
「やっぱりここで、ぼくのありのままの気持ちを話します。
ぼくは、ロザーナさんが好きです。
どうしようもないくらいに、好きなんです。
ペリエさんと言う、れっきとした婚約者がいると言うのに、
どこからかやって来た風来坊のぼくが、そんな大それたことを言うのは、
とても恐ろしくて申し訳なくて、何度も諦めようと思っていました。
でも断ち切ろうとすればするほど、ロザーナさんへの思いは、
深く深くなって行くばかりでした。
ペリエさん、ぼくはどんな罰でも受けます。
ムスリムになれと言うのならば、ムスリムになります。
だから、どうかぼくたちのことを認めて下さい。お願いします」
正夫は深々と、ペリエに頭を下げた。
「正夫さん、頭を上げて下さい。あなたの気持ちは、とてもよく分かりました。
娘のことをそこまで愛して下さって、そのような人に娘も思われて…。
ロザーナ、わしの負けだよ。ペリエとのことは、なかったことにしよう。
そう言うことでコスメニさん、ペリエがしたことは、
確かにアラーを冒涜したと言われても仕方のないことかも知れないが、
ここは一つわしの顔に免じて…」
「分かりました。正夫さん、それにロザーナさん。
明日モスクに、その書類を持ってきて下さい。それから警察の皆さん、
ペリエのことはお咎めなしと言うことで。
あれはアラーへの冒涜でも何でもない、一時の過ち単なる事故であります。
ペリエもあのように深く反省しておりますし、その上このことは勝手に騒いだりした、
わたしのでっち上げたことです。そう言うことでどうかご内密に」
「コスメニさんがそのように言うのであれば、我々としてもどうすることも出来ません。
ペリエ、お前は幸せ者だ。本当なら、百叩きは避けられないところだったんだぞ。
これで一生、コスメニさんには頭が上がらなくなったな。
それでは皆さん、お騒がせいたしました。我々はこれで」
そう言って、警官たちが外へ出て行った。
水を売る商人 ―27― に続きます。絵は友人のやのさんが、描いたものです。