多くの人は、この問いにドキッとしたのではないかと思います。なぜなら、ほとんどの人が、自分で十分と思えるような貯金をできていない、つまり、あまり貯金できるような経済状態ではないからです。ある統計によると、全世帯の25%が、貯金ゼロなのだそうです。これを聞いて、どこかホッとしているような人は要注意です。貯金がないこと、お金がないことで、将来いろいろな不快な思いをする可能性があるからです。それも、遠い将来とは限りません。思わぬことがあった時、真っ先にやられてしまうのがこの人たちです。お金と上手に付き合っていれば、25歳以上で貯金ゼロということはないはず。30歳過ぎてお金がないとしたら、よほど管理が下手だと考えるといいでしょう。
お金の管理がしっかりしている人は、毎月数万円ずつ積み立てているかもしれません。しかし、それだけで将来お金持ちになれる人は、まずいません。なぜなら、ある程度貯まったら、車を買ったり、マンションや家を買うときの頭金として、貯めたお金を使ってしまうからです。積立貯金はとてもすばらしい習慣ではありますが、それだけでは足りないのです。それは、日本人の多くは、潤沢に使えるほど、給料をもらっている人が少ないからです。多くの人は、ローンか家賃、食費、医療費などの生活費、ちょっとしたレジャーを楽しむと、ほとんど残らないような金額しかもらっていないのです。
また収入が増えると、お金を使う誘惑もすぐにやってきます。余裕ができたぶんだけ、車、マンションなど必ず今よりも上のグレードがあるので、出費は増えていきます。結果的に、収入が増えても、月末に残る金額は少ないままで変わらないのです。
日本資本主義の父と言われる実業家だった渋沢栄一は、「金は貯まるべきもので、貯めるべきものではない」という言葉を残しています。この言葉に、すべてが凝縮されているでしょう。