
2015年のドイツ映画「コロニア」です。
エマ・ワトソン、ダニエル・ブリュールなどが出演しています。
実話をもとにした映画なんですが、実話にしてはあまりに過激な内容となっています。
時代は1973年、場所はチリ。
エマ・ワトソン演じるドイツ人のレナはスチュワーデスとしてチリにやってきます。
そこで同じくドイツ人の恋人ダニエルと会います。
ダニエルはチリで写真を撮り、色んな活動に参加しています。
しかし、ちょうどその頃クーデターが起きてしまい、ダニエルは捕らえられてしまうのです。
ダニエルは「コロニア・ディグニダ」という場所に連れていかれます。
そこはパウル・シェーファーという男が支配する恐るべき施設だったのです。
パウル・シェーファーなんですが、映画の中では語られてませんが、「元ナチス」です。
何でこのことが映画で語られてないかは分かりませんが、映画の製作国がドイツというのもあるのかもしれませんね。
さて、ナチスの残党シェーファーの支配する施設、つまりは地獄の場所なんです。
拷問は日常的で、シェーファーに逆らうことは許されず、そこにいる人達は1日中監視され、働かされ、ギリギリの生活をさせられるのです。
ダニエルはコロニアで想像を絶する拷問を受け続けます。
殴られ蹴られ、体に電流を流され、意識も無いような状態にさせられてしまうのです。
一方、レナは恋人ダニエルを救うために、このコロニアに潜入することを決意します。
そして本当にコロニアに入り込むのです。
しかし、コロニアでは「男」「女」「子供」はそれぞれ別々に分けて暮らしており、男の施設にいるダニエルと女の施設にいるレナが会うことはほぼ無いのです。
唯一のチャンスは大統領などが訪れた時にみんなでお出迎えするというイベントの時だけ。
というわけで、レナは重労働を課せられながらその時を待ちます。
1日目、2日目、3日目、どんどん過ぎていき、100日以上経過してやっと2人は再会できます。
そこから2人はやっとコンタクトを取りあえるようになり、コロニア脱出に向けて計画していくのです。
元ナチスってことだけあって、やってることはあの頃と同じです。
恐怖によって人々をおさえこみ、暴力によって人々を動けなくしていくのです。
最後はレナとダニエルは無事コロニアを脱出するんですが、これで終わりじゃないんです。
チリ国内のドイツ領事館に逃げ込むんですが、ここもコロニアのシェーファーの力が及んでいたんです。
とにかくチリを脱出しないといけない、ということでレナはスチュワーデスという仕事をいかし、自分の会社の飛行機に飛び乗ります。
シェーファーは空港まで追いかけてきて、空港にレナ達の乗った飛行機の離陸許可を取り消させるんですが、飛行機は機転をきかせ、それを無視し空へ飛び立ちます。
これでやっと2人はチリを脱出できたわけです。
ダニエルがこっそり撮影していたコロニア内の写真は世界中で大ニュースとなったそうですが、チリ国内では何も変わらなかったそうです。
クーデターによって大統領になったピノチェトは独裁政権を築き、1990年までチリに君臨していたそうです。
大統領を辞めたあともピノチェトはチリの政治には関わっており、2006年に亡くなっています。
歴史をあまり知らない自分はチリのイメージは「サッカーが強い」とか「鉱山落盤事故」です。
南米において海岸沿いのとても良い場所だけを国土としてるなぁってのも世界地図を見た印象です。
でも最近まで独裁政権で、70年代にはこんな施設が大統領公認で存在していたという。
驚きですねぇ。
この映画はそういった事実を知るというだけでも面白いんですが、それ以上に「サスペンス」「スリラー」としてのエンターテイメント映画としても充分楽しめます。
ラストのコロニアを出てから空港に行き飛行機が飛び立つまでのくだりは90年代のアクション映画くらいの盛り上がりポイントでした。
オススメ度 58%