少年救命団はごっこ遊びであるが、地上最上級の教育機関である。

その理由は「成長とは経験の多さである」という基本理念に沿って団の運営がなされるからである。


救命団の名を冠している通り、「危機的状況における人命救助」を入団訓練として執り行う。


またサバイバル技術を磨くことも主要な活動である。

「他者を助けるにはまず己が余裕で助かることだ。」と教える。

わずかな物資で生き残る方法を実地で経験させる。

不足物資は知恵で補うことを基本とする。


建設業における危険予知(災害発生事例に基づく事故防止)を活用し、「どんな時に人が死んだり大怪我を負うか」を日々教育する。

怪我を負った人間がどうなるか、家族の悲しみなどその悲惨な現実を具体的に紹介する。


また規律を重視し、集団行動に美しさを求める。

制服を着込み、徒党を組んで町内を「パトロール」と称して徘徊する。

地元消防団とも連携し、「正義の味方である」という意気の発奮を図る。


上級者は組織運営に携わり、週間行程と月間行程を作成する。

団にはいくつかの班があり、班長と団長は選挙で決められる。



また「絶対正義とは何か」その在り方を常に考えさせる。

会議やディベートを行う。


要約するとボランティアで組織される消防団の子ども版であり、ボーイスカウトの要素を織り込んでいる。

大人がやっていることを子供のうちから経験させることで、未入団の子供と隔絶するほどの経験的なアドバンテージを得させる。


通常の子供は大人の世界と分断されているが、子供のうちから大人の世界に片足を入れる子供たち。

15歳になる前から社会のフライングスタートを切った彼らが栄達し、絶対正義の名の下にこの世界を楽園に変えていく。