2017年のアメリカ映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」です。
監督はルパート・サンダース。
出演はスカーレット・ヨハンソン、ビートたけし、ジュリエット・ビノシュなどなどです。

士郎正宗原作の「攻殻機動隊」の実写映画化になります。

ストーリーは押井守監督のアニメ版「ゴースト・イン・ザ・シェル」を基本としながら続編である「イノセンス」の要素も入れつつ、「S.A.C. 2nd GIG」のクゼも登場するといった感じです。
押井守の「ゴースト・イン・ザ・シェル」は士郎正宗の原作漫画の1巻の部分なんですが、この1巻の部分が「攻殻機動隊」の世界観を構築する非常に大事な部分でして、自分が思うに「単行本の1巻は攻殻機動隊の説明書」だと思っています。

その聖書のような原作本を通して毎回新しい「攻殻機動隊」が作られています。
この映画はその「攻殻機動隊」シリーズ初の「実写」というわけです。

色んな漫画やアニメが実写化されてますが、日本で作るとどれも「金かけたコスプレ」になってますね。
ほぼ「すべて」と言っても過言じゃないはずです。
まともな実写ありません。

なら、ハリウッドならやれるんじゃない?って思いますが、まぁ今まで「ストリートファイター」とか「スーパーマリオ」とか中々痛い目にあってるのが現実です。
「ドラゴンボール」とか観てる方が怒りでスーパーサイヤ人になれそうです。

この「攻殻機動隊」の主人公といえば「草薙素子」です。
全身が義体と呼ばれる機械の体で出来ていて、素子の元々の体の部分は脳みそだけです。
脳から発信される信号をデジタル化して体を動かしてるわけですね。
この脳をデジタル化しちゃうことを「電脳化」と呼んでいて、攻殻機動隊の世界ではほぼ全ての人(ホームレスなどを除く)が電脳化してます。
電脳化された脳はインターネットに直結していてパソコンなどを使わなくても頭の中で色んな記憶媒体に触れることが可能です。
いちいちググらなくても脳だけで色んなことが調べられるわけですね。
暗記の科目とか不必要です、みんなで知識を共用してるわけですから。
見た映像もデジタル化され記録されますからデジカメで写真撮ってる人はいません。

そんな特殊すぎる世界観が「攻殻機動隊」の面白いところなんです。
それによって起きる病気や事件など、他の作品にはないスタイル満載です。

話がそれましたが、そんな全身義体の女性草薙素子を演じるのはスカーレット・ヨハンソンです。
日本のファンは「スゴイなぁ、スカーレット・ヨハンソンが素子やるよー」って感じだったんですが、意外にも怒ったのは海外のファン達。
「素子が白人て何だよ!」「素子は日本人が演じるべきだ!」って批判殺到したんです。
自分的には変に水原希子あたりが起用されてしまうよりは断然スカーレット・ヨハンソンの方がいいと思いますが。

海外の人の方が素子に対する思いが強いんですね。
たぶん東洋人の魅力が素子に詰まってるからなんでしょうね。

というわけで、今回の主人公は「草薙素子」ではなく「ミラ・キリアン」という白人女性です。
しかししかし、ネタバレになりますが、実は「ミラ・キリアン=草薙素子」だということが後々分かります。
何でも主人公を白人にすると「ホワイトウォッシング」と言われて叩かれますが、攻殻機動隊にそんな陳腐な言葉を入れ込んでもね。
攻殻機動隊の世界は無国籍ですよ。
白人、黒人、アジア人、しいては、男性、女性、そんなのあまり関係のない世界になってるってのが面白いところなんですから。

ただ、トグサだけは許せませんでした。
80年代のカンフー映画の奴みたいな見た目でゲンナリ。
「偽ジャッキー・チェン」みたいなやつがトグサと名乗っててゲンナリ。
何だこのトグサ・・・。
ファンは素子が白人になったことより、トグサがカンフー野郎になってることを指摘すべきだ。

あと序盤のビートたけしさんの滑舌が悪すぎて何言ってるか分かりませんでした。
後半になると何故かたけしさん演じる荒巻が「ヤクザ」みたいになって銃でバンバンやってました。
監督が北野映画とか観てたみたいで、どうしてもそれやらせたかったんでしょうね。
もはや「アウトレイジ」にしか見えない、荒巻課長あらぶりすぎ。

というわけで、評判は最悪の攻殻機動隊の実写版でした。
自分的には楽しめましたよ。
もう攻殻機動隊なら何でも楽しい。

「フチコマ」の版権持ってるコナミがこの映画でも看板出しててしゃしゃってるけど、攻殻機動隊だから楽しい。
素子の過去が適当すぎて、逆に過去描かなくてもよかったのでは?って感じだけど、攻殻機動隊だから楽しい。
トグサが、トグサが、トグサが・・・、でも、攻殻機動隊だから楽しい。

エンディングはもろ「イノセンス」の音楽が流れます。
物足りなさがかなりある実写でしたが、まぁ楽しめますよ。

さて、最後にこの映画を観るにあたって、絶対にやってほしいことを書いておきます。

それは、「音声を日本語吹き替え」にしてから観ることです。

映画は字幕だろ!みたいな人多いと思いますが、お願いだからこの映画だけは吹き替えで観てほしいです。
その理由は、アニメ版の「STAND ALONE COMPLEX」シリーズの声優が勢ぞろいしてるからです。
映像が実写になっても声がいつものあの声だから何1つ違和感がない。
たまにたけしが喋るところ以外違和感ない。
トグサが出てるところは少し長めの瞬きしてたら大丈夫。
あの豪華な声優が勢ぞろいで声やってるんですよ。
もうこれだけでこの映画は大丈夫なんですよ。

大事なことなんでもう1回言います。

この映画は、日本語吹き替えで観ましょう。

オススメ度 50%