
2014年の日本・韓国映画「ある優しき殺人者の記録」です。
監督は白石晃士。
出演はヨン・ジェウク、キム・コッピ、米村亮太朗、葵つかさなどなどです。
監督の白石もカメラマン役として出演しています。
この映画の特徴は「長回し」です。
90分の映画なんですが、ラストの数分以外は全て長回しです。
しかし三谷幸喜がやったような「移動しながら長回し」するという滅茶苦茶大変なことはやってなくて、ほぼ全て「一部屋」で物語は進みます。
長回しとは、カメラを止めずに1カットで撮影することです。
通常の映画は短いカットをいっぱい撮っておいて後で編集で繋げるわけですね。
1カットで5分もあれば十分長回しと言えるでしょう。
なのでこの映画みたいに90分間1カットで撮るってのは恐ろしいことなんですね。
でもさっきも言ったみたいにこの映画は1つの部屋だけで物語が進みます。
なのでそこまで難しいことではありません。
舞台を撮影してるようなもんですからね。
三谷幸喜さんがやった長回しは90分以上にわたって1カットで撮りながら主人公が森の中移動したりとか色々と場面が変わっていくんです。
あれは本当に「チャレンジするだけ」でも凄いことだと思いました。
さて、長回しにばかり気をとられがちなんですが、この映画、サスペンスとしても中々面白いんです。
物語の舞台は韓国。
障害者施設を脱走したサンジュンが18人もの人を殺害し逃亡中です。
ソヨンはジャーナリストでして、殺人鬼サンジュンの幼馴染でもあります。
ある日ソヨンはサンジュンから電話をもらいます。
それは「日本人カメラマンを1人連れて指定した場所に2人だけで来い、警察には知らせるな」とのこと。
ソヨンはその言葉を守り田代という日本人カメラマンを連れてサンジュンの指定した場所へ・・・。
と、この時点から映画が始まるんです。
ソヨンと田代は町を歩きながらサンジュンの指定したアパートに入っていくんです。
そこに包丁を持ったサンジュンが現れ、脅されるままにアパートの部屋に入るソヨンと田代。
ここからはラストまでこの部屋の中で物語が進みます。
サンジュンは本当に18人もの人を殺害したのかというところを知りたいソヨンなんですが、序盤で驚きの展開に。
サンジュンは人を殺害したことを認めるんです。
それも18人どころか、25人殺したと言うんです。
あと7人はまだ死体が発見されてないだけなんです。
で、サンジュンは幼い頃サンジュンとソヨンの友達だったユンジンという女の子を生き返らせるために殺したと言うんです。
ユンジンはサンジュンとソヨンが子供の頃に車にひかれて死んでいるんです。
サンジュンは「27歳の誕生日までに27人を殺せばユンジンは生き返る」と神様のお告げがあったと言うんです。
完璧に頭がイカれてしまっているサンジュン。
「これ以上人を殺さないで」と説得するソヨン。
でしたが、サンジュンが言うには「今からここに何も知らない日本人が2人やってくる」と神様のお告げがあったらしいのです。
この日本人2人を殺害すれば27人になり、ユンジンは生き返ると言うんです。
しかも、殺した27人もその後全員生き返ると。
言ってることもやってることもメチャクチャ・・・。
なんですが・・・。
そこに本当に偶然に日本人の男女2人がやってくるのでした・・・。
というわけで、序盤は頭のイカれた男に監禁状態にされたスリラー映画のようなんですが、じょじょにこのサンジュンの言うことが全て頭のおかしい男の妄想とは思えなくなっていくんです。
サンジュンが言うとおりに事が進んでいくので、「偶然」とは言えなくなってくるんです。
ここから先はネタバレしますので、まだ観てない人はここまでにしておいてください。
さて、ネタバレなんですが。
サンジュンは結局27人殺すことになります。
ソヨンも殺されてしまうのです。
神様のお告げどおり27人の殺害を終えると、なんと・・・。
空に渦のようなものが現れ、中からよく分からないものが飛び出してくるんです!
そして・・・。
場面は変わり、サンジュンはユンジンがひき逃げにあうあの場所にタイムスリップしています。
サンジュンはユンジンに「ここにいてはいけない」と注意し、ユンジンの事故を未然にふせぎます。
また場面は変わり、現代の韓国。
サンジュンとソヨンともう1人大人になったユンジンが3人仲良く映画を観に行く・・・。
終わり。
というオチなんです。
ラストのラストまで「それでもサンジュンは頭がおかしい奴だ」と思ってたんですが、何と何と、本当にユンジンを救い、おそらく殺した全ての人たちも死なない未来を生きているというスーパーグッドエンディングなんです。
えええ!!この映画タイムスリップ映画だったのか!!!
ここまで予想外なことになる映画も珍しいですね。
最初は「長回し」にばかり気をとられてましたが、なんのなんの、タイムスリップ映画だったんです。
そうなってくると、邦題の意味が分かりますね。
なるほどね・・・。
途中で女性が裸になってエッチ始まったり、滅茶苦茶な展開満載です。
作り手の「爆発感」を感じました。
ソヨンを演じたキム・コッピはあのヤン・イクチュン監督の「息もできない」で女性高校生の女の子を演じたあの子です。
いやー、なつかしい。
というわけで、今年最後の映画日記はこの映画でしめたいと思います。
今年1年の間にやり残したこと、後悔してること、たくさんあるでしょう。
そんなものぜーんぶ過去に戻っていつかキレイサッパリしましょう。
だからといって27人殺したらダメですよ。
今年1年もたくさんの映画に出会いました。
来年もまた暇な時にでもブログ読んでもらえたらうれしいです。
オススメ度「59%」