016年6月23日（木）デザイン・ホテル Hotel Fabian のロビーホテルでゆっくりと朝食を取ったあと、地図を持って、町に出る。今日もまた、行き当たりばったりのヘルシンキ市内観光である。ホテルの前の道の道路標示フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語の２つ。従って、道路標示もこの両方で書かれている。ハヴィス・アマンダ像の噴水ヘルシンキで最も有名な市場、マーケット広場季節の果物や花の他に、伝統的な食料品やお菓子、工芸品等が売られている。また、食べ物を売る屋台も並んでいる。屋台の１つで、フィンランドの北部でしか獲れない Muikt と呼ばれる小魚の料理（オイルとバターで炒めたもの）を買って食べる。これが、ビールにあって、実に美味い。この後、路面電車に乗って、観光スポットの１つであるテンッペリアウキオ教会へ。自然の床岩を切り出して作られた近代建築の教会で、中に入ると、岩肌がむき出しになった空間に地上からの光が降り注いでいる。教会を見学した後、しばらくショッピング。それからホテルに戻って部屋で一休み。夜は、ホテルの人が勧めてくれた、エテラ港近くのロシア料理のレストランで夕食。ここの料理も大変美味しくて、大満足のディナーであった。夕食を終えると、もう10時半を回っている。しばらくエテラ港を歩いてから、ホテルに戻る。
- ヘルシンキ観光 No.1
  2016年6月22日（水）朝食を済ませた後、しばらくの間、ホテルの近くをウォーキング。ウォーキングから戻ってきた後ホテルをチェックアウトし、タクシーで、町の中心部にあるデザインホテル Hotel Fabian へ向う。ホテルにチェックインした後、早速、町に出る。地図を見ながらホテルから15分ほど歩くと、前方に、青地に白いかもめの絵が描かれた小さな看板が見えてくる。「Ravintola Kamome」（日本語で、かもめ食堂」）という名前のこのお店、今から10年前の2006年に公開された日本の映画「かもめ食堂」が撮影されたレストランとして一躍有名になったところ。（撮影当時は、今とは別のオーナーが所有するカハヴィラスオミ（Kahvila SUOMI）という名前の食堂だったそうだ。）実のところ、僕は、この映画を観ていないし、今回ヘルシンキに来る直前まで映画の名前すら聞いたことがなかった。ということで、今回、このレストランをどうしても訪ねたいと思っていた訳ではなかったのだが、たまたま、ホテルからも近かったし、日本人の間で人気の観光スポットになっているとのことなので、一応、訪ねてみることにした次第。レストランの中に入ると、先客が４人。内、日本人は、静岡から観光で来たという若い女性２人。お二人ともこの映画を観ていて、ここにはどうしても来たかったそうだ。店内では、お土産用にチョコレートやクッキー等も販売している。日替わりランチ・セットと、名物のミニ・シナモン・ロールを注文する。「かもめ食堂」で昼食を済ませた後、再び、地図を見ながら、町の中を適当にぶらぶらと歩く。ヘルシンキには新古典主義、ユーゲント様式他、様々な建築様式の建物が混在していて、建物を見て歩くだけでも面白い。エリエル・サーリエン設計のヘルシンキ中央駅フィンランドの有名建築の１つヘルシンキ屈指のショッピング・ストリートであるエスプラナディ通りには、フィンランドを代表するモダン・デザインの店が並んでいる。マリメッコイーッタラアルテックAlvar Aalto（アルヴァ・アールト）は、フィンランドが生んだ20世紀を代表する建築家およびデザイナーその後、マーケット広場をしばらく見学し、それから広場に隣接するエテラ港からフェリーボートに乗って、世界遺産のスオメンリンナ島へ向かう。この島は、かつての海上要塞。18世紀中頃、フィンランドを統治していたスウェーデンが、ロシアに対抗するため建設を始め、その後幾度の戦争を経る歴史の中で、長年、ロシア海軍の基地として使われていた時代もあった。ボートは、約20分で島に到着する。