2001年のアメリカ映画「ビューティフル・マインド」です。
監督はロン・ハワード、出演はラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリスなどなどです。
アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演女優賞、脚色賞を受賞しています。
この年のアカデミー賞のほとんどのメインどころをかっさらった映画ですね。

ということだけ知った状態で観始めました。
いつか観ようと思いつつ後回しにしたまま観るの忘れてたんです。
んで2015年、やっとこさ観たわけです。
要するに何も知らずに観始めました。

主人公ジョン・ナッシュは実在した数学者だそうです。
ジョンは大学に入り、天才っぷりを発揮します。
でも同時に奇人っぷりも発揮します。
でも、「超」のつく天才なんてみんなそんなもんですよね。
芸術が爆発してる感じの人が大体「天才」って呼ばれるもんです。

そんな変人なジョンですが、大学を卒業し、国の重要な仕事を任されるようになります。
ソ連などの暗号解読を担当するのです。
ジョンは暗号解読の分野でも天才っぷりを発揮し、アリシアという美人を奥さんにむかえるのです。
アリシアのお腹には赤ちゃんもいて、ジョンは順風満帆な人生を謳歌するのです・・・。

って感じが物語の前半1時間です。
ここからの1時間もきっとこんな感じで色々あるけどジョンの研究は更に先に進む・・・という眠たい映画なんだろうなと思いました。
でも、違うんですよね。
全く予想してなかったんです。
どうせ、眠たい、なんせアカデミー賞の作品賞なんか取ったもんだから、そりゃ眠たい、と思ってました。
実際最初の1時間は「まぁまぁだな」って感想です。

さて、ここから後半戦突入なんですが。

ジョンがいきなり男達に囲まれ拉致されるんです。
ジョンは国家機密を扱う仕事をしていたため、ロシア人に捕まってしまったと思うのですが。
実際はロシア人ではなく、精神科の先生たちでした。

そこでジョンが知らされる衝撃の事実。

「大学時代の友達なんていない、暗号解読の仕事なんか存在しない」というものです。

大学時代にルームメイトだった男がいるんですが、あの男自体が存在しないと言うんです。
ましてやその後何年にも渡ってしてきた暗号解読の仕事すらも存在していないと。
実際ジョンの書いた暗号解読の文書は誰にも読まれることなく封を開かれずに発見されます。
研究してたという部屋では意味不明な散らかりがあるだけ。
ジョンは精神的な病気によって「幻覚」を見ていたのです。。。

こうなってきたら話はかわってきますよ。
一風変わった数学者が成功した話を見せられるだけだと思ってたら、なんのその。
急転直下でサスペンスな話に。
いやいやいや、そうなったら自分の好きな方向じゃないですか。

というわけでここからは映画の視聴に気合いが入ったわけです。

さぁ、全部「妄想」だったと知ったジョンは入院、治療を受け、なんとか退院します。
この病気を治すために自宅で療養するのですが、またしてもいないはずの男が現れるのです。
そして、「俺たちが公式に存在してるわけないだろ、お前が出てくるのを待ってたんだ、さぁこい」とジョンに言うのです。
ジョンが連れていかれたのは新しい研究施設。
ジョンが捕まって全てがバレてしまわないように施設を移し証拠隠滅していたのです。
かわいそうにジョンはキチ○イ扱い受けて入院させられていたんです。
さぁ、ここでまた1から研究だ!!!

という展開があるのですが、これが全て「妄想」です。
1度ならずも2度やられた!!
「そうか、本当の本当はジョンはやっぱり凄腕の暗号解読人だったんだ」って思わせられました。
しかしこれで全てがハッキリします。

ジョンはもう幻覚から逃げることが出来ないんです。

何だか凄い展開ですが、実話らしいので納得です。
しかし、病気と向き合いジョンは1994年、66歳でなんとノーベル経済学賞を受賞します。
凄い、この展開からノーベル賞をとるまでになるなんて!
実話じゃなかったら「うそつけ、出来すぎじゃ」って言いたくなる展開です。

ジョンを支えたアリシアの愛もとても感動しました。
凄い人生だってことで、早速本物のジョン・ナッシュのことを色々調べてみました。
そしたらビックリ。

実際のジョンはとても冷たい男でユダヤ人を憎み、私生活では同性愛者だったそうです。
更にはアリシアとは1963年に離婚しているんです。
つまりノーベル賞を受賞した1994年は離婚から30年以上たってるわけですね・・・。
おいおい・・・話が違う・・・。
しかも何度も男性と関係をもっていて、下半身露出して逮捕されたりしています。
おいおい・・・映画と違う・・・。

本物のジョン・ナッシュは映画のジョン・ナッシュとはかなり違う人物だったようでして。
実在した人物に「着目」をえた・・・と言った方がいいでしょう。
「実話」ではないですね。

そんなジョンですが、2001年にアリシアと再婚しています。
そして今年2015年5月23日、オスロで開かれた賞の授賞式の帰り道に交通事故で亡くなっています。
アリシアも同じくその事故で亡くなっています。
つい4か月前のことなんですね、今ちょーどこの映画を観たのは何かの運命かもしれませんね。

結構実際の話とは違うみたいですが、あくまでも「映画」なのでそれはそれで楽しめばいいかなと思います。
この映画に感動した人は、真実を知らない方が良いかもしれません。

オススメ度「61%」