春のそよ風


君という存在を
抱き締める度に
この胸は緩やかに
ほどかれていった

君が振り撒いていく
その優しさの種が
まだ乾いた胸の大地に
涙と共に君に似た花を
咲かすのだろう



春のそよ風


春のそよ風のように
君は去っていった
振り向くことなく
足音もなく
ここではないどこかへ


そう思う度
僕は思い返してた
限りない言葉から
君を引き留めるフレーズを
選べなかったことを