ボートを降りたあと、島の中をしばらく散策。ロシア統治時代に建設された貯蔵庫。フェリー発着場のそばの伝統あるビール醸造所に併設したレストラン・スオメンリンナ・ブルワリーで夕食。中に入ると、観光客よりも、地元の人たちで一杯だった。サーモンのスープこんなに美味しいスープは本当に久し振り。生まれて初めて食べるトナカイのステーキトナカイの肉がこんなに柔らかくて美味しいものだとは知らなかった。実は、ホテルの人から、フィンランド名物であるトナカイのステーキを食べるなら、このレストランがいいと聞いていたのだが、正に、その通りであった。夕食のあと、またボートに乗ってエテラ港まで戻る。青空に筆で描いたような白い雲が、独特の雰囲気を醸し出している。ホテルへ戻って来たのは、午後10時半。外は、まだ真昼のように明るい。
23Jul
- 初めてのフィンランド
  2016年6月21日（火）フィンランドの首都ヘルシンキ行きの飛行機が、スイスのチューリッヒ国際空港を飛び立ったのは、ほぼ定刻の午前11時。予想に反して、飛行機の中は満席である。先日読み始めた、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの小説「誠実な詐欺師」をかばんの中から取り出して、続きを読む。チューリッヒを出てから２時間半後、飛行機がヘルシンキに近づき高度を下げると、フィンランド湾に浮かんだ美しい群島が眼下に見え始める。（後で聞いた話だが、ヘルシンキには全部で約300もの島があるそうだ。）＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝もう随分前のことだが、東京でサラリーマンをしていた時、仕事の関係でオフィスに訪ねて来たフィンランド人が、こんな冗談を言っていたのを思い出した。「フィンランドは日本から随分遠いと思っている人が多いですけど、実際は、そんなことないんですよ。だって、考えてみてください。日本からフィンランドへ行くのにたった１つの国を越えればいいんですから。」（そのたった１つの国とは、もちろん、ロシアのこと。）仕事の話が終わり、彼をエレベーターホールまでお見送りした際、彼に、「私も、いつか、美しいあなたの国を是非訪ねてみたいです。」と言ってお別れしたのだが、これはあくまで社交辞令。その時、僕自身、特にフィンランドへ行ってみたいという気持ちもなかったし、僕が実際にフィンランドへ行くことなど、一生ないだろうと思っていた。それが、その時から20数年経った今、こうしてフィンランドを訪ねようとしているのだから、人生、先のことは分からないものである。ただ、僕にはこれまでフィンランドにあまり関心がなかったこともあって、正直言って、この国のことをほとんど全くと言っていいほど知らないのである。フィンランドに関することで知っていることと言えば、まずは、オーロラを見るのにいいところ。次に、携帯電話メーカーのノキア、ファッションブランドのマリメッコ、インテリアデザインのイッタラ。それと、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの本に出てくるムーミン。あっ、それから、前に読んだ村上春樹の小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の中で、主人公のつくるが日本から飛行機に乗ってクロに会いにわざわざ行ったのがフィンランドだった。まあ、その程度なのである。今回訪れるのは、そのあまりよく知らない国フィンランドの首都ヘルシンキ。いったい、どんなところなんだろう。今回の旅行で、フィンランドのことをこれまでよりも少しでも多く知って、好感を持ったり、身近に感じられるようになればいいなと思っている。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝空港のATMで、まず現金（ユーロ）を下ろし、それからタクシーに乗って、今夜宿泊する Hilton Helsinki Kalastajatorppa へ向かう。