
2016年の日本映画「ハドソン川の奇跡」です。
原題は「Sully」でして、「サリー」は主人公の愛称です。
邦題の「ハドソン川の奇跡」なんですが、日本だと絶対「サリー」よりこっちの方が伝わりやすいでしょうね。
主演はトム・ハンクス、他にアーロン・エッカートも出てます。
監督は、クリント・イーストウッド大先生です。
さて、この映画は実際に起きた事故をもとに描かれています。
というか、登場人物も実名なので、再現VTRのような映画になっています。
その実際に起きた事故というのは2009年アメリカのニューヨークで起きた飛行機墜落事故です。
1月の寒い時にUSエアウェイズという会社の飛行機がハドソン川に墜落、というか着水します。
乗客155名は奇跡的に無事、機長であるチェスリー・サレンバーガーは英雄として報道された、というものです。
映画は事故のあと、サレンバーガーのやったことは本当に正しかったのかということが検証されてるところから始まります。
そして、事故の再現VTRのような映像があり、事故の様子が明らかに。
「こんな状況でよくぞ乗客を全員救えたもんだ!」と大絶賛のアメリカ国民。
しかし、NTSBという安全委員会が検証をした結果「サレンバーガーは間違っていた」ということが明らかに。
何度もコンピューターでシミュレーションしてみたが、危険度の高い「川に着水する」という行為はあまりにおかしいと言い出すのです。
「いいじゃん、結果的に全員助かったんだから!」って言いたくなるんですが、委員会は委員会で色々と検証しないといけないってわけですね。
コンピューターによれば川に着水するんじゃなくて、近くの飛行場まで引き返して着陸する方が確実だったと言い張るのです。
つまり、サレンバーガーは乗客を危険にさらした犯人であると。
「でも、助かったんだからいいじゃん、サレンバーガーすげぇよ」って思うんですが、委員会の頭のかたい人達はあーだこーだ言ってきます。
90分くらいの短めの映画なんですが、映画の半分は再現VTRのような作りで、後半の半分はひたすら「検証作業」ということになります。
結果的に何度やっても近くの飛行場に引き返すことが正しいとコンピュータは導きだし、実際に違うパイロットの人がコンピュータ上でシミュレーションしてみると、引き返すことに成功してしまいます。
何度やってもこうなる、と言う委員会。
しかしサレンバーガーは「人間はそんな簡単じゃない、色んなことを考える時間や行動に移す時間もデータに加えろ!」と言うのです。
そして「パイロットは何回これを練習したんだ」と言うのです、ちなみにそのパイロットはこれ17回練習してます。
もうこのゲームのプロになってるんですね。
「ほら、こうやったら完璧じゃん」ってのは後出しじゃんけんみたいなもんで、「チョキ出したら勝ってたよ」ってじゃんけんの後に言われても「はぁ?」って感じですね。
将棋で「ほら、ここがあんたの負けた最大の場所だよ」って試合後に言われても「はぁ?」って感じですね。
「ここでこうすれば着水しなくて良かったんだ」ってのをコンピュータに言われても、キリがないって感じです。
が、サレンバーガーの言う「思考する時間」などを加えてもう1度シミュレーションしたら・・・、大失敗、大惨事、という結果になります。
何度やっても無理。
結果的に「サレンバーガーのやり方じゃないと乗客155人全員が助かる方法は無かった」という結論が出るんです。
良かった良かった、サレンバーガーはやはりヒーローだったという映画です。
「何であの時こうしておかなかったんだ!」とか怒る奴いますが、その時はその時にしかない状況や条件があるんだよ!ってことですね。
ゴチャゴチャ言う上司がいたらこの映画をみせましょう。
そして、「今のあなたは委員会のコンピューターと同じですね」って捨て台詞はいてやりましょう。
もっと怒られるはずです。
オススメ度 46%