自作について ―20代後半の詩― ・その360 | 出会える日のために・2 けんちゃんのブログ

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   秋・夢・風

 あの空の色を
 忘れたわけでは
 ないのです

 風の色も
 淡い温もりも
 そっと

 ぼくの心に
 しまってあります

 詩の引き出しを
 開ければ

 いつだって――




一人の女性の方を、心の中でイメージしながら、
青年はこの詩を書いています。
その女性は、彼女でも何でもない方です。
当時参加していました、詩の同人誌に一緒に参加していた方です。
青年よりも20歳近くも年上の方で、どちらかと言いますと、
青年の母親に近い年齢の女性でありました。
その女性と、この詩を書いた前の年の秋に、
会う機会があったのです。
その時のことを、青年は思い出していたようであります。
平成4年・1992年の3月に、書かれた詩です。

思い出したきっかけは、おそらく女性から届いた手紙であったと思います。
今はメールばかりしていますが、この当時は手紙がメインでありました。
この女性の方だけでなく、色んな方たちと手紙のやり取りをしていました。
なので、常に便せんや封筒や切手と言ったものを、
忘れずに用意していました。
あの空の色、女性の方と一緒に見た空の色が、
青年には忘れられないことであったようでした。
女性は仙台に住んでいまして、青年は新幹線で会いに行きました。
何かロマンスめいたことは、殆どなかったです。
女性はすでに結婚されていましたし、青年にはまだまだそこまでの、
余裕も思いもなかったはずです。

もう少し年齢も近かったしたら、あるいはもっと近いところに、
お互いが住んでいたとしたら、もっと違った展開になっていたかも知れません。
27歳だった青年は、今のぼくよりも真面目であったことだけは確かです。
毎日欠かさず詩を書いていましたし、おそらくこの女性にも、
手紙の返事をしっかりと書いて送っていたはずです。
その際に、一緒に詩を書いて送るなんてことも、時々していました。
ただそれは、もう少し後になってからのことのようにも思えます。
女性に対する思いは、複雑に揺れ動いていました。
恋愛の対象として、女性のことを見たりしたことも、
あるいはあったかも知れません。
でもそれは、青年の理性が許しませんでした。
相手のいる方を、好きになってはいけない。
色んな意味で、青年は真面目だったのであります。

もっと気楽に、もっとリラックスして、女性と会うことが出来たら、
どんなにいいだろうと、青年はよく思っていました。
風も色も、淡い温もりも、全てはぼくの心の中にしまってあります。
あれからもう、20年近くの月日が流れてしまいました。
詩の引き出しの中には、女性と一緒に歩いたあの広い草原が、
今もありありと見えていますよ。 






こんばんは。
こちらの詩とコメントは、今から14年ほど前に、
以前更新をしていた、自分の別のブログに載せたものです。

いつも読んで下さいまして、ありがとうございます。