いままでメールが来た事があっても直接電話がかかってきたことは一度もなかったのでちょっと驚いた。

「あ、KENJIさんですが、お忙しいところ急に電話してすみません!」

「別にそれは構わないんだけど、急にどうしたの?」

「それが、その・・・この間のことで、またちょっとご相談したいことがあって、もし今晩お時間ありましたらお会いできないかな・・・と」

(そうか、やっぱりまだ何も解決できないで悩んでるんだな・・・)

あいにくこの日は仕事の予定が夜遅くまで詰まっており、ちょっと会える時間がとれそうにもない。悩んでいるのはわかるが仕事があっては断るしかない。

「今日はちょっと・・・」

「仕事終わったら何時でもいいからメール下さい。では・・・」

と言って電話が切れた。そこまで思い詰めてるのか。

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仕事は予定より長引き、帰路につけたのはもう0時を過ぎた深夜だった。

だいぶ遅くなってしまったと思った。が、昼間の彼女の電話を思い出し、一応メールを送ってみた。するとすぐに電話がかかってきた。

「お疲れ様でした。今からでも会えますか?」

「え、今からって、もうこんな時間だし・・・」

「私は構いません。KENJIさんさえ大丈夫でしたら・・・」

彼女が新宿から近くに住んでいるということで、新宿で待ち合わせることにした。

しかし、こんな時間になって話したいことっていったいなんだ?相談っていってもこの間の話では結論でなかった訳だし・・・彼と話して何か変化があったんだろうか・・・。

待ち合わせ場所に向かうと、すでにそこには彼女の姿が。その表情にはいつも笑顔がない。何か思いつめたような表情に見える。これは何か決意を秘めているに違いない・・・私は緊張しながら彼女に近づき、声をかけた。

「お待たせ。どうしたの遅くに?」

「・・・」

彼女はうつむいたまま何も答えない。

「と、とりあえずどっかいこうか・・・」

私はとりあえず行きつけのBARに向かった。そこでゆっくり彼女の話を聞こうと思った。彼女は少し間をおきながらついてくる。その間もうつむいたまま何も話さない。

BARの店先に着いたところで彼女の足が止まった。店に入るのを拒否するかのように。そして静かにこう言った。

「ここじゃ、嫌」

「えっ・・・」

(あれ、雰囲気が違ったかな。照明も暗いしゆっくり語るにはいいBARなんだけど・・・)

私は一瞬そう思った。しかし違った。雰囲気とかの問題ではなかったのだ。


「二人だけ・・・二人っきりになれるところがいいんです・・・」


(そうか・・・そうだったのか・・・)

この言葉ですべてがわかった。私は何も言わずに彼女の手を引きタクシーに乗り込んだ。

「××ホテルまでお願いします」

タクシーの中で、彼女はずっと私の肩に体を寄せていた。表情はなにかほっとしたようにもみえた。しかしその体は、少し震えていたように感じた。

(4)に続く
11月に、その会社の、とあるプロジェクトの打ち上げパーティーに呼ばれた。もちろん彼女も。その時に初めて一緒に酒を飲んだ。かなりの酒豪であることが判明(笑)。2次会でもガンガン目の前のグラスを空けていく。それと共に口数もどんどん増えていく。

私は酒があまり飲めないので2次会あたりでサヨナラする予定でいたが、あまりに大酒する彼女が心配になり、3次会まで付いていくことにした。とこ ろが3次会は予想外に人数が少なく、しかもその会社の人達ばかりで部外者は彼女と私だけ。必然的に2人は端の席で大人しく飲むことになった。

すると今まで盛り上がっていた彼女が急にトーンダウンして、少し悲しげな顔をして私に向って語り始めた。

「実は彼氏と・・・セックスレスなんです・・・」

(えっ!なんでまた急にそんな話をここで・・・)

聞けば彼氏とは付き合ってもう4年も経つが、Hが頻繁にあったのが最初の1~2か月だけで、その後は多くても1か月に1~2回、最近はもう3か月 もHしてないという。うーん、こんなに可愛い子と付き合ってるのにHしてないなんてもったいな・・・じゃなくて、何かあるに違いない。

