渋谷で「大人の和食」を謳う店は多い。
でも実際は、空間だけ整えて皿の上が追いついていない店がほとんどだ。
“隠れ家”という言葉に甘えているだけの店に、時間を使う価値はない。
これが俺の基準。
うゆう。
渋谷駅から少し歩いたビルの2階。
扉を開けると、古材とモルタルが作る静かな空気が広がり、そのままフルオープンのカウンターへ繋がる。
外の喧騒は、ここで一度切れる。
まずは、お造り盛り合わせ。
鰆、いさき、アオリイカ。
ここで店の芯がはっきり出る。
ねっとりとした密度の鰆、締まりのあるいさき、甘みを引き出したアオリイカ。
奇をてらわず、魚の旨さをそのまま押し出す。
この一皿で、“ちゃんとやってる店”だと分かる。
そこから流れが崩れない。
カニクリームコロッケ。
紙包みと「第3のソース」。
ストリートの軽さを借りながら、中身はしっかり作り込まれている。
香ばしさとクリームの丸さ、その両方が記憶に残る。
炙り鯖棒寿司。
ここは名物。
炭の香りをまとった鯖の脂が、舌の上でスッとほどける。
米で重くせず、余韻を伸ばす設計。
豚そぼろと卵黄のポテサラ。
本わさびTKG。
視覚的な分かりやすさを持たせながら、味の設計は崩さない。
混ぜた瞬間に完成するポテサラ、香りで引っ張るTKG。
“酒を進ませるための強さ”がある。
たこの唐揚げポン酢。
酔っ払い海老の卵黄シャリ玉。
揚げて、重くして終わりじゃない。
ポン酢で切り、卵黄とシャリでまとめる。
一皿ごとに役割があるから、流れが途切れない。
鯵の行者ニンニクなめろう。
鰯の塩焼き。
ここでまた魚に戻す。
香りと焼きで、余計な装飾を削ぎ落とす。
シンプルだけど、この2皿があることで全体の説得力が一段上がる。
最後は桜海老の茶碗蒸し。
柔らかさと香ばしさで、温度を落とす。
ちゃんと終わらせる一皿。
この店は、一皿で圧倒するタイプじゃない。
でも、
お造りで信頼を取り、
揚げと米で分かりやすく引き込み、
名物でピークを作り、
また魚に戻して整え、
最後に静かに締める。
この流れがかなりいい。
ただし、ここで勘違いしない方がいい。
これは“至高の割烹”じゃない。
あくまで、渋谷という街に合わせた
「圧倒的に分かりやすく、ちゃんと旨いネオ居酒屋」だ。
映えもある。
味もちゃんとある。
そのバランスを崩さない。
だからこそ、使える。
渋谷で、
雰囲気だけじゃなく、ちゃんと料理で飲みたい夜。
うゆうは、かなり賢い選択肢。
外さないし、記憶にも残る。
そして何より、“また使える”と思わせる店。
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