私たち賢者はお金が大好きである。

理由は簡単で、お金が発揮するその力の大きさを知っているからである。


人の心さえ容易に動かせるその力。

多くあるに越したことはない。


金が汚いと言って、嫌う者がいる。

清貧が美徳と言う者もいる。


確かに、金に目が眩んで執着を強めて、人を陥れる人間は汚い。

だが金そのものは単なる数字である。

何かの対価として、与えることが出来る道具に過ぎない。


賢者が金を好きな理由は、他者に対価として与えるものとして、融通がきくからである。


金は多く得て、多すぎたら与えるもの。

これが賢者に共通する考えである。


与えて金は無くなった。

だが金では買えない、人生の宝がそこにあることを知っている。


賢者は金が好きだが、金を多く持たない。

金の力を知りながら、金以上の価値がある物を知るからである。