「彼氏っていくつだっけ?」

「まだ23・・・おかしいと思いません?あり得ないですよね!?」

確かに23の男が、彼女と数カ月もHしないなんてどう考えてもおかしい。

「私からはいつも誘うんです。でもいつもなんだかんだ理由をつけて先に寝ちゃう。たまにHしようと絡みあっても、全然気持ち良くならなくてお互い萎えてしまうんです・・・」

(23でEDか?ありえないなあ・・・)

「だけど、彼はその1点だけが欠点で、あとはすべて私の中では完璧なんです。かっこいいし優しいし、男らしいし・・・。だからどうしようかと困っていて、かといって誰にも相談できなくて・・・。ただ1点だけの欠点で別れるのもできなくて・・・」

(そうか、彼女は彼氏にはそうとう惚れこんでるんだな・・・)

「でも、ただ1点だけど、それって付き合う上では一番重要な事じゃない?どんなに仲がいい夫婦でもセックスレスで離婚する人もいっぱいいるし、結婚する前からセックスレスじゃあ、先がないような気もするけど・・・」

「それはわかってるんですけど・・・私、まだ22なのに、女として抱いてもらえないのが辛くて・・・」

「うーん、でのその彼が加奈ちゃんを抱く気がないのなら性に関してはセフレとか浮気とかしか方法ないんじゃない?」

「浮気は無理だし、セフレは・・・実は考えたことあるんですけど、どうやってめぐり逢えばいいのか・・・」

結局、その日はそんな話が延々と続き、夜が明けた頃にうとうとし始めた彼女をタクシーで家に帰してあげた。


彼女から電話があったのはその日から3日絶った夜だった。

(3)へ続く・・・
加奈と出会ったのはちょうど去年の夏。

仕事でアパレル関係の会社に営業に行ったとき、モデルとしてその会社に出入りしていた彼女に出会った。

彼女は撮影の打ち合わせで、こちらは仕事の打ち合わせで同じ控え室で待っていたところで、声をかけられたのだ。

「モデルの加奈と申します。まだはじめたばかりですがよろしくお願いいたします!」

初対面でどこのどいつか知らないであろう私に向っていきなり丁寧な挨拶をした彼女にちょっと面食らった。きっと事務所に入ったばかりなので研修で「会う人会う人にはちゃんと挨拶をしろ」とでも教わったのだろう。

背が高く顔はキリっとしてどこがクールな印象だが、挨拶をした時にみせた笑顔は素朴な感じがしてとても可愛かった。打ち合わせの時間がせまっていたので簡単に挨拶して、名刺をわたしてその場はわかれた。

それからその会社を訪れるたびになぜかよく彼女に会うようになり、その会社の担当者に食事に誘われた際にも一緒についてきたりして、何度も顔を合 わせる間柄になった。聞けば大学を卒業後、旅行会社で働いていたがモデルの夢をあきらめらず今の事務所の人にスカウトされたのをきっかけに会社を辞め、モ デルの仕事を本格的に始めたそうだ。彼氏はプロダンサーで、まだそれで食っていけるほどではないが将来的には結婚して主婦モデルとして続けていきた い・・・と夢を語っていた。

私とは同じ仕事をしている訳ではないのだが、よく顔を合わせるということと、お互いかなりのおしゃべりであるということで、なぜだかよく話したりメールをするようになった。

しばらくするとモデルの仕事も増えてきたのか、彼女は女性ファッション誌にたびたび登場するようになった。プロフィールを見たら168cm、82-58-84とある。確かに見た目は細いのだがそんなにスタイルがいいとは思わなかった。胸もそれなりにあるし(笑)

「雑誌みたよ。胸、結構あったんだね~」とメールをしてみたら、

「失礼だなあ!これでもDあるんだからぁ~」とちょっとお怒りの返事がきた(^^ゞ

そんな感じでしばらくはメル友っぽい関係が続いた。

(2)へ続く・・・