2018年おはつとなります。

もうすぐアカデミー賞ということもあり、最近観た映画などをちょこちょこアップしようと思います。
前みたいに毎日じゃないですが、春の間だけお付き合いください。

さて。

2017年のアメリカ映画「メッセージ」です。
原題は「Arrival」、「到着」っていう意味で、他にも「新生児」って意味もあるみたいです。
なるほどなってこの映画を観ると思います。
邦題の「メッセージ」は直球そのままって感じですが、こんなもんでしょう。

監督はここ数年大注目のドゥニ・ヴィルヌーヴです。
「プリズナーズ」とか「ボーダーライン」とか、ちょっと変わった角度から攻めてて好きです。

本当は去年映画館に観に行く予定でしたが、この映画、思った以上に日本ではウケなかったみたいで早々に公開が終わってしまいました。
なので今頃ブルーレイで視聴しました。

出演はエイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカーです。

去年のアカデミー賞で8部門にノミネートされ超絶話題になった映画です。
SF映画好きの自分的には、「どうせアカデミー会員は今回もスルーするんだろ」と思いつつ何かあるかもって期待しちゃいました。
結果は8部門のうち「音響編集賞」だけ受賞しています。
作品賞も監督賞も脚色賞も逃しちゃいました。

ストーリーはいきなりUFOが地球にやってきたところから始まります。
「インデペンデンス・デイ」みたいにガツン!と登場するのではなく「あ、きた」くらいのノリでやってきます。
UFOの形は日本のお菓子「ばかうけ」にそっくりだったため、監督も「そう、ばかうけに影響うけたんだよ」ってリップサービスしたそうです。

そんなシュールな形したUFOが世界中に12個現れたんです。
日本では北海道に現れてます。

そしてこのUFO、何時間かに1回パカッと開いて、そこから人が入っていけるようになってます。
その宇宙船の中では限られた時間だけガラス越しに宇宙人と面会が出来ます。

というところから始まりまして、主人公であるルイーズはアメリカ軍の大佐にいきなり呼び出されてそれを説明されるんです。
ルイーズは言語学者でして、どうやら「宇宙人の言うてること分からん、あんた言語学者だろ、通訳してー」って言われるんです。
相棒は物理学者のイアン。

この2人でアメリカにいる宇宙船の宇宙人と会話を始めるんです。

これが大変なんです。
宇宙人はイカのデカイやつみたいな見た目でして、足?手?から墨みたいなのをガラスに吹きかけるんです。
言葉のとっかかりも無く、笑ってるか怒ってるかも分からない生命体との会話が始まります。

ふと思い出したのは「宇宙人王さんとの遭遇」という映画です。
「宇宙人王さんとの遭遇」では宇宙人があらかじめ中国語を勉強してきてくれたんで、通訳をする主人公は中国語を使い宇宙人とコミュニケーションが取れます。
が、この映画の宇宙人は一切なにも地球の言葉を覚えてきてはいません。
これは「サンキュウ」すら知らずにアメリカ旅行するようなもんです。
もうちょい準備してこい、宇宙人。

そんな宇宙人相手に何かのとっかかりをえて、最終的には「あなた達は何しに地球にきたん?」ってことを聞くのがルイーズの役目なわけです。

映画の中でこの状態を「カンガルー」とルイーズは言ってます。
説明しますと。

昔、初めてオーストラリアに行った人がお腹に袋があってそこに赤ちゃんを入れ飛び跳ねる動物を見つけます。
その人はオーストラリアの先住民に「あれは何だ?」と聞きます。
先住民は「カンガルー」と教えてくれます。
というわけで、その動物は今も「カンガルー」と呼ばれてるわけです。

が、実は先住民が言った「カンガルー」とは「何言ってるか分からないよ」という意味だったんです。
要するに、全く会話が通じてないのに質問した方が勝手に答えてくれたと勘違いしてしまったんです。

宇宙人との会話もそういうことなんです。
相手に「自分達が質問してること」を理解してくれないと欲しい答えは返ってこないんです。

このムズイ難題にルイーズは悪戦苦闘するんですが、これとは別にルイーズは死んだ自分の娘のことをフラッシュバックで何度も思い出します。
別れた夫のことなども。
宇宙人と接触するたびに過去の辛い記憶がフラッシュバックしてしまうんです。

しかし、これ実は過去のフラッシュバックではありません。

ネタバレになるので観てない人はここでサヨナラしてください。

さて、このモイーズのフラッシュバック、実は「未来の映像」なんです。
モイーズは未婚ですし子供も産んでいません。
なのにその映像が頭に飛び込んでくる。

これは宇宙人によるもの。
宇宙人は過去、現在、未来、なんていう瞬間には生きていない生命体だったんです。
序盤から「光の速さがどうの」って言ってましたが、どうやら人間の住む3次元とは違う4次元世界みたいなとこで生きてるのかもしれませんね。
「インターステラー」に出てくる世界のような。
相対性理論のその先にある「時間」の概念の無い生命体なんでしょう。

彼らは地球人に何かを伝え、一斉に消えてしまいます。

地球人は何か新しい未来を受け取ったんでしょうね・・・。

そして、モイーズの見た未来の映像。
自分は結婚し夫と別れ、娘も病気で死んでいく。

それを全て知ったうえでモイーズは夫となる男と恋をして子供を産む道を選びます。
全てがうまくいかなくとも、それが失敗だとは限らない。

人生とは瞬間ではない、過去も未来も全てが自分の「今」である。


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