
2015年のアメリカ映画「チャッピー」です。
監督はニール・ブロムカンプ。
出演はシャールト・コプリー、デーヴ・パテール、シガニー・ウィーバー、ヒュー・ジャックマンです。
「え?シャールト・コプリー出てなかったよ」って思うかもしれませんが、実はチャッピーのモーションキャプチャ&声優として出ています。
いちおチャッピーが主人公なので主役ってことでしょうか。
一切顔が姿も出てこない主役です。
さて、「第9地区」同様、南アフリカが舞台です。
ヨハネスブルクは犯罪の街と化しています。
そこで警察は兵器メーカーが作ったロボットを大量に購入します。
このロボットの性能はピカイチ。
人間のように2足歩行が出来、攻撃も多彩、ボディはチタン性です。
そして何より1体の価格が安い。
ということで警察は大量のロボットを買い街中に配置。
ロボット達は悪者を片っ端から制圧。
ヨハネスブルクの犯罪は急激に減ったのでした・・・。
というところから物語は始まります。
ニール・ブロムカンプ映画ではお馴染みですね、「もうそういう状態ですから」ってとこから始まるんです。
さて、この売れに売れたロボットを作ったのはディオンという青年。
ディオンの働く兵器会社の社長はロボット作ったディオンに大満足。
なんですが、ディオンはこのロボット達に「意識」を備え付けさせたいと考えています。
「意識」とは「心」のようなもの、より人間的なものにしたいってことです。
しかし社長は「兵器に意識なんかいらない」と却下。
ディオンはガッカリするんですが、すぐさま廃棄処分になるところだったロボットを1体会社から盗み、独自で「意識」を植え付けさせようとします。
このディオンの成功をねたむ社員が1名。
それはヴィンセントという男でして、ヴィンセントはディオンのロボットより前に「ムース」という兵器を開発しています。
見た目は完璧にSF映画のそれでして、大きくていかついフォルム。
1体にかかる予算も高く、警察は「こんな戦争に使うようなの街で使えるかい」って拒んでます。
ディオンのロボットが売れに売れるせいで毎年ムースに対する予算は減らされる一方。
ヴィンセントはディオンに対して怒りをもってるわけです。
そして街に住むニンジャとヨーランディとアメリカという3人組の悪ものたちも登場します。
リュック・ベッソンの映画に出てきそうな「分かりやすい悪者」でして、かなりバカです。
とにかく薬売ったり強盗したりして金稼いで生活してるわけですが、仕事でヘマしてしまい、大金が必要となります。
しかし今や街はロボットによって監視されています。
そこで考えたのは「ロボット作った奴拉致して、ロボットを動かなくするリモコンを貰おう」ということ。
バカっぽいんですが、確かにそれしかないかもですね。
3人組はディオンを拉致するのです。
拉致されたディオンでしたが、ニンジャ達の要望に応えることはせず、その場で廃棄処分する予定のロボットを組み上げ、「意識」を投入します。
すると動き出すロボット。
しかしそれは産まれたての子供のようでした・・・。
悪者3人組はこのロボットを使って悪事を働こうと考えるわけです。
ディオンをさっさとおっぱらって、ロボットに「チャッピー」という名前をつけ「ギャングスタ」へと育てるのでした・・・。
という感じで始まっていきます。
毎回展開の早いニール・ブロムカンプ映画ですが、今回も早いです。
ここまでまだ映画の半分も達してませんからね。
ここから「嘘~?」っていう展開と終わりが待ってます。
チャッピーがギャングに育てられ歩き方から喋り方までギャングになっていく様は笑えます。
でも、どこか悲しげなんですよね。
子供は産んだ親より育てた親に大きく影響すると言われてるようで・・・。
「子供の未来は大人次第だ」って警告のようでした。
シャールト・コプリーは「第9地区」の主人公もしてまして、ニール・ブロムカンプお気に入りみたいですね。
今回はモーション・キャプチャと声だけなんですが、チャッピーは主役ですからね。
デーヴ・パテールは「スラムドッグ$ミリオネア」の主人公です。
「第9地区」と「スラムドッグ$ミリオネア」の主人公が出てるってだけで嬉しいです。
「エイリアン」でお馴染みシガニー・ウィーバーも出てくるし、何より今回の悪役であるヴィンセントをヒュー・ジャックマンが演じているのが大きいです。
ヒュー・ジャックマンがこの役やるからバチッと映画が締まってる気がしました。
ギャング役のニンジャとヨーランディなんですが、さっぱり知らないんで調べてみました。
そしたら何と役名と同じニンジャとヨーランディという名前で活動してるラッパーでした。
南アフリカでは有名なアーティストなようでして、ラストの音楽もたぶんそうなんでしょう。
何より驚いたのは、このニンジャとヨーランディの髪型です。
てっきり映画のためにこんな「ダサい髪型」にされたんだと思ってましたが、なんとなんと、こういう髪型で活動してる2人でした。
「ダサすぎて逆にオシャレ」・・・かどうかは置いといて、アーティストのインパクトとしてはピカイチでしょうね。
特にニンジャの髪型超ダサ。。。あ、いやインパクトある。
映画のラストになるんですが、散々言ってきた「意識」がまさかの展開になります。
人間の「意識」をロボットへ・・・って展開なんですが、人間1人の意識、更には記憶やその他全てがUSBメモリ1つに入るのかってところが疑問ですね。
そもそもそんな簡単に出来ないだろって思うんですが。
「攻殻機動隊」を思い出す展開ですが、「攻殻機動隊」の設定の方が何倍も納得出来ます。
「ロボコップ」的要素も感じる映画でした、「ロボコップ」で「意識」を移すことが可能になれば主人公は救われますね。
こういうSFすぎる部分を強引な超シリアス展開で見せていくので「もう、そりゃしょうがない」って思ってしまうのが不思議です。
ケチつけようと思ったらこの映画はいっぱいケチつけるところあるんですけどね。
SF映画なのでそういう部分は0ってことは不可能なんだけど、あまりに多くてビックリです。
多すぎて「もうそういうもんだから」って観てる方が良いように決着つけてしまうのが不思議です。
これぞニール・ブロムカンプマジック。
最初は「中々面白いね」って感じでしたが、ラストの展開で完璧にやられてしまって、続けて2回観てしまいました。
色々ありすぎてお腹いっぱいのSF映画です。
オススメ度73%