2015年のアメリカ映画「コンカッション」です。
原題でもある「Concussion」の直訳は「激動」ですが、この映画では「脳震盪」を意味しています。

ウィル・スミス、アレック・ボールドウィン、ググ・バサ=ローなどが出演しています。

ウィル・スミスが今回演じるのはオマルという医師の男です。
ある日、オマルが検死した男は元アメフトのスーパースター。
その男は50歳にしてアルツハイマーと診断され謎の死をとげています。
オマルはこの男の死因について調べるのですが、それが全ての始まりとなります。

死んだ男の脳は重度の衝撃を受けズタズタでした。
脳が何故そんな衝撃を受けたのか、それは「アメフト」です。
小さい頃から脳に衝撃を受け続け、プロになり、引退するまで考えられないほどの衝撃を脳に受け続けていたのです。
更にこの後も次々とアメフト選手の謎の死が続きます。
オマルは全ての死は「アメフト」にあると発表するのでした・・・。

という映画なんですが、実話をもとにしています。

アメフトはアメリカのナンバー1スポーツです。
サッカーより野球よりホッケーよりバスケより、アメリカで1番人気のスポーツは「アメフト」なんです。
よく映画でも高校や大学の話がありますが、「モテるグループ」はアメフト部なんです。
それくらいアメリカにおける「アメフト」の強さは偉大なんです。
ちなみにアメリカでは「アメフト」を「フットボール」と言います。
世界的には「フットボール」は「サッカー」のことなんですけど、アメリカはアメフトが「フットボール」なんですね。

さて、映画の話に戻りますが、オマルは「アメフトの危険性」について発表したためにアメフトの組織NFLから圧力を受け始めます。
実にアメリカらしいというか、邪魔者は即消すというのがアメリカのやり方なんですね。
日本でやったら問題になることでも、アメリカでは関係無し。
多少「やりすぎだ」って批判が出ても、オマルがこれ以上アメフトの危険性について述べられるよりはマシなんです。

というわけで、色んなところから圧力を受けまくるオマル。
FBIとかまで出てくるあたり、NFLのもつマネーの威力が凄いものだと分かります。
そして、この間にもアメフトの選手が次々死んでいくのです。

さぁ、どうする!?

っていう映画なんですが、実話をもとにしてるのでそう簡単にうまくはいきません。
結局巨大な権力に事実を押しつぶされ、家族は脅され、黙るしかなくなってしまうんです。
というか、オマルは発言する場所すら失うんです。

「どうだ、これがアメリカのやり方だ」って映画です。
アメフトをほぼやらない日本では「アメフトが危険なことくらい見たら分かる」って思いますね。
巨大なパワーを持った巨漢が突進してきて頭に衝撃がきて倒れて、失神して。
水かぶってまたフィールドに戻っていく、んで、ぶつかって倒れて起き上がってふらつく。
こんなの繰り返して大丈夫なわけがないんです。

でも、「危険なスポーツはアメフトだけか?」ってことになりますが、そうじゃありませんね。
「ボクシング」なんかもろに殴り合うし、引退した選手たちの後遺症の状態なんかはみんな見たことあるはずです。
でも、「ボクシング」と「アメフト」では根本が違います。
それは「ボクシングは危険なスポーツだ」と認識されてるということ。
その覚悟がある人だけがやってるわけですね。
でもアメフトは引退後の後遺症などを組織が隠蔽して隠してきたという歴史があります。
なので選手達は引退後に頭痛や眩暈、幻聴、などが起きるというこを一切知らないでプレイしてるんです。
「アメフトをやるな」と言ってるわけじゃなくて、「アメフトの危険性を知ったうえでやれ」ってことなんです。
でもそれを告知して子供達の1割でも「アメフトはやりたくない」もしくは親が「アメフトをやらせたくない」と思った場合、アメフトはどんどん人気を失い、将来プロも無くなってしまうとNFLは考えてるんです。
アメフトは金を産むスポーツ、危険性どうこうは知ったこっちゃないのがNFLの考えなんです。
要するに「ビジネス」なんですね。

現在もこのアメフトの脳震盪について、NFLは否定してるそうです。
でも色々調べた結果、アメフトというスポーツは脳震盪の危険性があるという結果が出ています。
でもNFLはこれがなるだけ表に出ないように手回ししてるわけです。
なのでこの映画のスタッフはこの映画を作り、「知ってくれ」と訴えたわけですね。

アメフトを引退した選手の28%が脳震盪などの後遺症をもってることが調べによって明らかになったそうです。

オススメ度 55%