キックボクシング技術論~井上尚弥の凄さについて~:ホーチミンでキックボクシング | ベトナム・ホーチミンでキックボクシングの普及を

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仕事でベトナムに行くことになってそのまま根付いてしまいそうなのでいっその事、この地でキックボクシングの普及をしようと企む一般人のブログ

こんにちは。

今回は書くネタも尽きてきた頃なので
すごい人がなぜ凄いのかと言う技術解説を
動画を交えながら説明していこうかなっと。

タイトルにも書いてありますがなぜボクシング選手の井上かというと

日本ボクシング史上最高で
今後も現れないくらいの逸材だからです。

大げさでは無くダントツで日本歴代ではNo.1で
こんなバケモノは絶対に出てこないだろうって思います。
ナルバエス戦の試合は見てて正直、感動と畏怖を覚えました。


特にいつもは偉そうに技術論とか書いてるんですが

「お前、試合とか見て分かってるんか?あ?」

って生温かいツッコミがそろそろ入っても良い頃でしょうし
実際に入れられた事もあったので無意味な意地とプライドを掛けて
トレーナーらしく筋肉の作用とか専門的な事も交えながら説明していきます。

井上の凄さはナルバエス陣営から

「拳に鉛を仕込んでるんじゃないのか?」

ってクレーム入れられるくらいのパンチ力がピックアップされてるわけですが
自分は最も注目すべきところは


アイスピックが刺さってんじゃないかと
思うくらいの足腰の強さと安定感です



普通、世界戦レベルでもリゴンドーでも無い限りは大概は足がぶれたりして
バランスが崩れてる場合がかなりのボクサーでもあります。
それは相手も当然、技術が半端無いので当たり前の事でもあります。
しかし井上に関してはそれが全くと言っていいほど無いんですよね。

井上尚弥と言う皮を被って中身は機械で出来てるんじゃないかと思うくらい
正確に動きバランスを保って正確に攻撃を当てるんですよね。



最後のダウンを取ったボディブローで例を見て行きましょう。


肩甲骨を広げた状態から肩が前に出てスライドさせながら打つ動きなんですが
最後のヒットの瞬間の足に注目してください。
大外からボディを打ってここまで内側にねじり込んでるにも関わらずに
右足はまっすぐ伸びて蹴りあげて壁を作って力が流れないように支えられてます。

これは普通の人がやったら
絶対にバランスを崩して倒れます。


確かに骨盤をねじ込めばねじ込むほど伝わる力は大きくなります
その分、反動も大きくなるのでこんな体制で打つには内転筋の締め及びに
ふくらはぎのヒラメ筋やハムストリングスなどが相当、強くないと打てないです。
尚且つ、これは4連打のフィニッシュなんで余計にですね。

単発ですらこんな体制で打つのは普通、不可能なのにあのスピードある
ジャブ→ジャブ→右ボディ→左ボディを簡単にやってのける人は
日本人ではまず井上だけでしょう。
しかも、利き腕では無い方ですからね・・・ホントに有り得ないw
三発目の右の時に右足を強く蹴りあげて
左足を浮かせて反動を付けて更に力を伝わりやすく
してるってのもありますがジャブ2連打の後にこういう反動をつけて
三発目を打ってみたらわかると思いますがこの時点で

大概はバランスが崩れて4発目まで行けません。

4発目が打てたとしてもそれに耐える強靭な足腰が無ければ
この4発目でバランスが保てなくなって軸がブレて
威力も伝わらなくなります。
それだけの超高等技術をサラッとやってのけちゃってるわけなんですよね。


分かりやすくさっきのフィニッシュの動きを矢印をつけて説明します。



ちょっと見難いですがこの足の動きと支えるのは
普通にやってみると分かるんですが本当に無理です。
こんなに肩甲骨を大きく旋回させながら一切、ブレずに
さらに反動をつけてこの腰のねじ込みでボディを打てるなんて
どれだけ体幹と足腰のバランスを鍛えればなるのか自分には分かりません・・・。


ここまでは井上の足の強さについて話しましたが
もう一つは肩の周囲の筋肉にも井上の強さがあります。

最後のボディブローの別角度からなんですが

またちょっと分かりやすくマーカーポイントをつけます。


これはパンチでは肩甲骨のスライドは普通なんですが
マーカーを付けたローテーターカフの筋肉が
普通では有り得ないくらい発達しています。
ここまで盛り上がることって自分で触ってみたらわかると思うんですが
自分も意識的には鍛えてるんですがこんなにでかくはならないです。
どんなトレーニングを積んだらここまで発達するんだか・・・w



ローテーター・カフは肩周りの筋肉を支える筋肉で
パンチのブレーキは通常は広背筋と言われていますが
自分はこのローテーター・カフが一番重要と考えています。
広背筋は大きくて目立ちやすく、強打の選手は広背筋がヒットマッスルと
言われることが多いんですがこれは自分は間違いだと思ってて