（事情があって、このホテルには今夜１泊だけの宿泊。）窓から、道路脇に立つ看板の文字以外には特にフィンランドへ来たことを実感するようなものもない退屈な風景を眺めているうちに、タクシーは25分ほどで町の中心部から少し離れたところにあるホテルに到着する。ホテルにチェックインした後、早速、近くから出ている路面電車に乗って、町の中心部へ向かう。15分ほど乗った後電車を降り、地図を見ながら、適当に観光名所を訪ねることにする。ほとんど予習をしていないので、行き当たりばったりである。（最近はどこへ行くにしても、このパターンが多くなってしまった。若い時は旅行のガイドブックなどを買って一生懸命予習をしてから旅行していたのだけど・・・。）ヘルシンキ大聖堂＆元老院広場ウスペンスキー寺院西ヨーロッパで最大のロシア正教会寺院だそうだ。エスプラナーデ公園市民の憩いの場となっている公園。中央には、フィンランドを代表する詩人ヨハン・ルドゥヴィク・ルーヌベリの銅像が立っている。公園内に設置されたステージではコンサートが開かれている。音楽に合わせて踊っている市民もいる。公園内の一角にある30本ほどの木に赤地に白の水玉模様の布地を巻き付けた"Ascension ofPolka Dots on the Trees" と題する草間彌生の作品。ヘルシンキにやって来て早々、公園で、草間彌生のアートに遭遇するとは思わなかった。時計を見ると、もう午後８時を回っている。夕食はフィンランド料理と決めていたはずなのに、通りを歩いている時、たまたま、お寿司屋さんが目に入り、気が付けば、もうそのお店に入っていた。注文を取りに来てくれた日本人女性は、横浜出身の方。ヘルシンキに来て、もう10年以上になるそうだ。治安も良くて、わりと親日的でもあるフィンランドが随分と気に入っているようであった。初めて飲むフィンランドのビール。実に美味しい。夕食を終えて店の外に出る。もう午後９時半近いのに、外はまだ真昼のように明るい。今日の日の入りは、午後10時45分頃とのことである。近くから、また路面電車に乗ってホテルに戻る。
15Apr
- 初春のベルナー・オーバラントでハイキングを楽しむ
  2016年4月10日（日）今日、ベルンは朝から素晴らしい天気である。我家のバルコニーから南に目をやると、雪を被ったスイスアルプスが青空をバックに美しい姿を見せている。こんなにいい天気の日に、家に閉じ籠っているのは何とももったいない。ということで、今日は、久し振りに、ベルナー・オーバラント（首都ベルンの南方に広がる高地）へハイキングに出かけることにする。念の為、ネットで天気予報を見てみると、同地方も、一日中いい天気のようだ。さて、ハイキングのコースであるが、数ある候補の中から、今日は、グリュッチアルプ⇒ ヴィンターエッグ ⇒ ミューレンのコースを歩くことにする。昼食時間を除いても、途中で写真を撮ったりしながらゆっくり歩くと、たぶん３時間はかかるのではないだろうか。ベルン午前10時発の電車に乗り、まず、ベルナー・オーバラントの中心の町インターラーケンのオスト（東駅）まで行く。そこで電車を乗換えて、ユングフラウの懐にある絶壁に挟まれた村ラウターブルネンへ。そこで電車を降り、駅前からロープーウエイに乗って高い崖を上がると、そこがハイキングのスタート地点グリュッチアルプである。谷底に見えているのが、ラウターブルネンの村グリュッチアルプに到着しロープウエイを降りると、目の前に、ユングフラウ(4158m)、メンヒ(4107m)、アイガー(3970m) をはじめとするスイスアルプスが雄大な姿を見せている。さあ、ここからハイキング開始だ。ヴィンターエッグに到着。レストランのテラス席で昼食を取る。昼食の後、ミューレンに向けて、再び、ハイキング開始。ハイキング終了地点のミューレンに到着する。３月末でスキー・シーズンが終わり、ホテル、レストラン、ショップなどのほとんどが休業中の村の中はとても静かだ。復路は、ハイキング出発地点のグリュッチアルプまで電車で戻ることにする。今日は、青空の下、目の前に雄大なアルプスを眺めながらのハイキング。心身ともにリフレッシュすることができ、とてもいい一日であった。
