
「マディラ、凄いよ。こんなに人が集まって来ちゃって」
「正夫さん、大丈夫です。さあ、仕事仕事。レッツ・ゴー」
マディラはドアを開けると、ひょいと飛び降りて人の波をかき分けながら、
トラックの後ろの方へ歩きながら振り向き。
「正夫さん、降りれますか。無理しないでゆっくりと降りて、
トラックの後ろの方へ来て下さい」
そう言いながら、マディラはすでにトラックの後ろまで来ると。
「久し振りです、皆さん。今日からまた、水売りを再開します。
今まで以上によろしくお願いいたします」
いいから、早いとこ水をおくれよ。こっちは、喉がからからだ。
戻って来てくれたんだね、良かった良かった…。
色んな声が飛び交う中、マディラはトラックに積まれた、
水のタンクにつけられたコックの一つを、手前に引いた。
「さあ、順番に行きましょう。押さないで下さいね、水はいっぱいあります。
無くなったら、また取りに行って来ます。
皆さんの分も充分にありますから、押さないで待っていて下さい」
そう言いながらマディラは慣れた手つきで、
手に手に色んな入れ物を持った人一人一人に、次々と水を売って行く。
水を入れ物に入れては、代金を払って行く。
その手際の良さを、やっとの思いでトラックの後ろまで来た正夫は、
惚れ惚れとするような目つきで見つめていた。
水を売る商人 ―25― に続きます。絵は友人のやのさんが、描いたものです。