税理士室橋健司のつぶやき

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少し間があいてしまいましたが.、本件に係る東京地方裁判所の判断(平成27年3月26日判決)についてご紹介したいと思います。


裁判では、①本件取引が消費税法第7条1項1号(本邦からの輸出として行われる資産の譲渡)に該当するか否か、②本件取引が消費税法第7条第1項第5号、消費税法施行令第第17条第2項第6号に該当するか否か、③本件取引が消費税法第7条第1項第5号、消費税法施行令第17条第2項第7号に該当するか否か、などが争点となりました。


原告A社が新たに主張したものもあるため、争点が複数に渡ることになりました。争点の③は審査請求でも争点となったものです。


それでは、裁判所の判断について次にまとめてみたいと思います。


裁判所は、まず、本件の各争点が、本件取引が輸出免税取引に該当するか関連していることから、本件取引の性質及び内容を検討し、結論として要旨次のように述べています。


原告A社とB社との関係及びA社と各サービス提供機関との関係を総合すれば、原告A社は、本件訪日ツアーのうち、国内の旅程部分の日程、本件訪日旅行客が受けることができる飲食、宿泊、運送等の役務の内容、B社が支払うべき対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を作成し、自己の計算において各種サービス提供機関との間で、本件訪日旅行客に提供するために必要と見込まれる役務の提供に係る契約を締結していたものであり、原告は、B社から、行事終了後に、本件各種サービス提供機関により本件訪日旅行客に対して飲食、宿泊、運送等の役務を提供したことの対価を受けているものである。

そうであるとすれば、本件取引は、B社に対し、「本件訪日旅行客に対して各種サービス提供機関による役務の提供という方法により国内における飲食、宿泊、運送等の役務を提供する」という役務を提供するものであると解するのが相当である。


この判断を前提とすれば、各争点について裁判所がどのように判断したかは明らかだと思います。

裁判所は、各争点につき原告の主張をすべて退けた上で、本件取引が輸出免税取引の対価には該当しないと判断しています。

A社とB社の取引が消費税法上どのような性質のものかという、消費税法の文理に即した適正な判断が行われているのではないかと考えます。

※各争点ごとの裁判所の判断も非常に興味深いものがありますが、すべてに言及していると長文になりすぎますので、各争点ごとの判断は省略させていただきます。

この判決文全体に興味のある方はこちらからご覧ください。

     ↓
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/246/085246_hanrei.pdf