- エクスとセザンヌのアトリエ
  2016年3月29日（火）今日、エクスTGV駅午後２時発の電車に乗ってスイスへ帰る。４泊５日のフランス・プロヴァンスへの楽しかった旅も、そろそろ終わりに近づいている。朝食を早めに終え、取り敢えず、ホテルのチェックアウトを済ませる。荷物を預かってもらい、午後1時過ぎにホテルをタクシーで出発するまでの間、エクスでの最後の観光を楽しむことにする。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝歩道に打ちつけられたセザンヌの頭文字のC彼のゆかりの場所を訪ねる「徒歩ルート」を示している。エクスには、町のあちこちに見事な噴水がある。温泉の湧く苔むした噴水（1734年）左手に葡萄を持ったルネ王の噴水（1819年）パッサージュ・アガール旧カルメル会修道院があったところ。今は細い通路の両側に店舗が並んでいる。カフェ「レ・ドゥ・ガルソン」エクスに数多くあるカフェの中で最も有名なカフェ。1792年創業。セザンヌ、ピカソ、ゾラ、サルトル等もここによく通ったそうだ。市庁舎裏通りラヴェンダーなどプロヴァンスの香り漂う石鹸ジョゼフ・セックの彫刻（1792年）フランス革命時建築の記念碑として貴重なものだそうだ。上りの緩やかな坂道をしばらく歩き、セザンヌのアトリエへ行く。門から中に入り、建物の1階にあるショップで入場料を払う。階段を２階へ上がると、セザンヌがアトリエとして使っていた大きな部屋がある。写真撮影は禁止。以下、受付で貰ったパンフレット（日本語版）からの抜粋。“ローヴの丘にあるここは、セザンヌが大事にしていたオブジェや最後の静物画のモデルをはじめ、彼が使用していた家具や絵の道具など、画家セザンヌの存在が最も間近に感じられる場所です。晩年の1902年から死去する1906年まで、セザンヌは毎朝、光と静けさがふりそそぐこのアトリエで絵を描いていました。このアトリエでは数十点の絵が制作され、それらの作品は今日では世界中の著名な美術館におさめられています。その中にはセザンヌの絵を代表する「大水浴図」もあります。（以下、省略）”セザンヌのアトリエの見学を終えた後、ホテルに戻る前に旧市街の広場にあるマーケットに立ち寄る。ホテルに戻り、タクシーでTGVの駅へ。スイスのベルンには、ジュネーブで乗り換えて、夜の7時40分に到着の予定である。グッドバイ、プロヴァンスグッドバイ、サント・ヴィクトワール山（エクスTGV駅のプラットフォームより）
14Apr
- ゴッホが晩年を過ごした町アルルを訪ねて
  2016年3月28日（月）今日は、エクスから日帰りでアルルを訪ねる予定にしている。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝アルルは、長い歴史のある町。市内にある円形闘技場、劇場、共同浴場などのローマ時代の遺跡や、中世に建てられたロマネスク様式の彫刻装飾が美しいサン・トロフィーム教会などが、この町の長い歴史を今に伝えている。（それらの建造物は、「アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群」として世界遺産に登録されている。）それからもう１つ。アルルと言えば、何と言ってもフィンセント・ファン・ゴッホ。エクスを代表するセザンヌもどちらかと言えば好きな画家ではあるが、小生がより強く惹かれるのは、セザンヌよりもやはりゴッホなのである。アルルは、ゴッホがパリから南仏の強烈な太陽を求めてやって来て、晩年（1888年2月～1889年5月）を過ごした町としてあまりにも有名である。ゴッホはアルルに滞在中の1年3か月の間に、200点以上の絵を描いた。小生の好きな「夜のカフェ・テラス」や「アルルの寝室」なども、アルルで描かれた作品だ。