私は幸せな人生を送っていた。
両親は善良で、比較的裕福な家庭だった。
私は生まれついた見た目がよく賢かったので、周りから可愛がられていた。
自分で努力をしなくても、物事がうまく行く世界に生きていた。
幸福には与えられる幸福と、自ら築き上げる幸福の2種類ある。
与えられる幸福は浅い幸福であり、築き上げる幸福は高い幸福である。
私の魂は叫んでいた「何のために生きて、何のために死ぬのか知りたい。」と。
環境に恵まれていた私は、小学校から高校まで、ありとあらゆる本を読んだ。
だが幸福な中においては、知識を得て満足する。
絵本を読むような感覚で、幸福を考えていたに過ぎない。
私が自分の魂の声と向き合ったのは、自分で生きていかなければならなくなった時からである。
自分で金を稼ぎ、自分で家を整え、家族を幸せにしたいと願った。
小学校から高校まで読んだ本たちは、その生活には何も役に立たなかった。
なんだったら12年もの月日をかけて、学校で教わったことの方が役に立たなかった。
このことで世の中の不条理と強い違和感を心に刻んだ。
これがいずれ私が「この何一つ願いが叶わない世界を捻じ曲げてやる。」と魂から叫ぶ原因になった。