ストレート系は前鋸筋。
フック系はこのローテーター・カフ群

が一番重要だと思ってます。
ストレートの前鋸筋に関してもこのローテーター・カフが
備わっているのが前提なんですがね。

前鋸筋に関しては以前、記事を書いたんで
そこを参照にしてもらえればと思います。

背筋=ヒットマッスルという間違い

http://ameblo.jp/keneikick-k/entry-11666905319.html

この周囲の筋肉は肩甲骨の旋回にも重要な要素を果たしており
スムーズな肩甲骨の移動と力を伝えるための伝達とブレーキと言うように
パンチには必須な要素ばかりが詰まってるインナー系の筋肉です。

パンチに腕力は要らないと言われる事は多いですし
実際に体つきほど威力がない選手も居ますけど
それはアウターばかり鍛えてこういう細かい筋肉をキチンと鍛えてないから
下半身の力を上半身に思ったとおりに伝えられないんでしょう。

このパンチを伝えるための下半身と上半身の筋肉が恐ろしく高次元で
揃ってることから井上のこのパンチ力に繋がってるんだと思います。
上半身のこの旋回は出来る選手はたくさんいますがこれに
下半身の強さがここまで備わってるボクサーは自分はほぼ見たことないです。
それこそ最近で言うとゴロフキンやリゴンドーくらいなもんですかね・・・。
ナジーム・ハメドみたいな天性のバネでは無くこれは地道な努力によってしか
手に入らない代物だと思います。


この下半身と上半身の並外れた強さこそが
自分は井上の強さの源だと考えています。
下半身がしっかりしてるからこそバランスが崩れないで居られて
崩されてもそこから強打を打てるあの足腰が備わっていて尚且つ
肩甲骨付近の筋肉の異様な発達と言う有り得ない領域です。

だからこそあんなに恐ろしいスピードの連打でバランスが崩れずに
尚且つ、破壊力がある理想的なパンチが打てるんでしょうけど。


ま、最後に結論を言うと

この領域に達してるのは
日本人に限っては井上しか居ないでしょう。


さて、今回は井上尚弥の強さについて解説をしていきました。

ここまで解説しててお前は出来ないのか?

ってツッコミが来そうですが

正直、無理です。

これはゴールデン・エイジと呼ばれる幼少期から正しい理屈を教えられて
それを気が遠くなるような反復をこなしてそれを耐えず15年以上やり続けて
さらにほんの一握りの才能がある人にしか無理な領域です。
これを才能がない人が仮に幼少期から同じような練習をしても
全員が努力だけで身につけられるモノでは無いでしょう。
止まってるサンドバッグに打つだけならもしかしたら可能かもですけど

プロ・アマ通じて一度もダウンしたこと無くて
西岡を子供扱いしたあの強打を誇るノニト・ドネアすら
崩せなかったナルバエスに対してサラッとやってのけてるんですよね。


それがどれだけ恐ろしい事なのかは格闘技関係者は
十分に理解できると思います。

ボクシングの神に魅入られた一部の才能が
常人には出来ないような努力を重ねて作り上げてきたもので


イチローのバットコントロールみたいなもんです。


自分は格闘技は

60%の努力と20%の運と20%の才能

だと思ってます。

運とは良い指導者や環境にめぐり逢えるかどうかということで
才能関係なしに80%までは誰でも行ける思ってます。
(それで飯を食うラインが60だと仮定して)

しかし、最後の80%以上のところになると
やっぱり才能は必要です。
それに才能があっても不慮の怪我を起こさないと言う
やっぱり運の要素も絡んでくるので
井上は全てが完璧に揃った奇跡のボクサーでしょう。

ま、井上はパンチとしてはこれ以上、無いくらいの
理想的な打ち方なので参考になるかどうかは別として
解説を頭の片隅に入れておけば良いんではないかと。

こういう解説は実際はもっとやりたいんですが結構、時間が掛かるんですよね・・・。
キック系も解説したいんですがキックは特に蹴りの種類が多くて
それぞれがメリット・デメリットがあってそれが一概にどの蹴りが良いかってのは
本当に好みの領域になっていくんですよね。

そしてどの筋肉を鍛えたら強くなるかなどの要素が全身にありすぎて
一概にどこを鍛えたら一番良いかなどもその人によって変わってくるので
かなり説明がしにくいんですよね・・・。
ボクシングは打撃箇所が限定されてるのでその分、当てる技術が
洗練されて行ってるので解説しやすいんですが
打撃箇所が広く、首相撲要素も入るムエタイやキックボクシングでは
当てる技術よりも駆け引きなどの方が重要と言う側面もあります。


気が向いたらまたこういう解説もしていこうと思ってるんで
よろしくお願いします。


ある意味でキックはパンチほど理屈が
解明されていない分野でもあるので
研究の余地はあるんですがこれはまた
時間を掛けてじっくりやっていきたいと思います。


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