また、ゴーギャンと束の間の共同生活を送ったのも、あの有名な耳たぶ切り落とし事件を起こしたのもこの町である。ところで、話がやや逸れるが、今から5年前の2011年5月に、パリから1時間半ほど電車に乗って、オヴェール・シュル・オワーズという小さな村を訪ねた。ここは、1890年7月に、ゴッホが麦畑の中でピストル自殺を図り、37年間という短い人生の最後を迎えた場所。ゴッホは、この村で最後の70日間を過ごしたのだが、その間に約80点の作品を描いた。それらの作品の中には、小生の大好きな「カラスのいる麦畑」もあるのだが、彼がその絵を描いた場所に自分もどうしても立ってみたくて、周りに誰もいない田んぼの中の畦道を歩いて、そこ（絵の複製パネルが立っていた）まで行ったことをついこの間のことのように今思い出している。（この時のことは当時のブログに書いた。）さて、ゴッホの絵の中でも、小生が特に好きな作品の大半が、アルル、サン・レミ、オヴェール・シュル・オワーズという彼が人生の最後に滞在したの３つの町で描かれた作品である。（たぶん、ほとんどのゴッホ・ファンの人達も同じだと思う。）（因みに、ゴッホの作品の中で小生が一番好きな絵は、サン・レミの精神病院入院中に描かれた「星月夜」。）今回、エクス滞在中に、アルルにどうしても行きたかった理由は、世界遺産の建造物の見学ではなく、オヴェール・シュル・オワーズへ行ったのと同様、ゴッホが晩年を過ごし、素晴らしい絵を描いたその場所を見てみたかったから。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝エクスのバス・ターミナルから路線バスに乗って、アルルへ向かう。終点のアルルに１時間半ほどで到着する。停留所でバスを降りて驚いたのは、すごい数の人、人、人。歩行者天国になった目抜き通りには、主に食べ物を売る屋台がずらり並び、元気のいい音楽が鳴り響いている。ここに来る前に思い描いていた静かでのんびりしたアルルと全く異なる風景に驚くと同時に、少しがっかり。とりあえず、人混みの間をすり抜けるようにして、目抜き通り沿いにある観光案内所へ向かう。そこで応対してくれた若い女性に訊いたところ、どうやら、毎年春にある「アルルの闘牛祭り」（今年は3月25日～28日の4日間。）にあたってしまったようだ。特に最終日の今日は、円形闘技場で闘牛が行われ、町が一番盛り上がる日だそうである。「こんな日に来ようと思ってもなかなか来るチャンスなんてないんだから、寧ろ、ラッキーと思わなきゃ。」と、ややがっかりした自分を励ましつつ、観光案内所で貰った地図を頼りに、町の中をゆっくりと歩いて見て回ることにする。ゴッホ「アルルの公園の入り口」が描かれたスポット市庁舎前の広場に設営された舞台の上ではフラメンコ情熱的な音楽と踊りを楽しむすごい数の観衆で熱気ムンムンである。市庁舎広場に面して建つロマネスク様式の彫刻装飾が美しいサン・トロフィーム教会ゴッホ「夜のカフェテラス」のモデルとなったカフェ今日はお祭りの日ということで、すごい数の客で賑わっている。う～ん、もっと静かなカフェを見たかった。ゴッホ「ローヌ川の星月夜」が描かれたスポットゴッホ「黄色い家」が描かれたスポットアルル滞在中、ゴッホは「黄色い家」に部屋を借りていた。モデルとなったその家は戦災で破壊されて今は存在しない。円形闘技場今日、ここで闘牛が行われている。中から観衆のざわめきと歓声が聞こえてくる。古代劇場ゴッホ「アルルの療養院の庭」が描かれたスポットゴッホが耳たぶを切り落とした時に、ここで治療を受けた。アルルを午後６時発のバスに乗る。エクスに戻ってくると、午後７時半になっている。だいぶお腹が空いてきた。今夜はホテルのスタッフVさんお勧めのステーキ・レストランで、ボリュームたっぷりの夕食を取ろうと思う。
12Apr
- エクス・アン・プロヴァンスの美術館を訪ねて
