有名な作曲家のアンダーレイトされた交響曲ではなく、名前すらほとんど世間に知られていない作曲家の交響曲は意外に多数あり、その渉猟はまだまだやめられない。

蒐集した秘匿の佳作を2つ紹介したい。

両者をつなぐキーワードは、ベートーヴェン。そして、分かりやすさと楽しさ。

 今回は、Anton Eberl(アントン・エーベルル)の「交響曲 変ホ長調 作品33」。

エーベルルは交響曲を3曲残しているが、変ホ長調は1805年にベートーベンの3番と一緒に初演され、より好評を博したとある。

たまたまYouTubeでこの曲を見つけ、聴いてすぐさま虜にされた(CD保有。現在入手困難では)。

 ヘーゲルをして世界精神と言わしめたナポレオンに由来する交響曲にある楽想の深みとか作曲法の極みとか、そんなことは抜きにして、この曲には純朴な華やかさがある。

当時、どちらも時代の先端を行く交響曲であったろう。

ただ、ベートーヴェンは行き過ぎていた。

レコードすらない19世紀のコンサートにおいては、一回聴くだけで分かる楽しさが大事だったにちがいない。

もちろん英雄交響曲は、最も愛する交響曲の一つだ。

しかし、自分が同時代人だったとしたら、初演を聴いて、ベートーヴェンを選んだとは断言できない。

 YouTubeにこんなコメントを残した(クラシック曲チャンネルは、外国製が多いので英語でコメントせざるをえない)。
“Although it was received more positively than Beethoven's Symphony No.3, the immortal work, why has it ever faded into obscurity?  Different from Mozart's or Haydn's symphonies, it clearly shows Eberl's own style, which should have been recognized as one of the establishments.  It is like a beautiful deep sea fish”.

 このコメントにリプライがいくつかついている。引用は差し控えるが、概要はこんな感じ。

「ベートーヴェンの全交響曲の中でベストの3番と比べるのはフェアではない」から始まり、「ベートーヴェンなんて叫び続けているだけで、モーツァルトの語りには全く及ばない」と続き、「バッハのが数段上だ」としめくくられる。

結局、音楽の父に到達。ワタシの「美しき深海魚」は、どうして置き去りにされてしまったのか?

 エーベルルの交響曲は、日本のプロオーケストラによる演奏会で取り上げられたことはないのかもしれない。

初演から220年を経て、「変ホ長調」と「英雄」を組み合わせて日本で再演したら、その背景を売りにして、新鮮味のあるコンサートになるのではと思っている(のは俺だけか)。

 もう一つは、次回。
 

注 ベートーベンのコンテンポラリーとしてJohann Nepomuk Hummel(ヨハン・ネポムク・フンメル)も忘れるわけにはいかないだろう。

交響曲はないが、ピアノ協奏曲をはじめ優れた作品を残している。

本年1月に神奈川フィルで、トランペット協奏曲が取り上げられている。

 

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