3月2日晴天、長崎近辺のダムを廻れるだけ廻ろうとしてみた。運よく国の重文指定を受けたダム2か所の記念バージョンのダムカードをゲット。合計8か所のダムを巡ることが出来た。

記念バージョンのカード2枚がこれ。

本河内高部堰堤

本河内低部堰堤

これらのダムとカードの説明は後ほど。まずこれらのカードからその歴史的な意義を理解してほしい。

RV車にルーフテントを搭載したので長崎中心部ではルーフクリアランスが十分な駐車場を有する手ごろな価格のホテルが見付からない。止む無く諫早に近い喜々津という小さな町に昨年11月にオープンした喜々津ステーションホテルに2泊した。ついでながらこのホテル、部屋の広さとベッドの大きさ、大浴場などの設備は満足できたが、なにせ駅前再開発の真っ最中で周りには何もない。まあ長崎まではJRで約30分なのでさほどの不便は感じなかった。おそらく次回も使うことになろう。それまでに駅前が整備されていることを願っている。

ホテルを出てまず伊木力(いきりき)ダムへ。伊木力は私が中学の頃は甘くて結構サイズの良いミカンを生産しており、葉付きで出荷するので贈答用などで全国規模のブランドだったが最近は全くその名前を聞かなくなった。高校のころある先生が伊木力は名前の上に胡坐をかいて品種の改良を怠っているので廃れていくだろうと言われたのを記憶しているが、実に慧眼の先生だったと思う。ダムまでの道中に道端でスタンドを建てみかんを売っているところが何か所もあったので車を止めやすいスタンドに立ち寄り1袋購入してみた。葉付きではないがまあまあのサイズのミカンが一袋100円で8個も入っている。試しに食べてみたらこれが結構甘くて良い。次のを手に取って食べたら中袋が硬く、そのまま飲み込むのがしんどい。次のには種が合計6個も入っている。どれも味は良いのだがこの品質のバラツキでは商品として出荷は無理だし、道端で売るのも道理だ。道端で売っていても瀬戸内のミカンはもっとちゃんとしている。

悪口というより生まれ故郷の産業の衰退が腹立たしいのでついつい書いてしまった。

伊木力ダム

重力式コンクリートダムで比較的小さなダム。長崎県は岬と入江が複雑に入り組んでおり流れる川の流域は狭く、自然多数の小さなダムを建設することとなった。長崎県全体でダムカードを発行している治水、利水ダムは37か所に及び、これは北海道全体の発行数と同じになっている。いかに小さなダムが多数あるかお分かりになれると思う。

カードに見られるように用途がFNWつまり洪水防止、下流域水量平準化以外の利水は水道水だけである。2007年完成なので比較的新しい。

長与ダム

このダムは長崎県長崎振興局の管理で、諫早にある県央振興局管理の伊木力ダムとは管轄が違うが道順を考えて立ち寄り。これも小さな重力式コンクリートダムで用途も同じ。

土師野尾(はじのお)ダム

諫早方向へ戻り土師野尾ダムへ。ここも用途は同じFNW.

ここで堤体の上に巨大な望遠レンズを付けたカメラで水鳥を撮影している人と出会った。ダム湖の周りの木立がサギのコロニーになっていたのでそれを撮影しているのかと思って近づいてみたら、サギなどは相手にせず、トモエガモの写真を見せてくれてひとしきりトモエガモと今年の異常な渡りの数の説明をしてくれた。主力は韓国DMZ付近、日本では金沢あたりで主に越冬するらしいが今年は寒波の影響かここのダム湖にも100羽以上も越冬に来ているとか。我々のカメラでは遠すぎて写真は撮れなかったが見せてもらった写真は見事だった。周りの森にはオシドリのコロニーもあるようだった。

昼近くなったので諫早市の県央振興局で伊木力、土師野尾両ダムのカードをもらいに行った。そこで担当者から、長崎振興局管轄の中尾、本河内高部、本河内低部、西山、浦上の5か所のダムを廻ってカードをゲットすれば重文指定記念カードをもらえると教えてもらい、急遽中尾ダムを訪問先に追加して出発。

中尾ダム

やはりFNWの小さいダム。ダムサイトには駐車スペースがなく道路わきに止めて写真を撮る。

本河内(ほんごうち)高部ダム

このダムが重文指定のダムだが、ご覧の通り1891年(明治24年)建設のアースフィルダムの上流側に重力式コンクリートダムを建設して置き換えたもの。アースフィルの堰堤は保存されていて冒頭の記念カードの写真のようになっている。ここは用途がNWで下流域への水量平準化以外全くの水道用のダムだ。日本で3番目に出来た近代式水道システムのためのダム。幼児のころ我が家の花見はここか西山ダムへ徒歩で出かける習わしだったが、「水源池」と言ってダムとは言わなかった。高部、低部二つあることも気付かなかった。コンクリートダムは長崎を離れた後で着工されているから私の知っているのは当然アースフィルということになる。水源池とは文字通り水道水の水源の池だ。アースフィル堰堤の上に古い取水口などを保存して展示していた。車が入りにくい。道は狭く、住宅が迫っている。

 

本河内低部ダム
このダムに到達するために何度も長崎の電車の終点蛍茶屋とダムの見える道路の間をうろうろさせられた。徒歩で行くべきだった。このダムも1903年(明治36年)に完成した日本で2番目の重力式コンクリートダムの堤体の前に新しく重力式コンクリートダムを貼り付けた構造で2011年に完工している。用途はFNW.新堤体とダム湖の見えるところにはまったく駐車スペースがなく写真は撮れなかった。旧堤体の真下で写真が撮れただけ。

西山ダム

このダムは明治37年完成の日本で3番目に古い重力式コンクリートダムの下流側に1992年に新しくダムを設置したもので、古いダムの堤体が残っている。管理事務所はレンガ造りの素晴らしい建物だが門が閉じられていて入れない。左側が新しい堤体で右が古い堤体。

建物は素晴らしい。隙間があったので侵入してみた。

浦上ダム

ダムはこれから新しい堤体を古い堤体に貼り付ける工事を行うらしい。このダムも駐車スペースがほとんどなく苦労させられた。古い堤体上へは入れた。新しい堤体は全く出来ていない。カードは完成イメージでまだまだこれからということが良く分かる。

写真が揃ったので大橋町の長崎振興局へカードをもらいに行ったが、ここも駐車場の車高クリアランスが不足。障害者用スペースに無理やり駐車。苦労させられた。ついでながら昼過ぎに中尾ダムへ行くとき時間節約のためコンビニで弁当を買ってどこかのダムサイトで食べるつもりだったがどこにも適当なところがなく結局高速に入ってからPAで5時ころ食べる羽目になった。夜中に帰宅したので実害はなかったが・・・・