
2015年のドイツ映画「帰ってきたヒトラー」です。
原作は小説なんですが、大ヒットしてるそうです。
さて、「ヒトラー」ですから、そりゃもうあの「ヒトラー」です。
ナチス・ドイツの総統アドルフ・ヒトラーです。
「帰ってきた」ってわけですから、ヒトラーが帰ってくるわけです。
その帰ってきたのが現代2014年のドイツ・・・。
というお話。
ヒトラーは1945年に自殺したってことになってますが、この映画ではその直前に何故かタイムスリップ。
ヒトラーは2014年に舞い降りるんです。
さて、自分は戦争映画にウンザリしていて、ほぼ戦争映画はスルーしています。
更に嫌いなのがナチス・ドイツ関連でして、毎年毎年、これでもかってくらい「ヒトラーによって苦しめられた人達」の映画が公開されています。
戦争映画ってウンザリするんですよね。
あたかもどの国も「被害者」であるかのように語られるストーリー。
そりゃただ侵略されるだけの国もたくさんありましたが、映画作ってるような国は大体「侵略もしてた国」です。
自分の国のことは棚にあげて「ドイツにやられた」「日本にやられた」、永遠の被害者意識が連鎖していき。
戦争映画には「被害者」しかいない、状態になってます。
全部が全部とは言いませんけどね、大体が被害者目線。
そんな中誕生したのが「映画のヒトラー」です。
ヒトラーという人物がひとり歩きし、その悪名がキャラ付けになり、あの見た目が悪役のファッションになる。
今やあの格好してチョビヒゲ生やしてるだけで「こいつが悪い奴だ!」って分かる仕組みになってます。
普通の悪役は登場してから「こいつはこんだけ悪い奴なんだ」ってのを描写しないと観客に伝わりません。
が、ヒトラーの風貌をしていればそんな前置きは必要なく、登場しただけで観客は「こいつがこの映画の悪役だ」ってすぐ分かるんですね。
それが「映画のヒトラー」です。
さて、この映画はその「ヒトラー像」というものを追求していく映画です。
2014年のドイツにタイムスリップしたヒトラーが街を歩き街の人達が怪訝な表情を浮かべます。
ヨーロッパであの格好をするのは不謹慎極まりないわけです。
なので街の人は「はぁ?」って顔してるんですが。
この映画の凄いところはこれが「ドキュメンタリー」ということ。
映画自体はフィクションなんですけどね、ヒトラーがタイムスリップするわけですから。
でもそのヒトラーを見た人達のリアクションはガチなんです。
「ええ?」って驚く人もいれば、露骨に嫌な顔になる人もいます。
時には罵声を浴びせてくる人もいます。
しかしここでリアクションが真っ二つに分かれます。
「世代」によってリアクションが違うんです。
年配の人達はたとえ自分が戦後生まれであってもヒトラーを嫌っています。
が、若い世代になると逆、ウケたり、一緒に写真撮ったりするんです。
このリアクションの差こそがさっき自分が言った「映画のヒトラー」の部分なんだと思います。
若い世代にとってヒトラー像は「映画の悪役」なんです。
もちろん歴史上の人物であることは知ってますが、どうしても映画の悪役の印象なんです。
プロレスのヒール役を見るような感じなんです。
ここらへんが非常に面白かったですね。
似たような映画ではサシャ・バロン・コーエンの「ボラット」があります。
というか、この映画はほぼ「ボラット」のやり方を真似しています。
日本でこれ系の映画やったらめちゃくちゃ怒られるでしょうね・・・。
麻〇彰晃のモノマネして街のリアクションを撮影するとか・・・。
うわぁ、ネットが荒れる・・・。
オススメ度 51%