少年救命団で最も尊ばれる精神は「友愛」である。


小学校に入る頃には「友達100人できるかな」などという唱歌があるが、そもそも友達とは何か。

都合よく仲良くしてくれる人という意味だろうか。


救命団における友愛とは、学校教育における友達関係とは一線を画す。

団における友愛とは、愛のある友人関係である。


そもそも真の友とはなんだろうか。

本当に困った時に助けを呼べば、何事も顧みずに助けてくれる人である。

損得勘定が一才ない。

ただ困ったあなたを助けずにはいられず、万難を廃して助けに来てくれる人こそ、あなたの真の友である。


困窮して自殺する人を見よ。

彼らには真の友がいないのだ。


いじめられた時に周りに見捨てられ、助けてくれる人がいなかった。

金がなくて困った時に、周りから見向きもされなかった。


救命団員が友愛を語る時、必ずこの言葉を出る。

「真の友が欲しいなら、あなたが誰かの真の友になりなさい。」


これはつまり「困窮している人を無条件で救える人になりなさい。」という意味でもある。


救命団員は誰かの真の友となり、自殺志願者を生きる道に引き戻す。

それだけではない。助かった自殺志願者が団員となり、また誰かの命を救っていく。


緊急事態で人を救助するだけが人命救助ではない。

少年救命団が友愛を最も尊ぶのは、この誰から見ても正しい絶対正義の循環をこの世に出現させるためである。