前回の記事で、角松さんのニューアルバムのファーストインプレッションを書かせて頂きましたが・・・
やはり聴き込んでいくに連れて、しっくり来なかった部分がしっくり来るようになったり、ラジオ出演でのアルバムに対する思い入れやコメントを聞いたり、雑誌インタビューやアルバムライナーを読んでいくうちに、このアルバムの“パロディー”とは角松本人が言いつつも、実は超一流のメンバー・スタッフによって作り込まれた作品である事が感じられてきました
僕が住んでるエリアでは、FM COCOLOで、今週は角松さんが毎日コメントゲストで出演して、毎日1曲がオンエアされていますが、『I CAN GIVE YOU MY LOVE』『ALL IS VANITY』が、ラジオから流れてくるだけで、もうヤバイですもんね
こんなに綿密に計算され尽くした隙のない緊張感のある音楽(今は時節柄、癒しを求める音楽が多いですが・・・)を、創作出来る、そしてそれを分かりやすくポップにさりげなく聴かせる(それはエアプレイの音楽にも共通する)アーチストが今のこの国に居るだろうか???
現代の垂れ流しの音楽に耳を慣らされてしまった人たちにとったら、
『I CAN GIVE YOU MY LOVE』のイントロなんてついて来れないだろうし、『ALL IS VANITY』の間奏なんて別の曲が始まったのかくらいに思ってるかも知れないだろうなーーー
ウチで嫁さんとCDを聴く時は、もれなく僕の曲解説や参加ミュージシャンの紹介がつくのですが 普通なら「曲が聴こえないから黙っててよーーー」と思うところを、嫁さんは興味深く僕の蘊蓄を聞いてくれています
「この曲はオリジナルがこのアルバムに入ってて・・・、今回のとはココが違う」だの、「このミュージシャンは、これにも参加していて・・・」とか「このフレーズは云々・・・」とか・・・。
すでに角松さん本人もコメントされてますが、今回のアルバム収録の『ALL IS VANITY』は'91年のオリジナルバージョンに比べて、かなりテンポが早くなっていてとにかく疾走感があってカッチョイイ そこで、2バージョンを嫁さんと聴き比べてみたら・・・、ホントーーーーーにテンポが違っていた
'91年バージョンも今までフツーに聴いて来たのに、もう逆にリズムが掴みづらいくらいで驚いた 例えるならF1マシンと1,200ccの乗用車くらい違い
前回の記事で、あちこちのファンブログでも話題になっている今回のアルバムでの“女性コーラス”についても書きましたが、僕個人的には、元々ミュージカルシンガーであるところの今回のコーラス隊。声がよく通り“声が可愛すぎる”印象だったんです。
M-5収録の『Can’t Hide Love』(ディオンヌ・ワーウィックのカバー)とかは、オリジナルと聴き比べると明らかに“声が可愛すぎる” オリジナルはもっと野太い感じ・・・。
・・・でも気づいた オリジナルに似せるのがコンセプトでは無い
演奏は確か参加ミュージシャンが楽しんで完コピに近いものをしているけど、コーラスまで似せなくてイイんだと思った
日本人が日本人による解釈で料理すればイイのだ ある意味、こんな可愛い『Can’t Hide Love』があってもイイのだ
黒くない、イエローでポップなね
なんだか、今回のアルバムを聴いていて、無性に角松のライブ映像が観たくなり、昨夜はDVDにBDを引っ張り出して夜中まで観てしまった 『I CAN GIVE YOU MY LOVE』に『Take It Away』『I Can’t Stop The Night』の歴代ライブ映像をなぜか見比べてみたくて堪らなくなったのだ
それを観ていて感じたんだけど・・・(あくまで個人的な印象・意見なので)、’90年代〜2000年中期のライブでのコーラス隊は、高橋ジャッキー香代子(故人)さんと宮浦和美(現:鈴木和美)さんという日本の音楽シーンにおいても双璧の布陣でしたが、ライブステージでのスポットの当てられ方・比重の置かれ方は、今のコーラス隊よりも少なかった気がします。ジャッキーさんも宮浦さんも踊れるコーラス隊で、角松のステージでも後ろで動きまくってる印象が強いですが、当時のライブ映像を観る限りでは、あまりコーラスの声が前面に出てきていない感じがします
お二人とも一流のバックボーカリストなので技術的な部分でそうなっている訳ではまずないはずで、録音技術や当時の環境にも依るとは思うのですが、2000年後期あたりに、沖縄のチアキさんや凡子さんをコーラス隊に迎えたあたりから、角松自身、凄くコーラスに重きを置くようになった気がします。実際にその時期から最近までのライブ映像作品でも、音質が良くなったせいもあるのか、再生環境の変化もあるのか、コーラス隊の声の輪郭がとてもハッキリと聴き取れるようになりましたね
それに、今回の『EARPLAY~REBIRTH 2~』に参加の女性ミュージカルシンガーさんたちは、百戦錬磨の現場で本領を発揮するメンバー揃いな訳です
つまりは・・・このアルバムは、昨今披露されてきたライブアレンジの曲たちの“スタジオ録音版”であるから、言い換えればこのアレンジ・このメンバーでそのまま“ライブ再現”出来る訳です
しかし・・・、アルバムを引っさげてのツアーは、このコロナ禍の影響で泣く泣く中止・・・
角松にとっちゃ、台風で1日目が中止になった2001年の20周年ライブに匹敵する悔しさではなかろうか・・・
長々となりましたが、ホントーーーーーーに今回の『EARPLAY~REBIRTH 2~』、
聴くごとに楽しめます