今回の上京の際、埼玉県草加市「西野竹刀製作所 弘光竹刀工房」を6年ぶりに訪問、竹刀職人西野勝三師にお会いして参りました。3代目「弘光」の号を切る、竹刀製作65年以上の熟練の竹刀職人になります。日本刀と同じ柄の形状「小判形」の竹刀に最近惚れ込んでおり、2019年に剣道の先生のご縁で西野師を訪問、手に入れていた竹刀全体が小判形の「直刀弘光作」を再度購入したく思った為でした。竹刀について様々な事柄を詳しくご教示頂き、お見事な手造り竹刀をたくさん拝見するうちに決め難くなり、1振り購入予定だったのが散々迷った挙句、掲出写真の3振りの竹刀を購入させて頂くこととなりました。
西野師は、胴の張らないすっとした美しく頑丈な竹刀を製作されています。竹の繊維をなるべく切ることなく、最も強い竹の皮を極力残しつつ、また生の竹の曲がりをまっすぐにする「矯め」を徹底的に行い戻りがないように仕上げるとのことです。
一番上が「直刀弘光作(561g)」。小判型の竹刀の場合、通常柄の部分のみが小判型(日本刀と同じ形状)ですが、「弘光直刀型」は柄から物打ちまで竹刀全体が小判形になっています。刃の部分が狭め、横の部分が広い竹を用いた竹刀となります。「北上川」と産地が彫り込まれています。寒い地域の岩手県北上川産の真竹は非常に強くて硬く、熱を加えながら曲がりを矯正する「矯め」の作業が大変だそうです。
2番目、真ん中の竹刀は、豊後材を染め上げた染竹を用いた「影法師(532g)」になります。40年ほど前に、染料で煮て水に漬ける工程を繰り返し、1000振り用の染め竹を用意したとのことです。燻製の竹刀とは製作方法が全く異なり、現在では竹刀用に染める職人が居なく、今後こうした染め竹の竹刀は出てこなそうです。1年前の時点で残り7振り、現在残り1振りとのことで見せて頂いたところ、大変美しく質実剛健な仕上がりで惚れ込んでしまい、私などが手にしていいのだろうか‥と迷いつつ、購入を決めた次第です。
3番目、一番下の竹刀は「弘光作(541g)。この竹刀は通常の丸型の柄になります。今回丸型は購入予定では無かったのですが、竹刀全体に竹の模様が入っており、大変表情が豊かで美しさを感じ、迷った末に購入を決めました。この模様は「虎斑(とらふ)」と呼称するそうで、書籍によっては「山傷」「斑(ふ)」との記載があります。寒く厳しい環境で育った竹に出る模様で、強い竹といわれることもあります。「新田川(にいだがわ)」と産地が彫り込まれています。福島県南相馬市の「新田川」流域の真竹だそうです。
弘光作竹刀は、竹の節の部分を美しく削り上げています。昔は節の部分を残した仕上げにはしなかったとのことです。極力最も強い竹の皮を残した仕上げとなっており、竹の形状は台形となっています。強度を確保しつつ美しさも兼ね備えた造りとなっています。
頑丈で重ための仕上がりですが、手に持つと重さを感じない造り。上段での片手技にて遣うには難しい竹刀かもしれないですが、美しさを愛でつつ大切に稽古に使用したいと思います。
西野師は長らく対面販売のみでしたが、最近ご子息がウェブサイトを公開され、通販も開始されているとのことです。訪問の際は、必ず事前連絡と了解を得てから行くようにしてください。今回の訪問にあたっては、西野竹刀製作所 弘光竹刀工房」に通われているminion2637先生の記事が大変参考になりました。心より感謝を申し上げます。
