ネット小説などでは転生モノとVRゲームものが流行しているように見える。
このVRゲーム系の小説は「時代の流れでVRゲームが現実と違和感ないまで進化する」ことを前提としている。
だがそもそも、少年救命団はロールプレイングゲームである。
現実世界で役割と使命があり、子供達は冒険を通して現実世界で成長する。
創設者の私はゲームマスターであり、運営者である。
この少年救命団というゲームが、世界を変える賢者を数多く生み出すことになる。
その結果私はこのシステムを考えた者として、「団員」を称するゲーマーからも「大賢者」と称されることになるだろう。
話は逸れたが、少年救命団はVRゲーム好きがハマるゲームでなければならない。
「少年救命団があれば、 VRゲームはいらない」とまで言われなければならない。
そのために救命団には冒険職だけではなく、生産職も用意されている。
団の代表的な産業は養蚕と絹織物である。
蚕を団員が1〜3匹ずつくらい飼育する。
それを絹糸にして、機織り機で人力で織る。
初めは「端切れ織」から始まり、本格的な織り機まである。
織り機に触れることができるのは「織神」や「織姫」という特殊階級職である。
当然にこの特殊階級職の割り当ても競争である。
初めは無償で生産され、組織の上位者の正装が絹織物という流れが定着する。
団員の誰もが「いつか私が絹の服を着る」と発奮し、クラスアップを図る。
自分の服になることを思えば、養蚕もやる気が出るものだ。
最初に生産された衣装は、素人同然の子供が織ったものなので、当然に品質が低い。
年を経て新たに織られた衣装の方が、より品質が高いものになるだろう。
だが衣装が刷新された後に残った衣装は、大切に保存しなければならない。
大きな組織になればなるほど、草創期の物品は貴重な資料となる。
初回版の正絹で織られた団長服となれば、たとえ出来映えが未熟だとしても、どれほどの価値になるのか見当がつかない。
少年救命団はいずれ、博物館が建てられることを想定して運営されていく。
その時に団長服を誰かから買い戻すことのないよう、資料として保存しておかなければならない。