前回は断食がテーマだった。

今回は禁欲について述べる。


禁欲といえば性欲である。

男性にとって、性欲を禁じるのは辛いことである。

何しろ生殖活動を維持するために精子が毎日生産されている。


女性の月経は痛みとともに周期的に排卵されるが、男性の射精は性的な快楽を伴わなければならない。

精嚢(せいのう:精子を貯めておくところ)に貯められた精子の量が許容量を超えると、ちょっとしたことで射精してしまいやすくなる。

時には夢精(睡眠中に射精すること)を起こす。


こんな快楽は必要ないと思う時もある。

逆にこの快楽があって、心身ともに満足することもある。

この快楽で自分を慰めることもある。


男性が性の快楽に耽る、思考が減退して意志薄弱になりやすい。

禁欲の本質は性の快楽に身を委ねて、思考が減退することを防ぐことである。


であるならば夢精するほど禁欲する前に、さっさと射精してしまった方がいい。

そして一度は夢精するほどの禁欲も経験した方がいい。

そこでちょうど良い禁欲の塩梅(あんばい)を知るはずだ。


加齢によって精子の生産量が減ることは賢者にとって良いことだ。

性欲が減退して、思考に集中できるからである。

若い頃に異性のパートナーを得て、性にあきれば、性欲は早く減退するだろう。