46 65歳退職モデル(その7)~積み立て期の運用(生活資金)

 

 退職後の生活資金は40年で600万円貯めればよく、教育資金(20年で1,000万円)や住宅資金(30年で4,500万円)よりもはるかに気がラクだ。

さて、ひところ騒ぎになった「老後2,000万円問題」について検証してみよう。

「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』(令和元年)では、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の平均値を見て、収入が209,198円/月(251万円/年)、支出が263,718円/月(316万円/年)となっていることから、54,520円/月(65万円/年)の赤字であると計算し、以下のように論じた。


 「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万円~2,000万円になる。

この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。

重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。

それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・分散投資による資産形成の検討を、リタイア期前後であれば、自身の就労状況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理をどう行っていくかなど、生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要性を認識することが重要である。」(太字は筆者による)
 

 導きだした老後の生活費の不足額以外については、至極真っ当な内容である。

やはり平均値で論じることは無理があると思うし、今の高齢者は貯蓄があるから、取り崩して収入以上の支出をしているとも考えられる。


 さて、報告書の示唆に従って当方のモデルをおさらいすると、収入(厚生年金想定受給額)が325万円/年、支出が360万円/年、35万円/年の赤字とし、65歳から82歳までの赤字総額は595万円(=35万円×17年)で、準備額は切り上げて600万円としている。

もし95歳までとすると、赤字総額はおよそ1,050万円(=35万円×30年)となる。この差額450万円に対しては、支出を減らすとか、この後述べる余裕資金から補填するとかして、何とかしなければならない。

しかし、より困難な問題は、公的年金の持続可能性とインフレだ。
 

注 報告書には、高齢夫婦無職世帯の平均純貯蓄額が2,484万円と記載されている。

 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ
↑ランキング参加中

 

つづきはコチラ↓

バックナンバーはコチラ↓