  2016年3月27日（日）今日はエクスにある美術館を訪ねるなどして１日のんびりと過ごす予定である。遅い朝食の後、まず向かったのは、ホテルから歩いて４～５分のところにあるコーモン芸術センター。ここは、18世紀に建てられた私邸（コーモン邸）の中のスペースを利用して作られた美術館で、美しい庭園のある豪華な建物は、歴史建造物に指定されている。この美術館では、年に２回開催される展示会のほか、セザンヌの半生を描いた短編映画も上映されている。芸術センター入口の横に掛けられたセザンヌの映画の看板邸宅のバルコニーの飾りサロンフレンチ庭園ミュージック・ルーム寝室邸宅の一部を見学したあと、同じ建物内の別の部屋を使って開催中のリヒテンシュタイン公国王室所有の美術品展示会を見る。最後は、セザンヌの半生を描いた短編映画。なかなか良くできた映画で、セザンヌのことを以前よりも知ることができた。芸術センターを出た後は、足の向くまま、旧市街をのんびりと散策。市庁舎の時計塔サン・ソーヴール大聖堂5世紀から18世紀にかけて徐々に建設されたために、ファサードを見るとロマネスク様式やゴシック様式他、様々な時代の建築様式が混在している。プロヴァンス名物のスイーツといえば、まずは、カリソン（菱形のアーモンド菓子）。専門店の看板と店内に並べられたカリソン古い建物の入り口のドアの取っ手。随分と歴史を感じる。これまでにいったい何人の人がこの取っ手に触れただろう？気がつくと、いつの間にかもう午後２時を回っている。レストランに入って遅い昼食を取る。ここのクレームブリュレは実に美味しかった。昼食のあと、グラネ美術館へ。ここはかつてマルタ騎士団の修道院だったところだそうだ。また、セザンヌは、ここにかつてあった無料の美術学校へ5年間ほど通いデッサンを学んだそうである。現在この美術館には、セザンヌのほか、モンドリアン、クレー、ピカソ、ジャコメッティなどの多くの作品が展示されている。フランスの地方の美術館としては屈指のコレクションを誇っているとのことである。
- 地中海の陽光まばゆいマルセイユへ
  2016年3月26日（土）No.2（前ページからの続き）エクスの朝市を見て回った後、駅から電車に乗って、フランス最大の港町で、パリに次ぐフランス第２の都市マルセイユへ向かう。エクスを出てから約40分でマルセイユに到着。小高い丘の上に建っている駅舎を出て、立派な彫刻の像が立つ階段を降りる。階段の下から人通りの多い賑やかな通りを20分ほど歩き、市民や観光客が集まるマルセイユの旧港へ。この旧港は、19世紀までは、貿易の中心地として栄えていたそうであるが、今は貨物船の姿はなく、ヨットなどレジャー用の船舶が停泊している。旧港周辺には、たくさんのレストランが軒を連ねている。ちょうどお昼時で、どのレストランも混んでいたが、その中から適当に１軒の店を選んで中に入る。白ワイン、それと料理はマルセイユの名物として有名なブイヤベースを迷うことなく注文する。ブイヤベースは初めてなので、どうやって食べていいか分からず、ウェートレスに訊ねたら、「スープの中に、魚や貝やエビや野菜などを好きなように放り込んで食べればいい。」ということであった。さて、食べた後の感想であるが、「おいしくない」の一言。スープの味も良くないし、何しろ、魚介類が全く新鮮でない。ブイヤベースという料理は本来は美味しいものなのだろうが、たまたま入ったこの店が、良くなかったのだろう。昼食にがっかりしつつ、旧港に沿って通りを西へ進み、地中海に突き出るように建っているサン・ジャン要塞（現在、ミュージアムとして使用されている）と欧州・地中海文明博物館へ向かう。残念ながら今回は時間に余裕がないので、中には入らず、要塞と博物館の中庭や外を見て回ることにする。サン・ジャン要塞と地中海要塞から見る旧港と丘の上に建つマルセイユのシンボル、ノートルダム・ド・ラ・ガルド教会要塞と博物館の間は空中歩道で繋がっている。灰色のコンクリート・ファイバーに囲まれた真四角の巨大な箱でできた博物館。とてもユニークな建物だ。博物館を出た後、旧港の北側に位置するパニエ地区へ向かう。この地区はかつては漁師たちの居住区だったそうだ。