2013年のイギリス映画「アバウト・タイム~愛おしい時間について~」です。
原題は「About Time」、邦題の後ろのはあってもなくてもいいかな。

監督は「ラブ・アクチュアリー」のリチャード・カーティス
出演はドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムス、ビル・ナイなどなどです。

主人公ティムは、ある日父親から「うちの家系はタイムスリップ出来る家系なんだよ」と告げられます。
何言ってんだ親父・・って感じのティムですが、言われたとおりにやってみたら本当に過去にタイムスリップ出来ました。
どうやら未来には行けないけど、過去には行けるみたいです。

というわけで、自分の大好きなタイムスリップ映画なんですが、この映画ほかとは少し違います。
それは「せっかくタイムスリップという最強の能力持ってるのにあまり使わない」ということ。
この能力を良い塩梅で物語に足すことでメインである「愛」というものに気付かせてくれるという、観終わってからじんわりくる作りになっていますよ。

さて、ティムはメアリーという女性に恋します。
とても良い出会いをして恋に発展・・・と思ったら、同時刻に知り合いの舞台演出家が大失敗してたことを知ります。
仕方なく知り合いの舞台の失敗をタイムスリップで修正するティム。
しかし本当ならティムはその時間にメアリーと出会うはずだった・・・。

そうなんです、ティムは優しすぎるために自分以外を優先しちゃうんです。
そこからは出会いを取り戻すために強引にメアリーともう1度出会って、2人は幸せになるんですけどね。

こんな感じでティムはあまり大きなタイムスリップはしません。
メアリーとのエッチが良すぎてすぐ終わっちゃったのを気にしてタイムスリップしてエッチをやりなおし、「どうだ、凄いでしょ」って見栄はるとか。
なんかまぁそんな程度なんです。

俺だったらもっと色んなことにタイムスリップ能力使うのにって思うんですが、ティムはあまり使いません。

この映画の見どころは「タイムスリップ」ではなく、「家族の愛」です。
さすが「ラブ・アクチュアリー」の監督です。
とてもとても優しく愛があふれる1本になっています。

登場人物全てが「愛おしい」映画です。
ティムも良い人だし、メアリーなんかキュートすぎて観てる方が照れちゃいます。
ティムの父親も母親も叔父さんも・・・。
優しくて良い人ばかり・・・。

中でも好きなキャラクターはティムの妹キットカットです。
「天真爛漫」という字がそのまま当てはまるような女の子でして、感情を体いっぱいで表現しています。
嬉しさを我慢出来ずに走り出したり、飛びついて抱きついたり、キットカットの底なしの愛情表現にやられてしまいました。
でもこのキットカットの明るさの裏にはとても暗い闇が潜んでたりします。

あまり「タイムスリップ」を重要視せずに「タイムスリップ物」を作ってるのがとても斬新でした。
「そういえばタイムスリップ出来たよね」程度に扱ってます。

この映画で一番グッときたのは、ティムの父親を演じたビル・ナイが「同じ日をもう1度繰り返すことで人生の素晴らしさに気付く」と言う場面。
平凡で退屈だった1日をもう1回朝から繰り返してみると、1回目じゃ気付かなかったことをたくさん知ることが出来るのです。
1回目の人生は緊張の連続で気付かず過ぎていった出来事も、2回目に余裕をもって1日を過ごしてみると、そこにはたくさんの「愛」が溢れていたんです。

「同じ日をもう1度繰り返すことで人生の素晴らしさに気付く」

色んなタイムスリップ映画観てきましたが、この映画のこの言葉が全ての答えのような気がしました。
平凡でもいい、よく見てよく感じてごらん、幸せはそこにあふれているんだよっていう。

結局タイムスリップなんかしなくていいんですね。
もっと毎日の平凡に目をむけたら、後戻りなんかしなくてもいいくらい「今」が楽しく感じれるはずです。


オススメ度70%