2015年の日本映画「リアル鬼ごっこ」です。
って・・・あれ、この映画前に観たし感想も書いた・・・んですが。
これは2008年の「リアル鬼ごっこ」とは別のものです。
でも原作は2つとも山田悠介の小説「リアル鬼ごっこ」です。
んじゃ、リブート作品かって思ったら、それも違います。

この映画は「リアル鬼ごっこを1ミリも知らずに撮ってみた」映画なのです。

監督は園子温。
出演はトリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜などなど・・・。

自分は最近原作の方の「リアル鬼ごっこ」を読みました。
2008年からの映画版「リアル鬼ごっこ1~5」も全部観てます。(詳しくはこのブログ内にあります)
2008年からのもかなり原作とは違うんですが、この2015年版に比べたら忠実にやってる方です。

まず、簡単な説明を。
「リアル鬼ごっこ」とは、現実社会と似てるけどちょっとだけ違うパラレルワールドのお話でして、その世界には王様がいます。
王様の苗字は「佐藤」でして、王様は「佐藤が多すぎる!減らせ!」って命令します。
んで「佐藤」という苗字の人だけが1日のうち1時間だけ鬼に追いかけられ、捕まると殺されるという「リアル鬼ごっこ」が開始されるというもの。
2008年からの映画版は多少違うものの、佐藤が鬼から追いかけられるという話、そこから話が進展していってタイムスリップしたりわけわからない展開になっていきます。

さて、この「リアル鬼ごっこ」で重要なのは「佐藤さんが鬼に追いかけられる」というところです。
でも最初に書いたとおり、園監督は小説版を読んでません、もちろん2008年からの映画版も観てません。
ただ、ただ、「リアル鬼ごっこ」というタイトルの響きにグッときて映画化したんです。
凄い勢いですね・・・。

というわけで、園さんは「佐藤さん」が「鬼」に「追いかけられる」という設定を知らずにこの映画を作ってます。

あまりに発想が違いすぎて、原作と全く違うのに「逆に原作を知らないと楽しめない」という映画です、不思議です。

主人公はトリンドル玲奈演じるミツコ。
ミツコは修学旅行のバスに乗ってます、周りにはテンションの高いクラスメイト達。
ミツコはポエムを書いていますが、ペンを落としてしまい、拾う・・、顔をあげるとバスの上半分が無くなっていてクラスメイト達全員が上半身を切断されています・・・。

という全く意味不明から始まります。
観客に「この映画はこういうやつだからな!」っていう挨拶代わりの1シーンです。

1人生き残ったミツコは逃げる・・・、逃げて逃げて、学校に辿りつくが、そこはミツコが通ってた学校ではなく。
でもミツコにはたくさんの友達がいて「どうしたの?」って感じで接してきます。
じょじょに「こういう日常なんだ」って慣れてきた頃、いきなり学校の先生がマシンガン乱射。
結局みんな死にまくり。

んで逃げて逃げて・・・。

という映画なんです。
意味は、分かりません、この時点では。

いちお「トリプルヒロイン」として紹介されてたみたいですが、トリンドルちゃんが8割方のメインです。
篠田麻里子と真野恵里菜はそれぞれ10分ずつ登場する感じです。

いったい何が!?っていう映画なんですが、この映画は「リアル鬼ごっこ」・・・、いやもうタイトルすら忘れてしまいました。
よく「リアル鬼ごっこ」という言葉だけでここまで妄想が膨らんだものです、園監督は鬼才です。

そして、園監督のパンチラへの飽くなき探求心に感心しました。
毎回園監督の映画ではパンチラが定番です、しかも何故か全員真っ白いパンツを履いてます。
動くたびに走るたびに風が吹くたびに、スカートがめくれ真っ白いパンツが見える、これが園監督のフェチズムの世界 。
二階堂ふみちゃんだって満島ひかりちゃんだって、園監督のパンチラ演出によって見出されたようなものなんです。

隠れキャラとして斎藤工が登場してきて、初めてまともに「あ、男がいた」って思いました。
この映画、ラストまで完璧に「女」しか出てきません。
JKがパンチラして惨殺されていくというかなり難解な映画でした。

パンチラも気になりますが、自分が一番気になったのはトリンドルちゃんの走り方。
最初は「なんだこれ」って感じですが、ずーっと観ていくうちにあの走り方すらも個性的に素晴らしく感じてしまうから不思議。

というわけで、佐藤さんも鬼も出てこない「リアル鬼ごっこ」です。
これを原作者の人はどう見たのか、「ご自由にどうぞ」って感じなのか、なんなのか。
間違いなくいえるのは「これって俺が原作ってことでいいの?」って思ったでしょう。

最初から最後までブットビまくってて、園監督の凄さを感じました。
正直、原作の小説もあんまり面白くなかったし、2008年からの5作品の映画版も面白くはありませんでした。
特に2~5はクソ映画でしたから。
1~5のオススメ度足してもこの1本には勝てないかも。

そうなんです、この映画、めっちゃ好きでした。

全く原作と違うんだけど、原作が面白くなかったんで、こうなった方が面白いんですよね。
ただ「鬼ごっこ」って感じはしませんけど、「リアル鬼ごっこ」という言葉にインスパイアされて脳内で暴走を繰り返すとこうなったってことでしょう。

この映画を一言で説明するなら。

「凄い体調の悪い日に見た悪夢」

オススメ度「64%」