今章では夫婦のお金の価値観の違いについて述べていく。


夫婦に関するお金の問題において、第一は子供の教育費である。

現代日本において、教育費は異常ではないかというほどにかかる。

昔は中学までの義務教育さえ済んでいればよかった。

それがいつの間にか「大学までいかなければ教育を終えたことにならない」という強迫観念が日本人に染み付いてしまった。

「大学に進学できない人は劣等生だ」というような雰囲気を誰かが作ってしまった。


公立高校までなら大して金はかからない。

だが大学を見越すと一気に家計の見直しが迫られる。

子供の志望校が遠くて、一人暮らしをさせるようなことになれば、超高級車を買えるくらいかかる。

三人大学に行かせれば、家が一軒立つくらいの出費である。


このことに頭を悩ませているのが、世の母親たちである。

日本の成長期が終わり、夫の収入がなかなか伸びない。

こんな世の中で子供の将来が不安だから、念のために学歴をつけさせてあげたい。

そのためには大学に行かなければならないが、お金がかかりすぎる。


こんな悩みを抱えた母親たちは心がすり減っている。

毎日節約をして、来るべきそのときに備えておきたい。

なのに夫はそんなことはどこ吹く風で、つまらない無駄遣いを繰り返す。

心がさらに摩耗させられる。


苛立ちは日々募り、顔が険悪になる。

ちょっとのことで怒りっぽくなり、怒りの矛先は夫に向かう。

こうして夫婦喧嘩が絶えなくなる。

その先にあるのは離婚である。


子供がいない夫婦の方が仲が良いのは、このようなマイナスの原因がないからである。


正直なところ、大学に行ったところで子供の豊かな生活が保障されるわけではない。

その上、大学の学費を学士(大学卒)資格の加給で割っても、元は取れないと言われている。


子供を大学に行かせる以外に、子供の豊かな生活を保障させる方法があれば、夫婦喧嘩は少し減るのではないだろうか。