2015年の日本映画「劇場版MOZU」です。
出演は西島秀俊、香川照之、真木よう子、池松壮亮、松坂桃李、伊勢谷友介、長谷川博己、ビートたけしなどなどです。

「MOZU」はTBSとWOWOWが共同で作ったテレビドラマです。
2014年にシーズン1とシーズン2が放送され、スペシャルドラマもあります。
んで2015年に「MOZU」の完結編として劇場版が公開されたというわけです。

簡単にMOZUについて説明しますと。
主人公倉木の妻が爆弾事件で死んでしまうところから物語は始まるわけでして。
倉木には娘がいて、その娘は風呂場での事故によって溺死しています。
この妻が巻き込まれた爆弾事件と娘の死、というのがMOZUにおいて重要な謎になります。

さて、そんな倉木は刑事でして、ヒロインである明星も刑事です。
明星はとある殺し屋を追っている最中に倉木の妻が死んだあの爆弾事件に遭遇しています。
この殺し屋は「女」でして、謎が多いのです。

この「女」の謎が解明し、実は「男」だったことが分かります。
新谷宏美と名乗り女装をしていますが、男です。
ここらへんでこのシリーズの肝であるセリフ「お前らには分からない、モズの気持ちなど」というのがあります。
「モズ」とは鳥の名前のことでして、漢字で「百舌鳥」と書きます。
モズには特殊が行動がありまして、生き物を殺して食べずに枝に突き刺して飛び去るのです。
通常動物は食べるために他の生き物を殺すんですが、モズは食べるつもりのない生き物を狩り、しかも死体を枝に刺すという残酷な行動をするのです。
この行動を「モズの早贄」と呼び、これが何を意味するのかというのは研究者の間でも謎のままです。
このことを宏美は「モズの気持ちなどお前らには分からない」と言ってるんです。

んで、色々あって宏美は死ぬんですが一卵性の宏美の兄貴・和彦が宏美の代わりに登場します。

他にも色々謎があって、登場人物にも隠された部分が多数あるのにもかかわらず回をかさねるごとに登場人物は増える一方。
1つの謎が分かると2つ謎が出てくるシステムで、大混乱のままテレビドラマ版終了。

「さぁ、劇場版で完結、謎はここで全て明かされるぞ」

ってのがこの映画なんです。

最初に言ってしまいますが、謎は全て明かされません。
中途半端なままの登場人物にいたっては登場すらもしませんし、名前すら出てきません。
あっちこっちに伏線はって謎を置き去りにしたまま、ほったらかされます。
「あいつはどうなった」ってのは一番残念なオチですね。

大事な大事な「倉木の娘の死の謎」についてはとうとう事実が分かるんですが、微妙でした。
んで最初からずーっと引っ張ってきて、この映画でも引っ張ってみせた「明星の父の行方」ですが、これは「スルー」です。
あまりにテレビ版で謎を残しすぎたために劇場版で答え合わせする時間が無かったのか、もしくは、何も考えてなかったのか。
おそらく「何も考えてなかった」のではないでしょうか。
答えられるところは答えたけど、もう残りの謎については「何も思いつかなかった!」って感じの終わり方です。

劇場版の見どころの1つとして「ダルマ」の謎が明かされるというところがあります。
「ダルマ」とは日本国民の多くが夢で見るという謎の男だそうです。
この「ダルマ」が日本を仕切ってるけれど、誰もその正体を知らない、という都市伝説みたいな男です。
これが今回とうとう登場して、しかも演じたのが「ビートたけし」ってことで宣伝とかでも話題を作ってました。
が、実際に登場してみるとそんな感じじゃなくて、煽るだけ煽ったけど期待にそえれなかったというキャラクターでした。
最後はサクッと死んで終わります。
日本の影のドンみたいな男が簡単すぎる・・・。

テレビ版から観てる自分的にはやっぱり「池松壮亮くんが演じた殺し屋新谷を倉木達が追うところがピークだった」って感じです。
MOZUの早贄のくだりが一番面白かったです。

とにかく、煽る煽る、煽りまくって謎を残しまくって、登場人物増やしに増やして、てんやわんやにして。

「すいません、収拾つきませんでした」って感じの映画でした。

オススメ度「35%」