細い路地や階段が入り組んだこの地区の中を歩くと、昔ながらの家々が並んでいて、まさに下町といった雰囲気が漂っている。建物の壁などに描かれたグラフィティは、この地区の風景の一部ところで、もともとは低所得の人達が住んでいてどちらかと言えば治安もそれほど良くなかった地区が、時代とともに高級＆ファッショナブルな場所に変身し、それに伴ってアパートや店舗の家賃などが高騰して、結果的にそこに以前から長い間住んでいた低所得の人たちが家賃が払えずその地区から追い出されてしまうといったケースが海外の都市などへ行くとよくあるのだが、ここも町の中に、最近になってオープンしたようなおしゃれな店があったりして、まさに、そういう現象が急速に進行している様子であった。「あと10年してここにやって来ると、たぶん様変わりしているんだろうなあ。」などと思いながら通りをしばらくの間ぶらぶらと歩いたあと駅に向かい、また電車に乗ってエクスへ戻る。電車がエクスへ近づいた頃、窓から外を見ると、夕陽を受けてピンク色に染まったサント＝ヴィクトワール山が聳えている。画家のセザンヌが好んでよく描いた山である。エクスに到着した後、一旦ホテルに戻る。部屋で一休みし、それから、夕食を取りに旧市街へ出かける。今夜は軽めの夕食で済まそうと思う。
08Apr
- エクス・アン・プロヴァンスの朝市
  2016年3月26日（土）No.1朝、ベッドから抜けだして、部屋の窓を大きく開けると、初春の朝のひんやりとした空気が部屋の中にすっと流れ込んでくる。東の空を昇っていく太陽の白い光が、窓の外の裏庭と並びの建物を照らしている。この色彩、木々の香り、野鳥のさえずり・・・目の前に、プロヴァンスの朝が広がっている。ところで、宿泊しているこのホテル La Maison d'Aix の建物は、今から二百数十年前の18世紀に個人の邸宅として建てられたもの。小さなロビーのほか、ダイニングルームや２階にあるサロンなど、建物の中はセンスのいい装飾品や観葉植物や色とりどりの春の花で美しく飾られている。ゲスト用の部屋は４部屋しかないので、宿泊客への対応の全て（チェックイン＆チェックアウト、コンシェルジュ、朝食のサービスなど）を、１人のスタッフがこなしている。（何人かが日を決めて交代で仕事をしているようだが、小生が宿泊している間はずっと、Vさんというとても好感のもてる青年一人であった。）出かける準備をしてから、１階にある小さなダイニングルームに行き、朝食を取る。パン、エッグ、チーズ、果物、ヨーグルト、ジュース、カフェ・オレ等等、実に美味しいフランスの朝食である。今日は、朝食を終えた後、直ちにエクスの駅に向かい、そこから電車に乗ってマルセイユへ行くことにしていたのだが、Vさんが、「マルセイユに行く前に、少しだけでも、この町の朝市を見てみてはどうですか。今日はイースターのホリデーなので、地元の人達でいつも以上に賑わっていると思いますよ。」と勧めてくれたので、Vさんのアドバイスに従って、少しの間、朝市をのぞいてみることにする。朝市は、旧市街にある、いくつかの広場で開かれているようだ。最初に、ホテルから10分ほど歩いて、リシュルム広場の朝市へ行く。そこでは、豊富な種類の野菜や果物、パン、ジャム、蜂蜜、オリーブ、ハム、チーズなどが売られている。どれもが新鮮で見るからに美味しそうだ。リシュルム広場を出て、すぐ近くにある市庁舎前広場へ。ここでは花市場が開かれている。お花はどこの国の人も大好きだ。その後、そこからそれほど遠くない別の広場にある朝市へ。ここでも、地元のたくさんの人が熱心に買い物をしている。どこの国であれ、その土地の人々の暮らし・生活を肌で感じる一番手っ取り早い方法は、市場を訪ねること。それは、新しい土地に行って、そこの市場を訪ねるたびに実感することである。プラタナス並木のミラボー大通りを歩いて、エクスの駅へ向かう。ロトンド大噴水（次ページに続く）

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