
2016年の日本の映画「団地」です。
監督は阪本順治。
出演は藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工 などなどです。
藤山直美主演で、岸部一徳も出てて、タイトルが「団地」でしょ。
こりゃ結構「渋い映画」だぞって感じで観始めました。
タイトルどおり、舞台は「団地」です。
山下清治と妻のヒナ子は最近この団地に引っ越してきたばかり。
引っ越す前は漢方薬を作る仕事をしてたみたいですが、息子が事故で死んで、そのショックで店をやめ団地に引っ越してきたというわけ。
もう仕事は辞めたんですが、それでも清治の作る漢方が欲しくて1人の男が訪ねてきます。
これが斎藤工演じる真城という男でして、とにかく変わってる。
言葉をすぐ言い間違えるし、喋る内容もヘンテコ。
ですが、清治の作る漢方がないと困るということで、特別にこれからも調合してあげることに・・・。
団地には変わった人が多くて、1日中噂話をしてる主婦グループだったり、家庭内暴力のDV男がいたり。
色んな人が住んでる、それが「団地」なんです。
というわけで、団地を舞台にしたオフビートなドラマなんですが。
が・・・です。
ここから先は大きなネタバレになるので、まだ観てない人はここでストップです。
はい、ネタバレです。
この団地の自治会の会長を決めることになって清治が他薦で出馬することに。
清治は最初やる気なかったくせに、段々とその気になっていきます。
で、選挙の日、見事に清治は落選・・・。
清治はこれにショックを受けて、誰にも会いたくないと言い出し家から出なくなります。
誰かお客さんがくる時は床下の収納ボックスに逃げ込むしまつ。
ヒナ子はこれといってこのことを誰にも話さず数ヵ月。
団地では「最近清治さんをみない」「おかしい」「もしかしたら死んだんじゃないか」「ヒナ子が殺したんじゃないか」「殺してバラバラにして捨てたんじゃないか」とかどんどん噂話があらぬ方向に。
ヒナ子もこの噂話を耳にするんですが、バカバカしくて無視します。
それによってとうとう団地では「ヒナ子犯人説」が当たり前のようになっていくのでした・・・。
さぁ大変なんですが、清治はもちろん生きてますし、「いますよ~」って顔だすだけですぐ解決できます。
しかし、この映画、ここから大変なんです。
実は真城という男は宇宙人で、今この人間がいるところが「別世界」で本当の世界はここじゃないと言ってくるんです。
急にここにきてSF展開。
しかも色々ややこしい設定がどんどん出てきて。
それなのにオフビートな団地ストーリーのままSF世界に突入するという異端感。
今まで観たことないくらい「ゆるく宇宙人登場」で、今まで観たことないくらい「ゆるく時空の話」が出てきます。
関西のノリなのかなんなのか、「ほんまー、そりゃえらいこっちゃ、んじゃうちらもそっちに行こうかいな」的なノリで地球をサヨナラすることを決意するヒナ子と清治。
見送る側も「寂しなるなー、元気でなー、忘れもんないかー」みたいなノリ。
今人類史上1番とんでもないことが起きてるのに、大阪のおばちゃん達にとっては「えらいこっちゃ」程度。
なんだこのオフビート感。
今宇宙人が目の前にいるんでっせ!宇宙船に乗ってるんでっせ!あんたら今火星のとこいるらしいで!
もっとリアクション取れっ!!
観てる方がヒヤヒヤするくらいのオフビート。
これがこの映画の面白いところなんです。
団地での噂話も宇宙人も、そういうことはどうでもよくて、会話劇なんですね。
何でも漫才のネタにしてしまうような、このノリ。
ちょっとビックリしたと同時に初めて味わうフワフワしたSF映画に感動すら覚えました。
藤山直美の何とも言い難い「ダラ~」っとしたテンションと、急に「スパッ」と切れ味の良い言葉を放つツッコミが最高です。
藤山直美ってこんな凄い女優さんだったんだってビックリしました。
自分もこんな団地に住んでみたい。
オススメ度 61%