賢者は与えることを基調とした暮らしをしている。

金もなく、人脈もなく、知名度もない。

ないない尽くしだが、無から有を産む知恵がある。


無一文でも簡単に与えられるものの第一は感謝である。

「頭は下げても減らない」などとも言うが、小さなことに気づいて感謝する。


まずは誰かが自分の為に動いてくれた。

ありがとうと言う。


誰かがこの世界に小さな幸せを作る動きをしてくれた。

ありがとうと言う。


この世界の端々に小さな喜びがあった。

ありがとうと言う。


ありがとうの言葉は与える行為である。

その場では何も起きないかもしれない。

だが与えるエネルギーは積み重なるものである。


家族に、親戚に、友だちに、職場の人に、この願いが叶わない世界に。

感謝してありがとうを言い続けていく。


初めは不本意だったり、形だけだったり、人を動かすための欲が混じったりすることもあるだろう。

だがそれでも良い。

どのような道も、まず型から覚えるものだ。


やがて森羅万象に感謝して、見返りを求めなくなったらその感謝は本物である。

賢者として与え続ける力が身に付いている。

人を動かし、世界を動かす力の源を一つ手に入れている。


ありがとうを言い続けることは、世界を動かす力を見えないところに積み重ねる習慣である。